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  横浜市営地下鉄 2000形  2012/07/08 UP
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横浜市営地下鉄 2000形 2191            撮影 1994.8 上永谷駅 横浜市営地下鉄 2000形 1984年〜 
地下鉄車両としては全国で始めてとなる新製時からの冷房車。
オールステンレス車両、 電機子チョッパ制御装置を採用。
6連×9本(15 - 23F、54両)
2006年12月を最後に そのすべてが廃車。
−鉄道車両写真集−
東京メトロ 千代田線 06系 6000系01F   10F 23F
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横浜市営地下鉄 2000形 2191            撮影 1994.8 上永谷駅

横浜市営地下鉄 2000形−−最も薄幸な地下鉄車両−−

横浜市営地下鉄では、下一桁で何号車かを表し、
100の位と10の位の二桁で何編成目かを表します。
2000形は、6連×9本=54両製造されました。
しかし、2001はもちろん2011も存在しません。
01から14は、6連×14本製造された1000形に割り当てられ、
2000形の第1編成は、2151Fということになるからです。

ということで、左の画像の「2191」は、
2000形の第5編成で、戸塚よりとなる@号車ということになります。

さて現在、ブルーラインで活躍するのは3000形オンリーです。
最新の編成はというと、3601Fということですから、
3000形は24F〜60Fということで36編成という大所帯ということになります。
もっとも3000形はマイナーチェンジがなされており
   1次車 24F〜31Fを3000A形(6連× 8)1992年〜
   2次車 32F〜38Fを3000N形(6連× 7)1999年〜
   3次車 39F〜52Fを3000R形(6連×14)2004年〜
   4次車 53F〜60Fを3000S形(6連× 8)2005年〜
と区分することができます。

1000形を「Replace」する3000R形

うち、3次車は3000R形。RはReplace「置き換える」という意味です。
2005年7月までに1000形14本を置き換えるべく同じく14本が製造されました。
日車のブロック工法を採用した新車体に、
3000N形と同一のVVVFインバータ装置を搭載しています。
1000形の登場は1972年。
横浜市営地下鉄(上大岡駅 - 伊勢佐木長者町駅間)開業時です。
30年は経過していますが、89年〜には冷房化され車体も更新しています。
まだ使えるのにな…。という印象でした。

さて、そんな思いがぬぐい去れない2005年に、
なんと2000形までもが引退することになったのです。

2000形が製造されたのは1983年〜。経年は20年前後にすぎません。
参考までに2000形と同期の車両をあげると、京王、阪急の7000系などです。
地下鉄では営団01系、大阪市20系というところですが、
2012年現在、どれもこれも、ばりばりの現役です。

横浜地下鉄2000形

ここで2000形は、どのような車両だったのか、みてゆきましょう。
まず、2000形はセミステンレスの1000形とは違い
オールステンレス構体の車両となりました。
ユニット構造のすっきりした側窓は、205系のモデルとなったといわれています。
そういえば当時としてはまだ珍しかったボルスタレス台車を履いています。
これも205系に引き継がれている気がします。
また電機子チョッパ制御装置を採用した省エネ車両でもあります。
車両の製造コストも結構高くついたはずなのに、
こんなに早く引退させるなんて、なんとももったいない話です。

1984年の新横浜、戸塚延伸にあわせて製造された2000形は、
1000形の登場から12年は経過しています。
一世代違う車両です。
2000形は1000形の15番目の編成
という括りでは済まされない新機軸を導入した車両なのです。
それなのに1000形と時を同じくして
2006年12月を最後にそのすべてが廃車となってしまうのです。

もっとも登場から20年を経過した2000形は車体更新の時期を迎えていました。
しかしなぜ?車体更新もされずに姿を消してしまうのでしょう。

その理由を3000形との違いから みてゆきましょう。

まず車体ですが、3000形は2000形と同じオールステンレス構体の車体でありながら、
軽量化が推し進められました。
そして外板をビートプレス成形として車両清掃保守の軽減を図りました。
3000形は前面を深く傾斜させたスマートなスタイルもその特色としてあげられます。
結果、先頭車をオーバーハングし54cmストレッチすることになりましたが、
このことで運転室の居住性がUPしました。
そして、乗客の乗降時間を短縮すべくドア幅を20cm拡大、150cmとしたのです。
以後、この車体寸法が横浜市営地下鉄の標準となるのですが、
この変更が2000形に災いすることになります。
というのも2007年から実施されるワンマン運転において、
ホームドアを設置することになったのですが、3000形の規格に準拠させることとなったのです。
3000形と比してドア幅が狭く、先頭車の車体長も短い2000形は、
1000形と同様、ホームドアに対応できなかったのです。

2000形の停車位置を変えることで何とかなるような気もしましたが、
3000形に較べて運転室の居住性が劣ることも合わせて、現場の支持を得られなかったように思われます。

また、電機子チョッパ制御装置を採用したこともマイナス要素となってしまいました。
省エネ性能は優れていても、抵抗制御車と同様、2000形のモーターは直流モーターです。
対して、3000形は、VVVFインバータ制御で、ブラシの交換が不要となる軽量小型の交流モーターを採用できるのです。
保守サイドからも2000形は支持を得られなかったことでしょう。

そんなわけで、2000形の台車・ブレーキ装置・補助電源装置などは、
3000系4次車(53〜60F)に流用されましたが、
車体をはじめとして制御装置・主電動機については、
3000R形とほぼ同様のものを新規に調達し、再利用されることはありませんでした。

1000形については、1両保存されることになりましたが、2000形はその全てが解体という憂き目に遭いました。

3000S形の「S」とは?

2000形の置き換え用となる3000形はS形と名付けられました。
ちなみに3000S形のSはSatisfaction「満足」という意味だそうです。

「それはないだろう!」
思わず私は心の内で叫んでしまいました。
Sというのならそれは Sympathy「同情」ではないか。

私は横浜市営地下鉄2000形を最も薄幸な地下鉄車両の一つだと思っています。

参考文献;鉄道ピクトリアル 「新車年鑑 1985年版/1992年版」 No448/566

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