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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>伊豆急行 サロ1801 ロイヤルボックス
伊豆急行 ロイヤルボックス誕生の背景−リゾート21とは違う−サロ1801 ロイヤルボックス−静岡県伊東市より下田市まで45.7km。伊豆急行が開業したのは、1961年です。比較的遅かったとも思えますが、開業後順調に業績を伸ばし、65年には黒字経営に転じました。 伊豆半島は多くの温泉地に恵まれたリゾート地です。でも、ウラを返せば火山活動が活発なところで、 74年頃から群発地震に見舞われ、78年には伊豆稲取−河津間が休止されたこともあるのです。 73年にはピークを迎えたものの、以後約十年間、低迷を続けました。 そんな退潮ムードを払拭するために、85年、登場したのが2100系「リゾート21」です。 「普通列車のスーパーカー」という異名を持つ観光列車は、乗ること自体が楽しめることをコンセプトに、 斬新なスタイルと豪華な車内設備でデビュー。人々の度肝を抜きました。 特急列車といって差し支えない車両で、前面には展望室を設け、 他の客室においても海側の3人掛け座席は、波上に配置するなど、海岸の景色を楽しめる工夫を凝らしてあります。 もちろん大好評で、乗客増に大きく貢献しました。 しかし86年。伊豆大島の三原山が噴火。またもや群発地震が発生し、伊豆地方は緊張した日々が続きました。 そんな状態が落ち着いてきた後、癒しを求めて伊豆地方へやってくる行楽客を何とか取り戻さなければならない。 そんな切なる思いの中で88年に登場したのが、リゾート21の第3編成(R-3) です。 私鉄電車初の東京乗り入れを果たすべく、110km運転が可能となったリゾート21で、 首都圏の観光客を伊豆へと誘った、これも注目すべき車両ですが、 もう1両、忘れてはならない珍車を、今回はご紹介したいのです。サロ1801です。 ロイヤルボックスといえば、リゾート21に組み込まれたものと思いこまれている方も多いのではないかと思いますが、 実は、100系編成の中に組み込まれたこのサロ1801が、ロイヤルボックス第1号なのです。 ![]() 私鉄では珍しい普通列車用グリーン車を保有していました。 (左の写真は、サロ184。サロ1801ロイヤルボックスの種車です。) 86年にグリーン車は廃止となり、 サロ180形はサハ180形へと改造されます。 ところが、このうちサハ184だけが87年3月、 再度改造されサロ1801「ロイヤルボックス」として登場するのです。 折からの旅客の高級志向に合わせ、好評であった 「リゾート21」を超える豪華な車両を目指したものです。また 車内での旅行ガイドのサービスも付加したかつてない車両です。 …車体の中央部に設けられた4枚折戸の大型ドアが左右に大きく開くと、 大理石で出来たカウンターテーブル越しに 専任の女性乗務員が、微笑んで迎えてくれる。 ゆったりとした一人掛けのシートに身体を沈め、 薫り高いコーヒーを飲みながら、 超ワイドな窓越しに海岸の美しい景色を満喫する…。 と想像するだけでもセレブな気分に浸れるというものです。 ![]() ロイヤルボックスは90年、リゾート21にも増備されることになりました。 サロ2180です。(写真右 サロ2184 ロイヤルボックス) しかしサロ1801_ロイヤルボックスとは違い、 星空天井(スターダストルーフ)を導入し 車内のイルミネーションを楽しんでもらおうという新機軸を導入しました。 確かに伊豆急行線内はトンネルが多く、 夜間などはこれも楽しいものといえましょう。 でも四季折々、朝昼夕方と姿を変える 伊豆海岸の多様な美しさにはかなわないと思うのです。 サロ2180は4両とも、その演出を変えてはいますが、 それぞれ3分もすれば慣れてしまうのではないでしょうか。 私はロイヤルボックスに乗ったことがないので、偉そうなことはいえませんが、 750円(JR通しで1000円)の特別料金を払って、 天井を見たいと言う人は、そういないのではないでしょうか… なんでもロイヤルボックスは空席が多かったと聞きます。 2003年3月、伊豆急行は、 普通列車でのロイヤルボックスの営業をやめてしまいました。 (ちなみにサロ1801ロイヤルボックスは、一足早く99年に普通車扱いとなっています。) ロイヤルボックスを抜き、7両編成となったリゾート21ですが、その第一編成が2006年春、廃止されました。 代替え車は、東急の8000系です。 もちろん内装は変更されていますが、100系の代替え車であるJRの113.115系といい、何か寂しい気がしてなりません。 80年代後半、災害を乗り越えて、鉄道でお客様を取り戻そうとした、あの熱意を今の伊豆急行には感じることが出来ないのです。 道路網が整備され、自動車で伊豆へと向かった行楽客は、かつてのような渋滞に悩まされることもなくなりました。 もはや、鉄道の優位性がかつてないほどに揺らいでいるのが現実です。 鉄道への投資効果が見込めないというのもわからないではありません。 でも、だからこそ、乗ること自体を楽しめる車両を、美しい海岸の景色を満喫できる車両を…という、 かつての原点に帰って欲しいのです。 これから、リゾート21の第2編成以降も姿を消してゆくことになるでしょう。 でも、東急8000系のつり革に掴まって伊豆の旅をしたいとは思いません。 旅という非日常性を堪能できる車両を伊豆急行には、期待したいのです。 サロ1801ロイヤルボックスにも、そのヒントはあると思います。 ![]()
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