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  小田急10000形「HiSE」  2012/3/11 UP
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小田急10000形「HiSE」 新百合ヶ丘  2011.8 撮影 小田急10000形「HiSE」""High decker""Super Express"
1987年、小田急の開業60周年にあわせ増備
展望席以外の乗客も車窓の眺望を楽しめるように高床構造とした。
制御装置、抵抗制御(1C4M)。モータ出力140kW。
平行カルダン駆動 歯数比は4.21。ブレーキ MBS-D形
2005年に10021F・10061Fが廃車、これらは、長野電鉄に譲渡。
2011年、10041F廃車。10001Fも2012年3月に運用を終了。
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小田急10000形「HiSE」 ""High decker""Super Express"   新百合ヶ丘  2011.8 撮影

小田急10000形「Hi-SE」-旅立ちの高揚感

小田急10000形「HiSE」は、1987年.。
小田急の開業60周年にあわせ増備されたものです。
ロマンスカーであるNSE車・LSE車と同様、
前面展望席や連接構造は引き継ぎながら、
展望席以外の乗客も車窓の眺望を楽しめるように
高床構造としたのが、大きな特色です。

よって ""High decker""Super Express" と呼ばれるのですが、
必ずしもハイデッカーの意ではなく
Hi=上級の意も含まれているそうです。

当時は、ちょうど国鉄からJRへの移行期であり、
目立った新車の登場は見られませんが、
同時期、JR東日本では、183系「あさま」に、
またJR北海道(国鉄)の「フラノエクスプレス」、
JR西日本「あすか」にも、改造車ではありますが
ハイデッカー車が組み込まれています。
ちなみに、日本で初めてハイデッカー前面展望室を設置したのは名鉄8800系パノラマDXですが、
これも84年から90年にかけて登場しています。
「シーマ現象」というほどではありませんが、
鉄道車両にも高級なものが、求められる時代があったように思われます。

さて、10000形「HiSE」に話を戻しましょう。
上級のハイグレードなイメージを身に纏った10000形HiSE車でしたが、
制御装置は、オーソドックスな抵抗制御(1C4M)でモータ出力は140kW。
駆動装置は平行カルダン駆動方式で歯数比は4.21。
ブレーキは、MBS-D形と基本的に足回りは7000形LSEと同じです。

それにしても、1980年デビューのLSEよりHiSEが先に姿を消す。
というのはどういうことなのでしょう。
実は2000年に交通バリアフリー法が制定され、
高床構造のHiSE車は、このことが問題となり更新の対象から除外されたとのことです。
もっと悲惨なのは、1991年登場の20000形RSEです。
RSEもまた、ハイデッカー構造であることを理由にHiSEと運命をともにします。

国土交通省のサイトでは鉄道各社のバリアフリー達成率が一覧表で示されています。
車両毎に加え、編成毎の対応状況が一覧表で示してあり、
編成毎に捉えられていることは、さすがにその実態をよくふまえられていると思うのです。
しかし、車両毎の数字が示されているのなら、その数字が独り歩きします。

鉄道事業者は、「ひとにやさしい」というキーワードに敏感ですし、そうあるべきだと思います。

しかし、私は編成毎に対応すれば十分だと考えています。
確かに、バリアフリーは大切なことです。
さりながら、何が何でも全車両に同様の対応をするというのはいかがなものでしょうか。
バリアフリー法ゆえに、二階建てやハイデッカーの車両が作れないとなれば、
それは、車両のデザインの可能性を損ない、
車両一両あたりの着席定員の増加も望めなくなります。

では、ここで交通バリアフリー法の関連する部分を見てみましょう。
(「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」、
平成12年法律第68号、平成12年5月17日公布、平成12年11月15日施行)

2 階建て車両等でやむを得ず段差が生じる場合は、
段差端部(段鼻部)の全体にわたり幅50mm 程度の太さで周囲の床の色とのコントラストを確保し、
容易に当該段差を識別しやすいものとする。
・車内に階段がある場合には、
高さは200mm 以下、奥行きは300mm 程度、通路の幅は800mm 以上とする。

ということで、別に、2階建てやハイデッカー車を作ってはならない。
といっているわけではないのです。

間違ってもらっては困るのですが、
私は、バリアフリー対象となる方々を隅に追いやれば良いといっているのではありません。
二階建てやハイデッカーという非対応車へのアプローチが、対応車側でなされているとか、
そういう工夫が大切だといっているのです。
そういう意味で、最低3両中1両がバリアフリー対応であれば、それでOKと見なすべきではないでしょうか。
なべて、同じサービスをするということは、効率が良いという点もあるでしょう。
しかし、それでは差し障りのない没個性的な車両しか生まれてこないのではありませんか。

サービスは、国の指導だけではなく、あらゆる乗客の声に耳を傾けるべきものです。

JR東海の新幹線では携帯電話の使用が可能となりました。
ビジネスマンにとって、携帯電話は必需品です。
かかってきたかなら、デッキに駆け込まなければならないわけですが、
誰がこのことをサービスと思うでしょう。
もっとも
傍若無人に大声で通話することがマナー違反であることは、いうまでもありません。
しかし、静かに過ごしたい人にとっては、小声であっても気になるものです。

つまり、携帯電話の使用を認めるのなら、一方で、携帯電話が使用できないサイレンスカーを設定するべきなのです。
JR西日本の「ひかりレールスター」で好評であったサイレンスカーが「のぞみ」に拡大されず、
「みずほ」「さくら」にも受け継がれることもなく2011年3月をもって廃止されたのは残念なことです。

異常時を除いて車内放送が流れないほか、車掌の声かけも省略するという徹底したものであったため
「乗り過ごした」と苦情もあったそうです。
しかし、サイレンスカーのおかげでゆっくりできた。癒された。という人も多いのではないでしょうか。
乗車率が低いこともその原因だそうですが、それは「みどりの窓口」で、指名がない限り発券しなかっただけの話です。
サイレンスカーという発想自体が否定されたわけではない。
ということを考えて欲しいと思います。

ハイデッカーや2階建てという発想も、
「人に優しくない。」とか「バブリーなものに過ぎなかった。」
と頭ごなしに否定しないでいただきたいのです。

いつもと違う視線で、いつもの駅から旅に出る。
そんな-旅立ちの高揚感-が私は大好きです。


2005年に10021F・10061Fが廃車となり、これらは、長野電鉄に譲渡されています。
2011年には、10041Fも運用を離脱し廃車。
残った10001Fについても2012年3月の改正をもって運用を終了する予定です。


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*10000系HISEとすべきか 10000形HISEとすべきか。悩むべきところです。
無節操な私は、どちらでもヒットするように適当に混ぜています。

参考文献 鉄道ピクトリアル 新車年鑑1988年版 1988.5
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