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復興にかける思いをのせて JR東日本 HB-E210系仙台駅より東北本線を北上し、利府町から松島町にかけて進んでゆくと東北本線は仙石線と並走します。ここに新たに設けられた連絡線を経由して仙石線に入線、石巻までを結ぶという路線ができました。 JR東日本が、2015年6月にスタートさせた仙台〜石巻を結ぶ新ルート。「仙石東北ライン」です この構想は昔からありました。 しかし、なかなか実現しなかったのには理由があります。 それは電源の問題です。 東北本線が交流電化であるのに対して、仙石線は私鉄であった宮城電気鉄道がルーツとなるオーソドックスな直流電化です。 双方、通し運転するには交直流用の電車が必要となるのです。 また、接続ポイントでは通電していないデッドセクションが必要です。 接続線は非電化で建設されたので、そのままデッドセクションということにはなるのですが、 運行形態が全く違う路線に入線してゆくためには、安全のため一旦停止をさせることが必要です。 つまり東北線から仙石線に入線するには、まず東北線下り線内で一旦停止し、上り線を平面交差でやり過ごして、 再び亘り線内で停車。安全確認をした上で仙石線内に入ります。 上り線で走行中に電源オフ、そのまま惰力で亘り線をスルー、仙石線に滑り込み電源切り替え、電源オン。 という芸当はできないのです。 ということは、この亘り線で電源切り替えできる施設が必要ということになります。 これは面倒ですし、コストもかかります。そこで気動車を導入することになりました。 それがHB-210系です。2連×8=16両が製作されました。 気動車とはいってもハイブリッド気動車です。 システムに関する解説は後述しますが、なぜ普通の気動車ではいけなかったのでしょうか。 2016年の春、私はHB-E210系に乗車することができました。仙台 発、石巻行きの快速です。 前述の区間、すなわち新線となる渡り線は、私にとっては興味深く、また緊張を伴う区間なので退屈はしませんでしたが、 一般の乗客の皆さんには、かったるく感じられるかもしれませんね。 でもそう感じられるとすればそれはここまで快調に飛ばしてきた分の反動とも言えるでしょう。 快速の停車駅は 塩竃、高城町、野蒜、陸前小野、矢本、赤井、蛇田、山下。 仙台-石巻間を一時間ほど で走破します。 かつての仙石線でも快速「うみかぜ」が運転されていました。 でも仙石線には待避線のある駅は存在しません。そのため、先発の列車が終着駅に先着するダイヤとなります。 特に塩竃以西は列車本数も多いので停車駅を減らしてもそのままスピードアップにはつながりません。 対して東北線内は待避線がなくても、駅の数自体が少ないですから、新ルートの時短効果は大きいですね。 将来的に長町-仙台空港へ直通運転すれとなれば、利便性もUPします。 それはさておき、列車本数の少ない高城町以東では先行列車に頭を抑えられることもなく、 快速はいくつかの駅を通過、野蒜駅に着きました。 快速を停車させるわけだから、よっぽど需要があるのだろうと思っていたら、乗降客はほとんどありません。 駅の周りも特にこれといったものが見当たらないのです。 妙だなあ。と思っていると車窓の風景が開けました。何もない広い土地の向こうに海…。 そうか。ここは津波の被災地なんだ。高架橋をゆく列車からは廃線跡らしきものも見られました。 仙石線は、その多くが海岸線沿いに敷設されており、 2011年3月11日に発生した東日本大震災では大きな被害を被っています。 松島付近は意外なほどに影響は小さく、高城町以西は4月には復旧するのですが、 新ルートとなる「仙石東北ライン」に該当する高城町以東は、復旧手付かずの状態が長く続き 、全線復旧の方針が発表されたのは2012年1月のことでした。 そして全線再開するのは2015年5月末ということになるのですが、 足かけ4年の歳月を必要としたのは、被害の大きかった陸前小野から陸前大塚までの約6.4kmについては 500メートルほど内陸に新線を建設、この区間にあった野蒜、東名の2駅も移設する大工事となったからです。 そう野蒜駅は震災の影響で山上に移転していた新駅だったのです。 新しい町作りの中核となるもので、これを活性化するためにも快速を停車させることには大きな意味があるのです。 思えば、この快速列車に使用されているのがHB-E210系です。 ちなみにキハではありません。HB すなわちハイブリッド車です。 近未来を先取りするテクノロジーを駆使した車両を導入することで、 復興にかける思いをJR東日本は後押ししていることになるのでしょう。 HB-E210形に採用されているハイブリッドシステムは小海線で使用されているキハE200系やジョイフルトレインHB-E300系と同じシステムです。 ディーゼルエンジンはもっぱら発電機を回転させる電力用として使用し、 発電機からの電力と搭載された蓄電池の電力と組合わせてモーターを駆動するシリーズハイブリッド方式と呼ばれるシステムとなっています。 ディーゼルエンジンとそれに直結した発電機・蓄電池・変換装置・駆動用のモーターから構成され、 力行時には蓄電池からの電力とエンジン発電機からの両方の電力を使用して、VVVFインバータ制御でモーター(誘導電動機)を駆動させます。 制動時には回生ブレーキによりモーターから発生した電力をVVVFインバータ装置を介して蓄電池に充電するという仕組みです。 なおディーゼルエンジンの起動または停止は蓄電池の充電状態により自動的に行われるので、 エアーブレーキのエアー充填のためコンプレッサーが不意に動き出すのと似ています。 動力源となるディーゼルエンジンはDMF15HZB-G。直噴式直列6気筒横形ディーゼルエンジンで出力は450PS(2100rpm)。 これを各車一台装備します。 蓄電池はMB3形リチウムイオン電池。 軽量かつ高出力で、1両あたりの容量は15.2kWhで電圧は直流680Vです。 なお蓄電池は2群構成で、不具合が発生した場合を考慮しています。 参考文献:鉄道ピクトリアル「鉄道車両年鑑2015年版」 2015.10 No909
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