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2018/08/05 UP | ||||||||||
J鉄局TOP>珍車ギャラリー>叡山電鉄 730形 732 「ひえい」
「きらら」とは背負っている歴史が違います-叡山電鉄732 「ひえい」2018年3月より観光用車両「ひえい」が運行されています。観光用車両は鞍馬線用に導入されたパノラマ車両900系「きらら」がすでにあるのですが、 比叡山・琵琶湖を周遊する観光ルートの活性化を企図して、新たな観光用車両を叡山本線にも導入することとなりました。 ただ900系「きらら」と違うのは、新車ではないということです。 700系730形の732号機を改造しました。 新車ではない分、目に見えない歴史が秘められています。 「ひえい」の外観は、比叡山、鞍馬山のもつ神秘的なイメージをモチーフにしたという楕円が印象的で、 車内もまた楕円が強く意識されているデザインです。 昔、NHKで「タイムトンネル」というSFドラマをやっていたのですが、 ふと、そんなのを思い出してしまいました。 そういうわけで今回は732号機の歴史からお話を始めたいと思います。 700系は1985年の叡山電鉄設立後、最初に登場した車両です。 叡山電鉄は京福電気鉄道から叡山本線・鞍馬線の2路線を引き継いだ新会社ですが、 その裏には厳しい経営状態をなんとかしなければならない背景がありました。 ターミナルである出町柳は、市内中心部からは外れたところにあり、かつ これといった接続路線もありませんでした。 加えて1978年の京都市電全廃により、叡山線はますます孤立。 市内中心部に直結する路線バスに乗客が流れ、乗客数は大幅に減少してしまったのです。 さすれば、経費を切り詰めるしかないのですが、 人件費の削減が思うようにすすまなかったということもありました。 700系のそのすべてがワンマン仕様の単行用車両となったのはそういうわけです。 もちろん そのすべてを新車でそろえられる余裕はありません。 1987、88年に在来車の機器を流用し製造されることになりました。 改造元となった車両により3形式にわかれます。 デオ710形はデナ21形、 デオ720形はデオ200形の台車、主電動機を流用しました。 デオ730形はデオ300形の改造名義で製造されましたが、 台車、主電動機は京阪1800系のものを流用しました。 ![]() さらりと申し上げましたが、流用品の違いにより、 ツリカケ駆動とカルダン駆動車が混在するということになってしまったわけです。 現在は全車とも、 台車、主電動機、駆動装置が交換されカルダン駆動となっていますが、 ひと癖もふた癖もある700系は運転も一筋縄ではいかなかったに違いありません 加えて、ワンマン運転でお客様とも直に接していかなければならなかったのです。 ワンマン運転がわかるように「アイボリーとマルーン」の塗装でデビューした700系でしたが、 運転手さんは、複雑な思いでこれを眺めておられたのではないでしょうか。 しかし、700系はワンマン運転による合理化だけでなく、 旧態然とした在来車を近代的なデザインの冷房車で置き換えることで、 新生 叡山鉄道をイメージアップするために導入したものでもあります。 2005~11年には、車両ごとに異なる山(緑)、川(青)、もみじ(赤)、新緑(黄緑)をイメージした帯を 窓下に巻くクリーム塗装に変更されています。加えて、 2015年には、731号機が叡山本線開業90周年にちなみ デナ1型車両をイメージした「ノスタルジック731」として 2016年には、712号機が消防車両ラッピングの 「えいでんまとい号」として運行しています。 併せて足回りの近代化も進み、性能的にも足並みがそろってきました。 がんばっていますね。叡電。 京阪の出町柳延伸が追い風になったのは言うまでもありません。 京阪電鉄もまた、叡電および沿線の活性化に本腰を入れてきました。 カラフルな電車が多い叡電は、嵐電と違って、広告電車が少ない気がします。 併用軌道区間のある嵐電のほうが 多くの人の目に触れる機会が多いというのがその理由でしょうか。 それならば、より個性的なデザインで、快適なアメニティーで 人を引きつけて勝負しようというのが、 732号機「ひえい」です。 900系「きらら」で、すなわち より個性的で魅力あふれた車両を導入することで 集客力をUPした実績があります。 「ひえい」も期待に応えてくれるに違いありません。 731は「川をイメージした青」となった後、 2015年9月より叡山本線開業90周年を記念して開業当時のデナ1型車両をイメージした「ノスタルジック731」として運行しています。 ![]() 参考文献:鉄道ピクトリアル 「 」 1995年10月 No612 の記事
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