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*流転のD-12台車名鉄モ600形は、1970年 600V線区である美濃町線から1500V線区である各務ヶ原線(新岐阜駅)に乗り入れる目的で作られた複電圧車です。 狭幅で車体長も短いコンパクトな車体に各種機器を屋根上まで満載した車両で 当時全国的に退潮的だった路面電車の新しい可能性を示した意欲作でもありました。 しかし新車とはいえ台車、モーター、制御器はリサイクル品で、 6両あるうちの4両(603〜606)がはいていたところの D-12というボールドウィン台車(日車製)が、まぁなんとクセ者なのです。 これはかつて名鉄モ180形がはいていた台車ですが、実はこの電車、 四国は琴平急行電鉄の1形として1929年(昭4年)日車で製造されたものだったのです。 「あー琴電かぁ」と安易に納得なさらないでください。 琴平までの鉄道として現在JR(土讃線)、琴電(高松琴平電鉄)が知られていますが、 多度津から琴平参宮電鉄(昭3年全線開業)、坂出から琴平急行電鉄(昭5年開業)と 4つの鉄道会社が覇を競っていた時代があったのです。 しかし太平洋戦争の激化とともに琴急は不要不急の路線とされ、 デ1形は昭18、僅か13年で故郷を離れ、名鉄へと転用されたのです。 その後、尾西線を始めに名鉄600V線を転々としたモ180が、モ600として生まれ変わり、 ローレル賞まで受賞するとは誰が考えたでしょう。 以来30年、琴平急行電鉄の生き証人としてがんばり続けたモ600形のうち 最後まで残ったのがこのモ606なのです。このモ606のみが ワンマン化改造を受け美濃町線が2005年3月末廃線になるまで走り続けました。 車歴の新しい車両は福井鉄道へ引き取られるそうですが、 モ606はこれが最後ということになるでしょう。 もういいよ、ゆっくりおやすみ…。といってあげたい気持ちです。 参考文献 鉄道ピクトリアル 694号 「名鉄600形のD−12台車」清水武、神田功氏著2000.12 |
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