参考文献;
 「えちぜん鉄道のこれから」
 「地方鉄道レポート20日南線」
 鉄道ジャーナル社 No470 05.12
 
      
   えちぜん鉄道のWEBページ
       
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2003.7.26   
京福電気鉄道より転換
   えちぜん鉄道 6001 三国港駅  6001 三国港駅  2005.4.5     


 
2005年9月6日の台風14号により、日南線は9月19日までの2週間、
青島−志布志間が不通となりました。一部代行バスも運行されたのですが利用した人はわずかで、
実際は、並行して走る路線バスが吸収してしまったようです。
 一方バスが全く走らなかった区間もあり、その区間では、公共交通が全くなかったわけです。
 しかし特に問題もなく、問い合わせもないままに2週間が過ぎていきました。
日南線南端部の社会的使命は、もはやないというべきなのかもしれません。
廃止が決定した高千穂鉄道ほどの甚大な被害を被っていたとしたら…同じ運命をたどっていたでしょう。

 
 さて2000年12月、そして2001年6月と
相次いで正面衝突という大事故を起こした京福電気鉄道に対し、
国土交通省は、同年7月、安全が確保できるまで運行を休止せよ。という重い措置をとりました。
 
 赤字ゆえ、車両のみならず施設も老朽化したままだった京福に、
鉄道総研がひねり出した安全対策費を
「ハイ。わかりました。」と簡単に出せるはずがありません。
 同年10月、京福電鉄は福井県内の全線廃止を国土交通省に届け出ました。
こちらは2週間どころではない、いつ再開されるやもわからない状態が続きました。
 
 70年から比較すると当時、京福電気鉄道(福井支社)の旅客数は3分の1以下、
駅の無人化、電車のワンマン化、保線の外注化など、考えられる合理化はすでに実施済み、
高架工事中の福井駅へ乗り入れるには、なおも投資が必要という、
もはや ぎりぎりの状態にまで京福電気鉄道はきていました。

 実はすでに事故以前の92年、京福は永平寺線および越前本線の一部廃止を表明しており、
三国芦原線についても廃止を視野に入れた検討が始まっていた矢先でした。

 第3セクターが運行を引き継ぐという話もありましたが、
その時私は、まず無理だろうと思っていました。
なにせ、事故当時、1日の利用客は、全線で約8300人。
 ちなみに阪急梅田駅1駅における1日の乗降客数が約62万人。
もちろん単純に比較できませんが、
沿線人口あたりの利用客が、かなり少ないということだけはわかって頂けるでしょう。
もしこれらの路線に社会的使命がないのであれば、
高千穂鉄道同様、ひっそり姿を消したとおもわれます。

しかし2年のブランクを経て新生「えちぜん鉄道」が誕生します。
いったい2年の間に何があったのでしょうか。

   えちぜん鉄道 アテンダントさん   
       アテンダントから切符を購入する友人のF氏

 実は休止されて以後、代行バスが運行することになってから、
交通渋滞が常態となってしまったのです。
利用することもない鉄道のために税金をつぎ込むのは、公費の乱用だと考えていた人も、
「これはたまらん。」と運転再開に理解を示すようになります。誤解を恐れずに言えば、
渋滞を解消するという社会的使命があったということが、このとき明らかになったのです。
 
 さてこのように前向きとはいえない理由で、自治体の支援を受け、
第3セクターで再開することになった「えちぜん鉄道」ですが、実際に訪ねてみると、
単なる延命治療を施されているのとは違う意気込みを、そこかしこに感じることができました。

 タイミングよく愛知環状鉄道の100系という
程度のよい中古車を導入できたということもさることながら
あか抜けたデザインの車両は、在来車を含め京福電鉄のイメージを一掃。
笑顔の女性乗務員”アテンダント”との相乗効果により、
清潔でフレンドリーな車内の雰囲気に最初は面食らってしまいました。

 アテンダントは、車掌ではありません。
ドアの開け閉めなどということは運転手におまかせ。
乗車する乗客には「ご乗車ありがとうございます!」
と、丁寧にお辞儀をして迎えてくれます。
整理券と運賃表をにらめっこして釣り銭の心配をすることもなく、
行き先を告げるだけで切符を用意してくれます。
駅に着くたび中断し駆け出すこともありません。
 終点の三国港では手際よく駅舎の掃除までこなしていました。
再度えちぜん鉄道を訪ねたとき、アテンダントが乗車していない列車だったので、
なんか損したような、がっかりした気分になったのは、私が助平だからではありません。

 合理化こそが、人減らしこそが、赤字鉄道存続の絶対条件ではない、
乗りたくなる列車を提供すること。鉄道もサービス業なのだという原点に、
目から鱗が落ちる思いがしていたからです。
 
 えちぜん鉄道はその発足にあたり、民間の経営者を立てました。
繊維メーカー出身の見奈美社長は、
「現在の地方鉄道は、単純な利便性より”ふれあい”に付加価値が見いだせる」
との思いからアテンダントを考えつかれたのであろうとおもわれます。
ふれあいといえば聞こえはよいが、
顔をつきあわせているからこそ苦情も絶えないという面もあるわけです。
しかしその苦情こそが神の声という姿勢が、鉄道を変えてゆきます。

 切符をご覧ください運賃額記入形ではなく、下車駅が記入されています。
ちなみにこれは自動販売機で買ったものではありません。
窓口で行き先を告げて購入したものです。
手間はかかりますが、
こうすることで何時の列車にどこからどこまでどんな乗客が乗車したか
マーケティング情報として入手することができます。
 こうした地道な努力を背景に、お客様の意に沿ったサービスを提供することで、
えちぜん鉄道は当初の目標を上回る業績を上げつつあります。

 えちぜん鉄道の前向きな経営戦略を応援したいと思います。 

えちぜん鉄道 1103 もと阪神 1103 あわら温泉駅 2005.4.5

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