2011/12/17 UP | |||||||||||||||
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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>わたらせ渓谷鐵道 わ99形 トロッコ車両
わたらせ渓谷鐵道 トロッコわたらせ渓谷号 わ99形 --もと京王電車というトロッコ車両--わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線は、1914年に足尾鉄道として開通しました。足尾といえば悪名高い足尾鉱毒事件が思い起こされますが、 最盛期の銅産出量は日本が産出するうちの4割にも達していたそうです。 銅鉱石の輸送は国策上から重要であったことから1918年には買収、国有化され、 国鉄足尾線(桐生 - 間藤、間藤 - 足尾本山(貨物線))となりました。 1973年、足尾銅山は閉山され、本来の使命を失った足尾線は赤字ローカル線に転じ 1984年、第2次廃止対象特定地方交通線となってしまいます。 1987年、国鉄分割民営化により、いったん東日本旅客鉄道に承継されましたが 1989年3月。第3セクターのわたらせ渓谷鐵道が、事業を受け継ぎ同線を わたらせ渓谷線 (桐生~間藤間44.1km)として開業。現在に至っています。 わたらせ渓谷鉄道の名が示すとおり、 渡良瀬川の渓谷美が堪能できることが同線の魅力です。 また、神戸駅.上神梅駅は1912年建築の木造駅舎で 沿線にある旧跡・史跡とともに登録有形文化財に指定されています。 これらを観光資源として活用してゆこうということで わたらせ渓谷鐵道は、1992年7月以来、 JRのトロッコ車両(DE10+PC+トラ90000形×4+PC)を借用し運行してきました。 しかしJR東日本側の都合で1995年に運行は中止。 3年間のブランクを経て、1998年。わたらせ渓谷鉄道は、自前の車両で トロッコ列車「わたらせ渓谷号」をスタートします。 2両の座席車にはさまれたトロッコ車両をDE10形ディーゼル機関車が牽引する という編成は以前と変わりはありません。 客車には「わ99形」という形式が与えられました。 「わ」は、(わたらせ)の「わ」。「99」は投入された(1999年)にちなむものです。 ところが車番は、5010, 5020, 5070, 5080で、 その形式からは想像もつかないものとなっています。 これらの客車は中古車なのですが、 5010,5080が座席車でJR東日本から購入した12系客車。 (元スハフ12-150/-151) そして5020,5070となるトロッコ車両はというと、この種車が凄い。 なんと元京王帝都電鉄の5000系電車を改造したものなのです。 そして、この5020、5070という車番は 京王時代のデハ5020、デハ5070を引き継いだものなのです。 京王5020Fは1969年製、新製時より冷房車でしたが、 当然、トロッコ車両に改造される際には冷房装置は取り外されています。 それだけではありません。 天井部はその内壁を取り去り、梁の部分を丸見えにし貨車っぽく見せています。 そして、ドアというドアはすべて撤去され、 出入りは貫通路だけにするという徹底ぶりです。 車内には木目調テーブルと座席が配置され、 かつて通勤電車だったとは到底思えないほどです。 目に見えないところではブレーキも12系客車に合わせて一新、 台車も軌間の違う京王のものに変えて113系などと同タイプのDT-21Bに換装しました。 改造を担当した京王重機というところは、ほんとに凄いですね。 ちなみに京王5020Fの先頭車クハ5720、5770は富士急行に譲渡されています。 電装品はきっとこちらで利用されたことでしょう。
さて私は、2010年夏、 「トロッコ列車:わたらせ渓谷号」に乗ってきました。 相老駅でわたらせ渓谷鉄道の1日切符と トロッコ列車の整理券を買い求めたのですが、 なんと、トロッコ列車は売り切れでした。 あとからわかったことですが、大半の人は、 JR東日本の「びゅう」で あらかじめ整理券を購入されているようです。 ですから帰りの大間々行きに乗車しました。 大間々まで37km。 1時間38分かけて走ります。 多少乗車時間が長いかな。 と思わないではありませんが、 わたらせ渓谷は、変化に富み、 時間の経つのを忘れさせます。 途中5242メートルと長い「草木トンネル」では、 天井のイルミネーションが点灯。 乗客を飽きさせない工夫もうれしいですね。 わたらせ渓谷線は、トロッコ列車にうってつけの路線であるように思います。 わたらせ渓谷鉄道は、自走式の新型トロッコ列車「トロッコわっしー号」を 2012年4月から運行する計画を発表しています。 夏休みや秋の紅葉シーズンには乗客が集中する人気のトロッコ列車です。 トロッコ列車に乗れない場合があるため新型列車の導入するということですから、 わ99形がお役ご免となるということはなさそうです。 機回し(機関車の付け替え)を行う旧タイプのトロッコ列車は貴重な存在です。 まだまだ元気にがんばって欲しいものです。
参考文献;鉄道ピクトリアル 「新車年鑑1999年版」No676 1999.10 |
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