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  阪急電鉄 8200系 8250−8200  2010/04/18UP
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阪急電鉄 8200系 通勤形電車

阪急8200系2連(増結用MT編成) 編成表
←梅田
8200-8250
Mc Tc.

8201F(アルミ車編成) 8201−8251

−鉄道車両写真集−
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 阪急電鉄 8200系 8251          夙川駅 
JR東日本では、
山手線で使用している205系サハ204形6扉車を
順次普通の4扉車に取り替えてゆくことになりました。
ホームドアを導入することにしたのがその理由ですが、
彼らが登場したときの−−6扉車が必要とされた事情、
すなわち殺人的な混雑は、
もはや案ずるに及ばずという時代になったということでもありましょう。

加えて同205系サハ204形6扉車には折りたたみ式座席、
すなわち、混んでいるときには立っていてくださいね。
という装置も採用されていました。

これもまた次第に過去のものとなってゆくのでしょう。

さて、関西の鉄道事業者で多扉車を導入したのは京阪電鉄でしたが、
サハ204のような折りたたみ式座席を初めて採り入れたのは阪急電鉄です。

多扉車である京阪電鉄5000系が,
ラッシュ時の救世主として重宝がられ、
一定の勢力となるほどに増備されたのに対し、
8200系と名付けられた阪急電鉄の折りたたみ式座席車が
わずか2編成4両にとどまってしまったのはどういうわけでしょう。

それは、折しもデビュー前の1995年1月に発生した阪神大震災がその影を落としているのだという説があります。
復旧の早かったJR神戸線に客を奪われた阪急神戸線は、
同線復旧後もかつてほど乗客が戻ってこず、
結果として神戸線の混雑が緩和されこのような車両を増備する必要がなくなってしまったというわけです。

また、座席がないことに対して乗客から猛反発をくらったという説もあります。

結局、8200系は、その後増備はされなかったのですが、
私は元来、阪急電鉄には8200系を増備するつもりはなかったのではないかという気がします。

車番にご注目下さい。8200という番号の百の位が2となっています。
阪急電鉄において、0.1の位は神戸.宝塚線、3.4の位は京都線(中間車は各々5をプラス)という取り決めがあり、
宙に浮いた2の位は試作車用に割り当てられているのです。
例えば電機子チョッパを搭載した試作車は2200系、冷房試作車となるのは5200系という具合です。
つまり8200系は、次世代の阪急電車がどうあるべきかを試すための試作車であり、
205系サハ204形6扉車などが生まれてきた背景とは、少しばかり違うのです。

確かに8200系には折りたたみ式座席が試用されてはいます。
しかし、実はそれ以外にも新機軸がたくさん盛り込まれているのです。

まずは制御装置です。
もはやVVVFインバータ制御装置は8000系ですでに用いられており、目新しいものではありません。
また8200系は8000系と同様の東芝製GTO素子を採用しています。
でも、8000系は1基のインバータ装置で4個のかご形三相誘導電動機を制御する1C4M制御であるのに対し、
8200系では1基のインバータ装置が各々1個の電動機を制御する1C1M個別制御を採用しました。
詳しいことはよくわかりませんが、VVVFインバータでは日本製初のベクトル制御車となっているそうです。
またモーターも従来の170kwから200kwにパワーアップ。
設計最高速度は130km/hで将来のスピードアップにも対応できるようになっています。
(ただし200kw×3なので車両1両あたりの総出力は600kwどまり)
阪急電鉄では初めてとなるシングルアームパンタの採用やモノリンク式ボルスタレス台車の採用も目新しい点です。

次に、冷房装置です。
阪急電鉄では初期のものを除けば集分散式のクーラーユニットを1両あたり3基搭載するのが標準です。
しかし8200系では、冷房能力10,500kcal/hのクーラーユニットを4基搭載し、
なおかつ冬期の暖房能力を向上するためにヒートポンプ式を採用するなど空調機能が強化されています。

車体はどうでしょう。
フロントマスクは、8000/8300系後期形と同タイプの後退角がついたやや丸みを帯びたものとなっていますが、
8200系ではその側面が大きく変わりました。
ラッシュ時の乗降時間の短縮するため、8200系では、従来より200mm広い1,500mm幅のワイドドアを採用したのですが、
その結果扉間の窓が2枚になり、従来のサイズでは車内が暗くなるので
一枚あたり、かなり大きな窓が取り付けられました。
この関係で、車体側面の種別・行先表示器の形状も大きく変化、これに合わせてLED式を採用しました。

車内に目を移すと車内中央部に設けられたスタンションポールが目立ちますが、
阪急伝統の日よけであるアルミ製鎧戸はロールカーテンへ変更されています。
また今となっては珍しくもありませんが、液晶画面を設置し、
映像の見えるラジオの放映を行うなど新機軸に富んだ車両となっています。

ところが、8200系自体は阪急沿線に住んでいながら、いや毎日神戸線を利用しているという人でさえ。
乗車したことがない人がいるほど、−−極めて、露出度の少ない控えめな存在となっています。
私は、なんでも「ものは使われてナンボ。」
という考え方の持ち主です。
そうした点からすると、この8200系はあまりにももったいない使われ方をしているといわざるをえません。

彼らは、平日朝ラッシュ時の梅田行優等列車(8両編成)の混雑緩和を目的として、
増結用2連として使われるのが本来の使い方ですが、
導入当初は、山陽電鉄直通特急の増結車として、座席使用可能な状態で夕ラッシュ時にも使用されていました。
山陽電鉄線内では6連しか運転できないので三宮で増解結を行っていたわけですが、
1998年2月のダイヤ改正で山陽電鉄線への乗り入れが中止されたことに伴い、
増解結する意味がなくなってしまい彼らの出番はなくなってしまいました。

それ以後は、もっぱら平日朝ラッシュ時の上り梅田行き通勤急行(三宮発7:25と7:38の2本)の混雑緩和のため、
それら8両編成の先頭に西宮北口駅で増結し、10両編成で梅田駅に向かいました。
座れる可能性があるのならともかく、座席が収納されてしまっている増結車両に乗るメリットなどないわけで、
利用者はむなしい思いで行列についておられたと思われます。

到着後はそのまま回送列車となり西宮車庫へ入庫しました。
つまり、その当時、通常の営業運転で座席が使用されることはなかったことになります。
いやいや、座席なんかは小さいことです。
よくよく考えてみれば彼らは、わずか15.6kmを往復して、半時間あまりで一日の仕事を終えてしまっていたことになります。
ちなみにJR西日本、東海の新幹線「のぞみ」号は、一日に1.5往復の運用をN700系に課しています。
一日の走行距離は、おおよそ3000kmにもなります。
これと較べると8200系は、なんと1/100の距離しか使用されていないのです。
8200系は試作車ですから、車輌製造コストは普通の車両と単純に比較はできません。
でも、8200系の1kmあたりの車両運行コストはN700系の100倍近い数字になるのではないでしょうか。

2007年10月には、優先座席復活などに併せて座席収納車両の運用を廃止したため、
8200系は、座席を固定とし9000系に準じた内装に改造されました。
改造後は、他の増結用2連と同様に扱われ、三宮で増結される通勤特急等に使用されたりと、
より幅広い運用がなされています。

でも、相も変わらず、滅多に出会えない8200系です。
とくにお目にかかれないのが、8250形のマスクです。
なにせ、増結用の2連は、梅田よりに連結されます。
三宮で切り離され、回送で西宮北口に戻るときにのみ、
8250形は、そのマスクを拝むことができるのです。

夙川駅で捉えたこの時の写真ですが、ズーミングしたときに手が震えているのを感じました。

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参考文献;鉄道ピクトリアル 特集「阪急電鉄」1998.12
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