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  京阪電鉄 2600系 ミュージアムトレイン  2010/11/06 UP
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<FONT size="-1">京阪 2600系ミュージアムトレイン  中書島駅 2010.9. </FONT>

京阪 2600系ミュージアムトレイン  中書島駅 2010.9. 

京阪電気鉄道 2600系ミュージアムトレイン

京阪電気鉄道は2010年 開業100周年を迎えました。
この記念すべき年に 京阪はミュージアムトレインを登場させています。

阪急でも今年開業100周年を迎えミュージアムトレインを運行しています。
こちらは6000系(6001F)にレトロな飾り枠を車体に施し、
車内の広告スペースを利用して
これまでの車両の歩みや懐かしの駅の写真などを展示しています。
定期列車として運行していますので、何も知らなかった人にも
「へー。開業100周年だったのか。」
と広報するのには効果的であると思われます。
ただどの列車がミュージアムトレインになるのかは、広報されていませんので、
乗ってみたいと思っている鉄道ファンにとっては偶然の出会いを待たねばならず困ったものです。
やっと出会えたとしても、またそれが満員電車であれば、
移動することもままならず一通り見学しようにも、それができないという問題もあります。

京阪ではそんなことはありません。
京阪のミュージアムトレインは展示物を展示パネルとともに車両に備え付けるという本格的なものです。
ですから定期列車として運行することはできず、空いているホームを利用してそこに停車させ、
そこを展示場所として、お客様に来て頂くというスタイルをとっています。
否応なく人を乗せてしまう阪急と違って、足を向けてもらわねばなりませんから、
まずは、周知してもらわなければなりません。
駅のポスターや広報誌などにもそのスケジュールが載せられました。
電車自体も目立たせるため特別塗装(写真参照)を施しました。
私は9月26日に中書島まで赴いて見学させて頂きました。

1号車;京阪電車100年のあゆみ
2号車;懐かしの駅風景
3号車;京阪特急の60年
4号車;京阪電車でおでかけ−”おけいはん”のポスター展示など−
5号車;京阪電車グッズ大集合

本格的な展示であったこともあって、結構満足できました。
またそこそこの来訪者がありました。
これは成功したのではないでしょうか。

考えてみれば鉄道の施設は、それがフル稼働するラッシュ時に合わせ、
発車番線や待避線が余計目に造られています。
思えば閑散時といわれる昼間には、これらは無駄な空間となっているわけでもったいない話です。
今回のこの京阪のイベントはこの空間を有効利用したというわけですね。

近年”駅”というものの利便性、集客力が見直され”駅ナカ”の商業的利用が盛んになりつつあります。
一歩進んで”電(車)ナカ”というのもおもしろいのではないかと、京阪のミュージアムトレインを見て思いました。
阪急梅田駅の宝塚線E番線ホームなんかは、昼間は欠伸ををしているわけですが、
本来、大阪でもとりわけ好立地といえるのではないでしょうか。

一例ですが、宝塚歌劇のプロモーショントレインが、ラッシュ時の後に滑り込んできて、
今の演目をアピールするっていうのはいかがでしょう?。
1号車ではプロモーションビデオの上映、
2.3号車はその演目や歌劇場、そして歌劇団員の情報を満載した展示場。
4号車は関連グッズの販売コーナー。
加えてチケットの優先予約コーナーなんかがあればいいなあ。
もちろん、エスコート役のアテンダントはタカラジェンヌ!(−の卵でもいいですね)。
この構成であれば、祇園祭やルミナリエをタカラジェンヌがPRするというのも楽しいですね。
また、他のアーティストのCD発売に合わせてプロモーションすることもできます。
発想を変えて、能勢電が能勢の農産物を満載して、新鮮な野菜をアピール。直販!
というのもおもしろいのではないでしょうか。
待避線のある庄内や曽根に立ち寄ってゆくのも楽しいですね。

話がそれてしまいました。
今回のミュージアムトレインには、2600系(2602F−5両編成)が起用されました。
京阪特急の自慢は転換クロスシートですが、これを昭和2年、
日本で最初に取り入れた1550形ロマンスカーの車体色(モスグリーン)が施され
ナンバーも1551.1552となって登場しています。
他形式のナンバーを付けて走る電車というのも凄いですね。
しかし、こっそり小さく白い字で2600系の車番が描かれているのに気付いて頂きたいのです。
展示会場としては動くことのない京阪のミュージアムトレインです。
とはいえ、これは前述したように本線を走る営業用車両です。
そして、この2600系こそが京阪電車のマニアにとって、
まさにミュージアムというにふさわしい−京阪の中でも極めてバラエティーに富んだ−車両なのです。

まず車体です。とりあえず二通りあります。広幅の窓をもつものと、狭幅のものです。
2600系という電車は、デビュー当初は新車で登場したのではないのです。
実はその大半が、2000系の改造車として2000系の車体を引き継ぎました。
いみじくも2000系はスーパーカーと命名された高性能車です。
しかし、その高性能ぶりがわざわいし、
冷房化や昇圧改造が困難という皮肉な結果を生じてしまったのです。
しかし、使えるものはとことん大切に使い回すのが京阪のいいところです。
まず、車体も使い回すことにしました。
2000系は京阪の通勤用電車として、現在のスタイルを確立したモノコックボディの車体です。
同じ3扉でも、それをどこに配置するか、そして窓の構成はどうするか…。
その試行錯誤したそのカタチがそのまま2600系に引き継がれています。
また2000系は、短い編成をベースに増解結をすることでその需要に対応させようという、
かつての思想に基づいていますので、運転台付き車両が多いのです。
そのまま運転台を残す場合もありますが、撤去したのもあります。

7両編成貫通の2600系も存在しますが、これらは30番台が与えられ2630系とも呼ばれます。
彼らは車体も台車も完全な新造車ですが、0番台とほとんど同一の設計です。
しかし、マスクが微妙に異なっています。

冷房装置についてはPRU-2205Aを4台搭載するのが原則ですが、2621.22Fは冷風冷房試作車でRPU-3007を3台搭載します。

行き先表示板も原則として全車に取り付けられているわけですが2200系と併結する2629Fには、取り付けられていません。

普通、モーターを持たないT車は、パンタグラフは取り付けられません。
しかし、2611-24FのT車にはパンタグラフが取り付けられています。

そして、極めつけは台車です。
すべて空気バネですが、形態も構造もまさに多種多彩、新造、再生品併せてその数は13種類にも及んだのです。
(現在、古い台車は新しいものに交換されて、そのバリエーションは大分少なくなってしまいました。)

特急用車両でもなければ、特に何の変哲もないように思われるかもしれませんが、
よく見てゆけば、そのバリエーションに圧倒されるのが京阪2600系です。
まさに、2600系そのものが、ミュージアムトレインと申せましょう。

−鉄道車両写真集−
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参考文献;私鉄の車両15 「京阪電気鉄道」 1986.41
京阪ミュージアムトレインパンフレット 2010.7
鉄道ジャーナル 「RAILWAY TOPICS」 2010.9 No527
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