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  富士急行 2000系 フジサン特急  2007.11.17UP
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クロ2002 (フジサン特急) 2002.2改造 自社工場改造
長さ(m) 幅(m) 高さ(m) 自重(t)
21.075 2.950 4.088 40.0
(38.6)
ブレーキ 定員(座席) 冷房機 台車(製造)
SELD発電B併用
電磁直通空気B
38
(20 展望室を除く)
AU71D
28000kcal/h×1
TR-69B
もとJR東日本 クロ165−4 (クハ165−148)
パノラマエクスプレス アルプスへの改造は、S62.3 大井工場が担当
*0.4t重くなったことと、座席定員が変わったこと以外に
スペック上、差は、みられません。

鉄道車両諸元表(電車):出典は鉄道ピクトリアル 「鉄道車両年鑑2002」No723                                  「新車年鑑1988」No496

写真は、富士吉田駅 2007.7.29


 日本一のフジサン特急 富士急行 2000系

 急行用電車として登場した国鉄車両が、地方鉄道に籍を移したとはいえ、特急用電車として再生、昇格したのを御存知でしょうか。
富士急行 2000系 フジサン特急です。
もとをただせば、国鉄の急行用電車165系に行き着く2000系ですが、当然、165系がそのまま、フジサン特急になったわけではありません。
その前身は、JR東日本のイベント用電車 「パノラマエクスプレス アルプス」でした。
首都圏管内で唯一ジョイフルトレインを持たなかった東京西局が国鉄最後のイベント用列車として製作したものです。
民営化のまさに直前、昭和62年3月28日より営業運転を開始しました。

前面展望が楽しめるのは、鉄道ファンでなくても嬉しいものです。
私鉄では名鉄のパノラマカー、小田急のNSEなどが、先例としてあげられますが、国鉄では例がなく、
国鉄初の前面展望車となるのが、「パノラマエクスプレス アルプス」なのです。
むろん国鉄では唯一の存在です。
 デザイン的には、小田急のLSEに近いような気もしますが、連接車でないぶん車体長も長くスマートです。
また、展望室の後ろ寄り、2階部分に運転台があるのもLSEと同じですが、より後ろに位置する分バランスも良く、本当にカッコイイ。
スタイルだけではありません。
その土台となる165系は 153系のデザインを引き継ぎ、113系近郊形電車ともさして、そのマスクはかわらないことから、
地味な存在なのですが、特急電車にひけをとらない中身の持ち主です。
まず、165系の台車(DT-32、TR69)は、上下動のみならず、左右の振動も吸収する空気バネを採用しており乗り心地は抜群です。
以後の国鉄特急用電車にも、標準型台車として採用されたこの台車を、いち早く採り入れたのが165系です。
モーターも強力なMT-54(120kw)を装備しています。
また耐寒耐雪構造を持ち、抑速発電ブレーキをも持ち合わせていることから、直流区間であればあらゆる路線で活躍できる優れものなのです。

 富士急行が、この「パノラマエクスプレス アルプス」を導入したのは、かねてからJRより直通運転されてきた実績があること。
とりわけ3両編成で×2でそのまま大きな改造をせずとも導入できたことが大きな理由とされています。
しかし、導入当時、40歳近いこの車両を導入したのは、足腰がしっかりしていることと、豪華な内装。
それとこの見事なスタイルが、この国鉄の忘れ形見を生き延びさせているような気がします。

フジサン特急の個性的なペインティングについては、賛否両論あるようです。
友人のU博士は、「なんということをしてくれたんだ…」と頭を抱えておられました。
私も「チョットこれは…」と思わないでもないのですが、このことで注目されれば、それだけでも存在感がアップするわけです。
それが経営が厳しい地方鉄道で生き延びるために必要とあらば、やむを得ないような気がします。

振り返ってみれば、2000系の種車である国鉄165系急行用電車は、1960年代に登場し、現在JR線上からは、姿を消してしまっています。
40年もの歳月を経た今、特急電車になろうとは、当の本人も予想だにしなかったことでしょう。
生き残っていること自体、奇跡と言うべきなのかもしれません。


2007年夏、フジサン特急に乗車しました。クモロ2202に乗車したのですが、シートピッチが広く、本当にゆったりとしていました。
さすがに、くたびれた感じもないではありませんが、よく手入れされていて特別料金を取るだけの値打ちはあるというのが実感です。



しかし、遅い! 特急にスピードを求めるというのなら、不平の一つも言いたくなるトロさです。
おそらくフジサン特急は日本一表定速度が最も遅い特急電車ではないでしょうか。
ここで、2000系の名誉のためにも言っておきたいのですが、これは、2000系のせいではなく富士急行線の問題です。
急行の名を冠しているものの、当線は、日本一の山、富士山の山裾で山あいの路線を縫うように走っているのです。
当然単線ですから、停車駅以外でも列車交換(行き違い)のため、運転停車もします。
停車しないまでも、列車交換(行き違い)のできる駅へは、最徐行で進入します。
富士吉田駅では、スイッチバック。運転手は、最後部の運転台へ移動しなければなりません。
どだい早く走れるはずもないのです。
富士急行のホームページでは、「新宿−河口湖間が約100分」がフジサン特急のキャッチコピーです。
大月までの77.5kmを約1時間で駆け抜けるJR特急と富士急行線内22.6kmを約40分かけて走るフジサン特急をセットで売り出すのはチョットずるい気がしないではありません。
でもこれでいいのです。各駅停車なら、1時間かかります。20分も早い。
またJR特急への接続がいいのもフジサン特急です。
それになんと言っても、この豪華さ!
展望室から富士山が見えようものなら(曇ってて見えなかったけど、20分間程度見えるそうです。)
ゆっくり走ることこそが、最高のサービス。まさに日本一のフジサン特急といえるのではないでしょうか。

クモロ2202 (フジサン特急) 2002.2改 自社工場 改
長さ(m) 幅(m) 高さ(m) 自重(t)
20.400 2.950 4.088 38.4
駆動方式 制御器(電圧) モーター(kw) ギア比
平行カルダン CS−15E
1500V/DC
MT-54
120×4
4.21
ブレーキ 定員(座席) 冷房機 台車(製造)
SELD発電B併用
電磁直通空気B
36(36) AU13E
5500kcal/h×3
DT-32B
もとJR東日本 クモロ165−4 (クモハ165−123)
パノラマエクスプレス アルプスへの改造は、S62.3 大井工場が担当
*スペック上、差は、みられません。
鉄道車両諸元表(電車):出典は鉄道ピクトリアル 「鉄道車両年鑑2002」No723 
                             「新車年鑑1988」No496
写真は、大月駅 2007.7.29

フジサン特急は2編成あります。
しかし第2編成では展望室のあるクロ2002が、第1編成(クロ2001)と違って上り向き(大月側)に付いています。
富士急側の説明では、「上り下りとも展望を楽しんでいただくため。」とのことですが、実のところ
これは6両編成(3+3)だった「パノラマエクスプレス アルプス」そのまま持ってきたからです。
というのは他でもありません。富士山に向かって走る下り向きの方が、絶対に展望車向きなのです。
今回の旅では、富士山が見えなかったので、また近いうちに乗車したいと思っているフジサン特急ですが、
今度こそは展望車から見たい!でも富士山が見えたとしてもその確率は二分の一…。
なぜ、方向転換してくれなかったのでしょう。


2014年に2002編成が廃車。2001編成も2016年2月のラストランをもって引退しました。

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参考文献;鉄道ピクトリアル 「鉄道車両年鑑2002」No723  「新車年鑑1988」No496
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