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  銚子電気鉄道2000形  
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銚子電気鉄道2000形 −−−銚電哀歌(エレジー)−−−

−鉄道車両写真集−
銚子電気鉄道 2012年   94-06年     1983年 
伊予鉄道 鉄道線 800系 
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銚子電鉄 2000系
←銚子 デハ2002-クハ2502  外川→
元京王帝都電鉄の2010系であった伊予鉄道800系(2連×2本)を
デハ2000形・クハ2500形として譲り受けたもの。
2010年7月営業運転開始。
銚子電気鉄道2000形 2502 撮影;2012.8 笠上黒生

2000形は2010年7月から営業運転を開始しました。
伊予鉄道800系(2連×2本)をデハ2000形・クハ2500形として譲り受けたものです。
しかしこれ自体中古車で元京王帝都電鉄の2010系を譲り受けたものでした。
製造当初にまで遡ると、実に車齢56年の古参車両です。

2009年譲渡 1984〜85年譲渡    1959年製
(デハ2001-クハ2501←伊予鉄モハ822-クハ852←京王デハ2070-サハ2575 )
(デハ2002-クハ2502←伊予鉄モハ823-クハ853←京王デハ2069-サハ2576 )
*サハ→クハへの改造は1993〜94年
とはいえ銚電にとっては初の二両固定編成であるとともに、初の冷房車です。
(冷房化は伊予鉄時代である1986年に施工されています。)
一気に近代化が進んだという印象ですね。
2006年の危機を「ぬれ煎餅」の後押しで乗り越えた銚電が、これだけの車両を導入できるようになったんだ。
と一度は嬉しい気持ちになりました。

しかし、実際のところ2000形は、銚電初の冷房車とはいえ
銚子駅と外川駅で停車している時だけしか冷房運転ができないというものでした。
車両側の問題ではありません。
銚電の変電所では十分な電源が供給できないということからです。

また2014年11月には、笠上黒生駅で2002Fは脱線事故さえ、ひき起こしてしまうのです。
早い話が設備側はサードハンドの中古車にさえ追いついていなかったということです。
軌道が脆弱であり、かつ十分な電力も供給できないのに、なぜ伊予鉄の800形を導入したのでしょう。

ここが銚電の哀しいところです。

かつて、銚子電鉄の親会社であった内野屋工務店は横領事件によって1998年倒産しました。
以後、銚子電鉄は運転資金の不足を生じ、
2006年11月には鉄道車両の法定検査が行えないという事態にまで陥りました。
また設備の老朽化も甚だしく国土交通省は安全確保に関する改善命令を下します。
安全が至上である鉄道会社ですから命令は至極当然のことです。
しかし、国は十分な手当をしてくれません。
存続の危機に立たされた銚子電鉄はウェブサイトを通じて大きな話題となり、
支援をしようという人々から銚電のオリジナル商品である「ぬれ煎餅」の注文が殺到、この売り上げにより、事なきを得たのです。
また、有志が「銚子電鉄サポーターズ」を結成。
改善命令に基づいた枕木交換や、踏切設備の改善にむけ基金の募集を行いました。

多くの人々の善意で息を吹き返したはずの銚電でしたが、現実は甘くはありませんでした。
乗客離れに歯止めがかからないのです。

2010年のダイヤ改正では30分ヘッドのパターンダイヤを導入していました。
それが2013年には朝ラッシュ時以外は、1時間ヘッドとなり(33往復/日→21往復/日)
2014年のダイヤ改正では19往復/日となってしまいました。

事故は起こすは−−、運休になるは−−、再開されても減便されているは−−−
−−これでは普段の足としては使い物にならないです。

2000形には気の毒ですが、中途半端な冷房車で、
分不相応な輸送力といえる2両固定編成は銚電の救世主たり得ないのです。

今、銚電にとって必要な車両とはどのようなものでしょう。
それほどの需要がなく、それでもなお列車本数を確保するならば、
小型車を、それも両運転台付きの単行用車両を導入するしかありません。

銚電だって、そこんところがわかってない訳がありません。
伊予鉄の800系にしたって両運改造できればそれにこしたことはありません。
しかし、その費用も捻出できないところが哀しいところなのです。

軌道が脆弱であり、かつ十分なメンテナンスが施せないとあらば、
軌道に負担をかけない軽量車両こそが望まれるところです。
また電源が不十分であるというのなら、
多くの3セク鉄道が導入している気動車を導入する手もありかと思われます。
これなら設備のメンテナンスも大幅に軽減できます。
でも、これでは電鉄(銚電)を名乗れないですね…。

では、電車で適当な中古車で導入するとなれば、めぼしい車両はなかなか見当たりません。
数年前なら、十和田観光鉄道の7200系あたりが、好条件ですが、これはしっかり大井川鉄道が確保しています。

思い切って都電7000形あたりを狙ってみるのはいかがでしょうか?
路面電車タイプとはいえ高床車ですし、冷房もついています。
台車を改軌する必要はありますが、豊橋鉄道で実績があります。
またシングルアームパンタグラフ車なら、集電装置のかさ上げをせずにすむかもしれません。

2014年にはぬれ煎餅工場が新設され、もはや本業をはるかにしのぐ主力事業となっています。
しかし、銚電あってのぬれ煎餅です。
ぬれ煎餅の看板として残し置けばいいというのはあまりに哀しい。
私が2000形に乗車したのは2012年の8月でした。
夏休みで土曜日でもあったので、大勢の鉄チャンが乗車していました。
彼らも、ぬれ煎餅を買ってくれた人々も元気な銚電を支援しようという思いでいることを忘れないでほしいと思います。

参考文献:『がんばれ!銚子電鉄 - ローカル鉄道とまちづくり』2008年
      :「」 鉄道ファン #646 2015.2 



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