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  三岐鉄道 ED45形 9号機  
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三岐鉄道 ED45形9号機 −−−1号機デビューから46年の歳月を経て登場−−−

三岐鉄道 ED45形9号機 撮影;2007.12 東藤原
−鉄道車両写真集−
  ED45形  ED5080形 ED301形 ED22形
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三岐鉄道 ED45形 9
1960年 東芝製 もと東武ED5060形5069
12.000×2.690×4.055 45.45t
MT40B×4 1:4.235
参考;私鉄電気機関車ガイドブック 東日本編 1977年

三岐鉄道 ED45形9号機 撮影;2007.12東藤原

ED45形は相模鉄道ED10形とよく似た丸みのあるデッキ付箱型電機で、いわゆる旧型電機と呼ばれる古風な出で立ちです。
しかし、今なお 三岐鉄道では主力となる電気機関車なのです。
重連総括制御装置が取り付けられていて、三岐線 東藤原 - 富田間のセメント輸送列車をメインに重連で牽引しています。

ED45形の45とはその重量tのこと。
国鉄(JR)の電気機関車と比べれば小ぶりですが、
実は、戦後、民鉄で導入された電気機関車としては標準的なスタイルで、
前述の相模鉄道のみならず、東武鉄道などでも兄弟機といえる機関車がたくさん走っておりました。
そういう点では、珍しい車両とは言い難いのですが、
よく見てゆくと他には見られない個性が感じられます。

では、ED45形の一台一台についてみてゆきましょう。
ED45形の奥深さは、実はこの歴史なのです。

ED451〜453・456 ・457
1954年から73年にかけて東洋電機製造と東洋工機で製造されたオリジナル車両です。
初号機はもう還暦を超えています。
20年近くの永きにわたって製造されているというのもすごいですね。
なお製造年によって側面通風口や前面・側面窓の大きさに多少の違いが見られます。
(457については電気部品を東洋電機製造が、車体を西武所沢車両工場が製造。)

ED454・455
もと富山地方鉄道のデキ19040形19041・19042です。1957年に東洋で製造されました。
ダム建設工事のために製造されましたが、工事の完了した1960年に三岐鉄道に移籍したグループです。
富山地方鉄道時代の痕跡は全く見られません。
OEMといっていいような車両です。

ED458
もと東武鉄道のED5000形5001です。1950年に東芝で製造されました。
少し細面で、印象が多少異なります。
三岐鉄道には1978年に入線し長くED5001のまま運用されましたが、
1993年に改造、改番されてED458となりました。
この改造で彼が最古参のED45形になるのですが、
それにしても自社発注の1〜3、6.7号機が1954年から73年と製造時期には20近い差がありました。
加えて移籍車とはいいながら、1950年製の8号機を加えれると20年を軽く超えてしまいます。

ここまででまとめてみると自社発注のグループと東武鉄道や富山地方鉄道からやってきたものがあり来歴は様々です。
ですから微妙にサイズの違いとかあるのですが、いずれも主電動機はMT40B。
これを4基搭載し、ギア比は1:4.56。性能的には統一されているのです。

そして、ED459 です。
もと東武鉄道のED5060形5069です。1963年に東芝で製造されました。
三岐鉄道には1991年に譲渡されたのですが、長らく運用されず、2000年に改造、改番されてED459となりました。
その結果、1954年、の1号機デビューから46年の歳月を経てラストナンバーの9号機が登場するのです。
これだけ息の長い、それも同一性能の形式を持つ鉄道車両はそうそうありますまい。
(1991年にED5069ともにに譲り受けた5070は部品取りをされた上で解体されました。)

ところで2000年に何があったのでしょう?
実は2000年から、三岐鉄道は中部国際空港の埋立用土砂運搬に携わることになったのです。
この特需にあわせ、これを機に現役復帰したのです。
おそらく三岐鉄道は2000年の特需に合わせ車両を確保しておこうという目算があったものと思われます。
(加えて当時、三岐鉄道は秩父鉄道から「デキ200形」を、大井川鐵道から「いぶき501、502」も導入しています。)

さて、三岐鉄道にはED5080形という電気機関車も在籍します。
その形式からも想像がつくところですが、元東武鉄道の電気機関車です。 
ED5080形は1970年1月、成田空港建設用の砕石を輸送用に、
新東京国際空港公団(現・成田国際空港株式会社)所有の機関車として3両(ED5081 - ED5083)が製造されたものでした。
おもに佐野線の葛生 - 佐野市間で使用されていましたが、
1978年11月の空港完成に伴い、3両全てが東武鉄道に編入されました。
ED5060形と同一設計ですが、新造当時から総括制御が可能あるところが違います。
(ED5060形の重連用改造車とは重連運転可。)
2003年の貨物運用廃止までED5060形とともに使用されました。
そしてうち2両(ED5081とED5082)が2003年の廃車後に三岐鉄道に売却されたのです。

さてED5081は2014年、ED5082は2011年にそれぞれED5081形として竣工しました。
ED45形9号機と同じですね。永い空白の後、現役復帰しています。
ED45形は、すべて重連総括制御ができるわけですから、
同一設計であるED5080形は、ED5069 がED45形9号機に改められたときのように10号機、11号機となってしかるべきです。
もしED5081が11号機になれば、1954年の1号機デビューから60年の歳月を経てラストナンバーが登場ということになります。
でもそうはなりませんでした。

では、ED45形との違いは何か?
それはED45形が右運転台となっていることです。
右運転台の例を挙げれば、ないではありません。
仙台市営地下鉄や大阪モノレールもそうですね。
駅のホームが島式であることから扉の開閉操作がしやすいように右運転台となっているのです。
ところがED45形は電気機関車です。客車を引っ張るわけでもありませんから、扉の開閉操作とは関係ありません。
三岐鉄道もホームはおおむね島式です。すぐにホームに降り立つためか。
といいたいところですが、運転台への出入り口は妻面中央にあります。
そうだ、窓からすぐに通票を交換するためだ。
といいたいところですが、三岐鉄道は1974年に早くもCTCを運用させているのです。
2000年にデビューした9号機に通票みたいなもの必要ありません。
なぜでしょう?
ちなみに電車は、かねてからずーっと左運転台です。
残念ながら私には、わけがわかりません。

参考文献:寺田裕一 『日本のローカル私鉄2000』 ネコ・パブリッシング、2000年 ほか

    

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