2016/03/31 UP 2018/07/18 改訂 |
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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>JR西日本 289系
鉄道車両の系列(形式)は適当に番号を割り当てているわけではありません。 JRグループも会社ごとにそのルールにのっとって付番しているわけですが、JR四国以外は概ね国鉄時代のルールを引き継いでいます。 今回、採り上げました289系を例に挙げますと 200番台=直流、80番台=特急用 となり289系は特急用直流電車と相成ります。 さてこの289系は車体は683系とよく似た形態で…というか、じつはそのもので 北陸新幹線開業に際して余剰となった683系を改造、直流区間に転属させ有効利用しようとしたものです。 かつて金沢から福知山へ転属した485系が交流関係の機器を取り外して直流化改造されたのと同じパターンです。 その際は183系に仲間入りしました。183系800番台です。 このように転属先での使用に合わせて改造するのは何も珍しいことではないのですが、 新系列として再デビューするのは珍しい事例です。 かつて583系を近郊電車に改造して419系や715系をデビューさせて以来ということになるでしょうか。 少なくとも、JRの特急で、すべて中古車であるのにもかかわらず新系列が起こされた例はありません。 北陸新幹線が開業した際、「サンダーバード」は運転区間を縮小。「はくたか」は働き場所を失いました。 結果、多くの681系、683系が、余剰車両となったわけですが、それらを「しらさぎ」用に転用。 そこで、それまで「しらさぎ」に使用されていた683系2000番台5連を直流化改造し これで「こうのとりetc」「くろしお」で運用されていた381系を置き換えることにしたのです。 こうして誕生したのが289系です。要は玉突きで捻り出されたわけですが、 289系は 「くろしお」編成として吹田総合車両所京都支所に40両(6連×5と3連×3+1) 「こうのとりetc」編成として福知山電車区に42両(4連×6と3連×6) 計82両投入されました。 683系はアルミダブルスキン構造を採用し 制御装置もVVVFインバータ(IGBT)の高性能車両です。 引退させるには早すぎます。 おそらくJR西日本は北陸新幹線登場以後の681系、683系についても周到な準備をしていたものと思われます。 というのも転属先でのフレキシブルな運用を考え、MMユニットではなく1M方式としました。小単位編成も可能にするためです。 またT車についてもユニットの前後中間を問わず、どこにでも組み込めるのという仕組みにしていました。 すなわち 「しらさぎ」の5連(基本編成)×12本は、 「こうのとりetc」向けにサハ683形を脱車。4連×6本に組み変えました。 「くろしお」向けにはこのサハを増結しました。6連×5本と予備車1です。 「しらさぎ」3連(付属編成)×9本は 「くろしお」向けに3本、 「こうのとりetc」向けに6本を振り分けました。 車番については、種車のそれを引き継ぎ2000番台3000番台となっています。 さて「くろしお」と「こうのとり」については、すでに287系が投入されていました。 そればらば、183系800番台に倣い、287系の2000番台にすりゃあいいじゃないか。というところなのですが、 実はそうはいかない事情がありました。 287系は特急「こうのとり」用として、 「北近畿etc」用の183系800番台を置き換えるべく2011年3月に登場しました。 4連×7(FA01〜07)と3連×6(FC01〜06)の計46両 車体は683系と同様、アルミダブルスキン構造を採用しています。 衝撃吸収構造を採用するなどして、先頭部は少し下ぶくれになっていますが、 注目すべきは、321系や225系などで採用された0.5Mシステムの採用です。 これにより全車両が電動車となってしまったのです。 車体も基本は同じ、制御装置もVVVFインバータ(IGBT)を各M車に搭載しているのも同じです。 でも、システムが違うのです。同じ系列にはできません。よって289系が誕生することになります。 かつて福知山へ転属した485系が交流関係の機器を取り外して直流化改造され183系に仲間入りしました。 ともにMMユニットであった彼らとはちがうのです。 それはさておき、今回も取り外した交流機器を直流電車に転用するのでしょうか。 当面は、交流関係の機器はそのまま取り付けられたままになっており、使用停止にしているだけでした。 しかし、289系は2016年末から、交流機器を撤去しはじめました。 参照→珍車ギャラリー 福知山電車区の183系たち 七尾線電化の際、登場した415系800番台は、485系から取り外した交流機器を113系に搭載しました。 しかし種車である113系には新製後50年を超える車両もあるため、老朽化は深刻です。 参照→珍車ギャラリー クモハ415-801 すでに413系も七尾線用として運用されています。 しかし、その413系も、国鉄→JR西日本の移行期(1986年3月〜1989年11月)に製造され、25〜29年も経っているのです。 加えて413系の交流機器は471系(1962年登場)からの流用です。なんと今年で製造後54年ではありませんか。 遠からず置き換えを考えなければなりません。 その際に、この683系の直流化で余剰となる交流機器を流用するのが得策です。 こうした交流機器の流用がどれほどのコストダウンに繋がるかはわかりません。 でも私はJR西日本は時機を待っているのだと思います。 「こうのとり」の前身である「北近畿」用に導入された485系も、当初は交流機器を搭載したまま使用停止しただけで登場しましたが 113系にこれを譲り、415系800番台を登場させました。 →参照→鉄道車両写真集 485系 特急「北近畿」 今回は形式を変える時機を早めただけのことではないでしょうか。 415系800番台の代替車両として、221系に白羽の矢が立つのか。はたまた223系なのか。 それはわかりません。 しかし221系or 223系に683系2000番台の交流機器を持つ(仮)523系が登場する、そんな日が来るような気がします。 現在、こうのとり4連は2M2T ですが、くろしお6連は2M4Tと多少貧弱に見えます。 しかし、もともと683系のモータはかなり強力です。このままでも問題ありません。 むしろ「こうのとり」編成を1M3Tにして221系を交流化にあわせVVVF化してしまう。 というのもありか。という気がします。 また、耐寒耐雪仕様の683系です。 そのまま足回りを221系or 223系に取り込んでこれを(仮)523系とし、 221系or 223系の足回りを289系に取り付けるというのもおもしろいと思います。 「くろしお」編成は287系同様、帯色をオーシャングリーンに、 「こうのとりetc」編成の帯色はダークレッドにそれぞれ変更されています。 それだけでは終わらせない、これから があると私は思っています。
参考文献:鉄道ジャーナル:2016年1月号 「289系電車デビュー」 |
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