2006.2.16UP 2009/05/07 追補 |
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No2と案内してくださった作業員さん 89.5.2 日本粘土鉱業 岩手鉱業所鉱山というのは金や亜鉛などの金属の他、石炭や石灰を産するヤマという印象がありますが、岩手県の山中(岩泉町)にある日本粘土鉱業 岩手鉱業所は煉瓦などに用いられる耐火粘土を産出する鉱山です。 人目につくことの少ない鉱山の鉄道を愛する鉄チャンは少数派とはいえ、彼らにとっては、 結構有名なこの鉱山を友人のN川氏と訪れることになったのは、1989年5月2日のことです。 一私企業の敷地内で日々生産活動に従事されている方々にとって、我々のような単なる趣味人は、 消火活動のじゃまになる野次馬と何ら変わるところはありません。ご迷惑なのは百も承知です。 それでも”見たい””知りたい””写真が撮りたい”の一念で、頭を下げてお願いするのです。 アポなしで出たとこ勝負です。アポなんかとって、もしだめだったらもう見られない。 大抵の鉱山は鉄道やバスで訪ねてゆくことが出来ない場所にあるため、レンタカーを借りてゆくのですが、 「これだけお金と時間をかけておりまする。どうか、大阪からここまでやってきた根性と熱意をお酌み取りください。」 とすがる思いでお願いし、許可を頂きました。 (こんなアホな真似は決してしないでください。) 「そう…大阪から来たの。」と半ばあきれられながら、 付き添ってくださった初老の作業員さんは職人肌の人だったのでしょう。 口をヘの字に曲げながらも、ほぼ構内を全て廻っていただいた上に、 倉庫に眠っていた1号機(日本車輌製の4t機)までも荷物を取り払って見せてくださいました。 鉱山の構内は我々にとっては、ワンダーランドです。普通の鉄道では考えられない線路のレイアウト。 そして様々な工夫。あっという間に中身の濃い時間が過ぎてゆきました。今でもあのときの思いがありありと蘇ってきます。 変な二人組の関西人におつきあい下さった作業員の方に、今あらためてお礼を申し上げたい気持ちです。 転轍機のないポイント。(手でレールを直接動かすのでしょう。) ちなみにこの三角を利用して、機関車などの向きを変えます 右上にある抗口からケーブルでトロッコを引き上げ、 このポイントで左奧にある選鉱場へ 油圧モーターで動く機関車 日本粘土鉱業2号機さて、そんなワンダーランドに相応しい珍車が、2号機です。北陸重機が製作したディーゼル機関車というよりは移動機という感じですが、 実はこの車、油圧モーターという仕掛けで動くのです。 エンジンより発生した回転エネルギーは、普通、機械式あるいは液体式の変速機により減速されて車軸に伝えられます。 対してこの車はエンジンの回転エネルギーでもって、まづ油圧ポンプを動作させ、そこからパイプを経て、 高圧のオイルを油圧モーターに注入、ここから高トルクの回転エネルギーを得て車軸に伝える仕組みです。 実はパワーショベルやクレーン車などの重機ではあたりまえに用いられている技術ですが、鉄道では珍しい例と申せましょう。 2号機以降、鉱山にあっては、この油圧駆動式の機関車が、数多く登場することになったそうですが、 残念ながら、この鉱山。今は跡形もなくなってしまったそうです。 先駆者であるこの2号機の消息が知りたいのですが、ご存じの方はいらっしゃいませんか。 そして…2号機は、今。2009年5月7日 新潟県長岡市にある弥彦フェリー株式会社の社長さんからメールをいただきました。この2号機をなんと2年ほど前から保存されているのです。 それだけではありません。詳しいことはメールの内容をご覧ください。次の通りです。 「日本粘土が休鉱となり、オーナーが三井金属になりまして、先方の役員会にて審議をお願いし、譲り受けました。 私たちが日本粘土鉱業岩手鉱業所を訪れたのが、まさに20年前のこと、 まさか、あの2号機が動ける状態で現存するなんて、全く夢のようです。 動態保存の暁には、N川氏とともになんとしてでも再会したいものです。 参考文献;全国鉱山鉄道 岡本憲之氏 2001.10 JTBキャンブックス |
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