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  JR四国 5100形 マリンライナー  
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−−JR四国 5000系 5100形 ダブルデッカー

−鉄道車両写真集−
JR四国 5000系 JR西日本 223系5000番台
213系 211系 マリンライナー
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JR四国 5000系 瀬戸大橋線 予讃線 用
←岡山B         高松@→
JR西日本223系+5000-5200-5100
(Mc-T-Tsc)M01〜06F
所属 高松運転所 2003年8月新製
参照:JR編成表2005年冬版 撮影2005.12
JR四国 5000系M1編成 5101ほか 撮影;2012.9 端岡

−−−新生マリンライナー5000系に込められたJR四国のおもい−−−

5000系は2003年8月。
瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」用に3連×6本=18両が高松運転所に投入されました。
在来車である213系0番台を置き換えるためです。

まず、先代の213系についてお話ししましょう。
213系は0番台は国鉄最末期の1987年3月にデビューしました。
1988年4月に開業の本四備讃線(瀬戸大橋線の正式名称)用車両として先行投入され、
マリンライナー運行開始時11往復で運用を開始しました。

展望グリーン車であるクロ212形は、そんじょそこらの優等列車を遙かに超えたパノラミックな眺望を提供しました。
普通車も転換式クロスシートで近郊形を超える快適な車両です。
当然人気も高く、岡山から座れるかなあ?というのが当時の印象です。
88年7月には普通車指定席も追加されました。人気の車両だったのです。
私にとっても213系はお気に入りの系列です。

しかし、運行から15年程度しか使用されていないのに、
213系は取り替えられることになりました。
どうして取り替えることになったのでしょう。

その理由はいくつかあります。
まずグリーン車であるクロ212形は普通鋼製であったため塩害による車体へのダメージが問題となっていたのです。
普通車は車体こそステンレス製でしたが床下機器はかなり傷んでいました。
普通車が2ドア車であったことも問題となりました。
混雑時の乗降に時間がかかってしまいうことで列車の遅延が慢性化していたのです。
1M2Tを基本とする213系は、それをカバーするだけのパワーはありませんでした。
瀬戸大橋線の高速化はJR四国の悲願です。
その根本的解決は宇野線区間の完全複線化でしょう。
しかし、現状は遅々として、その見通しは未だたっていません。

そこで5000系です。JR西日本の223系2000番台をベースとした車両です。
そうアーバンネットワークを130km/h運転するあの新快速用の223系。
すなわち5000系は都市部の混雑時にも対応できる3ドア車となったのです。
またステンレス製車体でもある5000系は、213系の問題点をあらゆる点でクリアーできる存在だったのです。

さて、ここで確認しておかねばなりません。
213系はJR四国の車両ではありません。JR西日本の車両です。
これはJR化された時点で、213系がすべて岡山電車区の配属であったことを引き継いだためでしたが、
JR四国にしてみれば、数少ないドル箱路線である瀬戸大橋線の使用車両について
JR西日本に毎度多額の車両使用料を支払わなければならないのです。
これはおもしろくないですよね。

そんなわけで、瀬戸大橋線で新たにマリンライナー用として車両する使用は、JR四国とJR西日本とで分担することになりました。

←岡山D              高松@→
JR西日本223系5000番台+JR四国5000系:5000-5200-5100 (Mc-T-Tsc)

JR西日本では、国鉄時代の形式にならってクハとかクモハなどという呼称を継承する一方で、
JR四国では、あっさり5000形とかいう呼び方になったので面食らってしまいますが、
223系5000番台と5000系普通車は同じ系列の車輌です。
つまり、形式こそ5000形ですが、実体はクモハ223-5000番台です。5200形はいわばサハ223-5000番台ということになるでしょう。
違う点と言えば、JRマークが四国らしく水色となっていることでしょうか・・。
製造メーカーもJR西日本と同じく川崎重工業製です。
まあ223系5000番台と2000番台は、よく観察してみれば多少違いはあります。
でも新生マリンライナーとして、せめて塗装を改めるとか、シートの色を変えるとかできなかったのでしょうか。
私個人の感想としては、海の幸を期待して旅しているのに牛丼を出されたようなもんで、
「ここまで旅してきて何でまた日常的な223系なんだ。」
という思いになりました。

しかし5100形だけは223系とは全く別の車両なのです。
東急車輛製です。製造メーカーも違います。
今回はこの5100形が主人公です。

高松方の先頭車となる5100形は、213系で設定されていたグリーン車と指定席車を1両に統合して2階建てとし、
2階をグリーン席、1階を普通席(いずれも指定席)としたダブルデッカーです。
ダブルデッカーといえば、首都圏ではおなじみのグリーン車ですよね。
そう5100形は223系2000番台を基本とした平屋建て車と異なり、
JR東日本のE217系の2階建てグリーン車(サロE216形、サロE217形)をベースとした車体に運転台を付加したものなのです。
95年と04年の新車年鑑にそれらの三面図が掲載されていますが
階段の形状から窓の位置、そのサイズに至るまで多くの点で一致しています。
JR東日本のDNAを色濃く残したダブルデッカー、それがJR四国の5100形です。

そんなわけでJR東日本の2階建てグリーン車と同じ印象となるのですが、
ここで乗車インプレッションを---

まずは階下席から、普通車指定席です。
階下席の天井はフラットで圧迫感は否めません。
座席は回転リクライニングシートとなりました。でも、リクライニングはごくわずかです。
いやいや213系の指定席が自由席車と同じ座席であったことを考えると文句を言っちゃあいけませんね。
座席も9列とJR東日本の2階建てグリーン車と同じです。(座席数は-2)
でもここからの眺望の悪さは半端じゃないです。

2階席はグリーン席です。
座席は普通席と同じく回転リクライニングシートですが、多少ゴージャスな造りになっています。
座席もサロE217形の9列から8列へと一列減らし、シートピッチにはゆとりをもたせました。
しかし困ったのはJR東日本の鋼体サイズを流用しているため、窓枠とシートが合っていません。
窓枠がきっちり真横といった席もあるのです。
眺望が売りのマリンライナーだったわけです。その2階席でもあるグリーン車。
これでは不平を言う乗客も出てくるのでは…。
ところが、そんなお方のために?JR四国は、とっておきのパノラマグリーン席を用意しています。
この座席は階上グリーン車とは別枠の「鉄ちゃんシート」4席です。
運転台側の2席はハイデッキ構造となっているのもにくいですね。
同じ高さでは運転手の頭でせっかくの展望が妨げられてしまうからです。
それでも私は、右側のC・D席の方指定します。
大迫力の前面展望!知る人ぞ知るの穴場です。もちろんDr.K御用達。

ところで5100形は「鉄道友の会」の「2004年ブルーリボン賞」に選定されています。
ブルーリボン賞というのは、友の会メンバーの投票によるもので、どうしたって特急用車両に偏りがちになるものですが、
この年、阪急の9300系を抑えて堂々の受賞です。

ことJRに限っていうと、普通列車用の車両が受賞するというのは珍しく、この5100形のみと思われます。
(75年〜06年まではチェックしました。)

投票したメンバーが例のパノラマグリーン席を利用したのかどうかはさておき、
JR四国がマリンライナーを一新するに当たって、そのアイデンティティを強く前面に押し出し、
コストを抑えながらもアメニティを追求した車両であるということを評価されたものだと思います。
慧眼と申し上げるべきでしょう。  

そうそう5100形は(財)日本産業デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」にも選ばれました。
私は専門家でもありませんし、センスがないからかもしれませんが、どうも納得いかないんですね。
別にケチをつけているわけではありません。5100形単体でみれば確かにいいデザインだとは思います。
でも、実際には単体で使用されることはないのです。
223系という全く別のデザインコンセプトをもつ5200形+5100形と併結されるのです。
そのことも踏まえて評価されているのかなあ。

もっとも 私はこの併結部分のアンバランスさこそがJR四国の現状を如実に映し出していて興味深く眺めてはいるのですが…。


 参考文献 鉄道ピクトリアル 鉄道車両年鑑 2004年版:No753 1995年版:No612



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