2006.12.10UP | |||||
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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>福井鉄道 モハ300形(もと静岡鉄道) *連結面よりの動台車をクハ301の先頭台車と交換MM編成となった *車端部を除きクロスシート化(国鉄発生品) ------モハ302-1+モハ302-2 田原町駅 地方の一私鉄が自前で作った新性能電車鉄道会社はどのようにして、自社線の車両を導入するのでしょうか。自動車のように数あるメーカーから、 それこそ星の数ほどある車種の内から自分の希望にかなう一台を選んで購入するのとは話が違います。 現場の輸送実態や社会のニーズを勘案しながら、車体自体の寿命やメンテナンス等、コスト面の条件も考慮しなければなりません。 また出来るものなら最新のテクノロジーを取り入れつつ最大の投資効果を狙って車両の開発をしてゆかなければいけないわけです。 開発にかかる経費も馬鹿になりません。というわけで「餅は餅屋 」。 車両の製作は、こっちの希望を伝えて、車両メーカーに委ねてしまうのがいいのかもしれません。 電車の車両メーカーといえば、日車、川重、東急、日立、近車というところでしょうか。 たとえば、どの700系に乗っても一緒で、今日のは「日立製だったぞ。」とわかってもいいような気がするのですが、 JRの車両に限って言えばメーカー別の個性などは感じられません。 技術的にも一線上に並んでいるのでしょう。 さて、JRでも自社工場で車両の製作をしています。 特に、JR東日本では、94年に新津車両製作所を開設、以来12年間で累計2350両もの車両を製作し、 E231系のOEMといっていい相鉄の10000系も同製作所で作られています。 JR東日本のようなガリバー企業では、新津車両製作所だけで、自社の車両を賄いきることは不可能で、 前述の車両メーカーにも製造を委ねています。 しかし自社工場の技術とノウハウが蓄積してゆけば、 「ウチに出来てオタクに出来ないなんてことはないでしょう。」と物言うユーザーになることが出来ます。 またできあがった製品について、価格に見合った品質かどうか。目利きが聞くことにもなります。 私はJR東日本が、自社で車両の製作を行うことの意義は大きいと感じています。 一方、ローカル私鉄ではどうでしょう。 もはや自力で新型車両を調達する余裕はなく、大手私鉄の中古車を導入することが多いようです。 もっとも京王重機などで、リニューアルされた車両は、ただのあてがいぶちの中古車ではありません。 地域の特性なども考慮されたものです。 現在の中小私鉄のふところ事情からすれば、これが最善の選択といえるかもしれません。 でも、ユーザーの希望にかなう種車が、あるかどうかはわかりません。 こんな電車が欲しいと言っても「それは無理です。」と言われるか、相当のコストを要求されることになるでしょう。 さて、静岡鉄道は、わずか11.0kmの路線しか持たない中小私鉄です。 にもかかわらず、66年(昭和41年)カルダン駆動の新性能電車を 長沼にある自社工場で作り上げているのです。300形です。 (日本の中小私鉄で、新性能電車を自前で作った例はこれしかないと思われます。) ところが7年後の73年から導入された1000系は12年の歳月をかけて増備され、87年の302編成を最後に静鉄自社オリジナルの車両を全て淘汰してしまいます。 何故でしょう。300形は、20年も持たない車両だったのでしょうか。 ←静岡鉄道 クモハ302+クハ302 草薙駅 違います。その証拠が、今回珍車とさせていただいた福井鉄道300形です。 福鉄導入時、冷房改造されていますが、今なお現役で活躍しています。 では、なぜ静岡を去らなければならなかったのか。 邪推かもしれませんが、自社で車両を製作したことで、車両担当者の目が肥えてしまったからではないか。と思うのです。 私のパソコンは、いわゆる自作です。たいそうなものではありません。 ケースの中にパーツを収め、ビスで留め、指定どうりに配線してゆけば、良いだけなので、プラモデルより簡単かもしれません。 しかし、今まで振り返ることもなかったパーツを一つ一つ吟味し、辞書を片手に謎の呪文であったBIOSをセットし悪戦苦闘しました。 CMOSクリアーを繰り返しながらもようやくうまく動いた時は、やはりうれしかったですね。 自作するということが結構高くつくということもわかりました。 次に買うパソコンを自作するかどうかはわかりませんが、 とにかく、パソコンのスペックと価格を見る目は養われたかなと思っています。 そして、困ったことに新しいパソコンが、やはり気になって仕方がないのです。 静鉄においても、新車を導入する際、担当者(エキスパート)の意見は重視されたと思います。 東急車輌が、どのくらいのコストを提示したかはわかりませんが、 オールステンレスカーで応答の早い全電気指令式電磁直通ブレーキ(HRD_1)を持つ新車の魅力は熱く語られたのではないかと推測するのです。 静鉄は、中小私鉄ではトップの輸送密度(2万人/日/キロ)を誇るフリークエンシーサービスを行っていますが、それを支え続けているのが新車1000形です。 新車とはいえ1次形が、登場してもはや33年の歳月が流れています。 いまなお古くささを全く感じさせないこの車両を導入したのは、英断というべきでしょう。 しかし、早々に生みの親でもある静岡を後にしなければならなかった 300形をはじめ静鉄オリジナルの車両たちは、やはり哀れです。 車体がまだ新しいということもあって、100形や350形という旧型車の更新車も日立電鉄や熊本電鉄引き取られます。 日立電鉄は廃止されましたが、熊本電鉄ではまだ活躍しています。 そしてこの福井鉄道においては、名鉄から大量に軌道線車両が導入され、そのイメージが大きく変わりつつありますが、まだしばらくは300形の活躍を見ることが出来そうです。 地方の一私鉄が、自前で造った電車ではあっても、今なお十分通用するんだということを示し続けて欲しいものだと思います。
-----日立電鉄 352 久慈浜 福井鉄道 モハ131 五分市 *この車両も福井鉄道の自社工場製です。 ---熊本電鉄 602 藤崎宮前 |
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