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2014/07/27 UP |
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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>日本国有鉄道 スニ40形 パレット荷物車
−国鉄 スニ40形−これでも分類上客車です−
1986年11月。 国鉄最後のダイヤ改正で荷物輸送は廃止されました。 ですから、JR各社には荷物車はいないはずなんですが、寝台特急北斗星用にまだカニ24がまだ現存しています。 もっともこれは冷房装置などの電源を供給するためのもので、荷物車というには少しそぐわない点があるのも事実です。 しかし24系25形客車においてはなくてはならない車両です。 そんなわけで、荷物車は客車に分類されます。 かつて、大阪駅なんかにも荷物列車が荷下ろしのために結構長く停車していました。 牽引機はEF58やEF61など旅客用の機関車です。 そんな彼らが引き連れてきた荷物車もその多くは、もと客車。 そのクラシックで個性的なスタイルに魅せられ、私はこれを片っ端からカメラに納めました。 ご存じの通り、私の鉄道写真は、編成まるごと1両ずつ全部撮影するというやりかたです。 「J鉄撮り」なんて勝手に名付けていますが、そのきっかけは荷物車にあります。 さて、そんな中に妙な車両の写真が混ざっていました。 スニ40形です。−−上の写真をご覧ください。 どう見てもこれは貨車でしょ。 客車にはとても見えません。しかし、これはマニ35形同様荷物客車に分類されるのです。 広辞苑によると「貨物」は「財貨、品物」 「荷物」は「運搬、運送する物品」とあり、「鉄道では、特に旅客列車で運ぶ手、小荷物をいう」とあります。 要は、鉄道における小ぶりの輸送物品は荷物と解していいと言うことでしょうか。 さて、スニ40形は1968年10月の国鉄ダイヤ改正。 いわゆる「ヨンサントオ」にあわせてデビューしました。 このとき、パレット荷役という新しい荷物輸送システムがスタートしたのです。 従来、1個単位で仕訳・荷役作業を行ってきた鉄道小荷物輸送は、人と手間がかかります。 当時国鉄では、生産性の向上が謳われていました。 諸作業の効率化を目的とした「マル生」運動です。 スニ40形もその一環として開発された車両なのです。 「パレット荷役」とは行き先別にパレットを用意し、これにひとまとめにして運ぼうというものです。 主要駅では自動仕分装置を導入するなど地上設備を改善し、 車両でも積み下ろしの作業負荷を軽減させるべく「側面総開き・平床構造」などを採用しました。 鉄道における小ぶりの輸送物品は荷物ということだったのですが、 ひとまとめにするということから、限りなく貨物に近くなってしまったということですね。 よって構造は、高速有蓋貨車ワキ10000形を基本とした設計です。 屋根や妻板はプレス加工鋼板。側面はアルミ合金の側扉を片側に4枚設けました。 このことで側面は、すべてを扉として開閉できる「総開き構造」となりました。 ただ、このままでは車体の強度を維持できないので、 側面には屋根を支える補強材を設けたほか、台枠は中央部分のカサを増した「魚腹構造」となっています。 室内に目を向けると、車輪つきパレットを移動させるため床面はフラットです。 また、パレットを固定する脱着式の横棒が設置されました。 職員は乗務しないのが前提ですので、室内への暖房供給は行われませんが、天井には作業灯を設けられています。 翌1969年には、スニ41形も製作されました。 こちらは荷物室に車掌室を付加したものです。貨車でいえばワキフですね。 こちらも側面開き構造・平床構造などパレット荷役に最適化された車両です。 パレット荷物車は、小荷物取扱量の多い幹線系の荷物列車に多用されました。 夜行の急行列車に併結する運用も存在したそうです。 荷役の高速化、荷物輸送のパレチゼーション推進に多いに寄与したことでしょう。 パレット荷物車は、好評だったに違いありません。 1978年には、マニ44形もデビューします。 スニ40形・スニ41形を基に、車体長を19500mmに大型化した車両です。 1983年までになんと大量に161両 (2001 - 2161) が製作されました。 老朽化したマニ60形・マニ36形などの取替え時機に合わせて、荷物輸送のパレット化を一層推進しました。 しかし、なんということでしょうか。 1986年11月のダイヤ改正で荷物輸送は廃止されることになったのです。 スニ40、41形は1987年4月のJR移行までに全車が廃車され、 マニ44形にいたっては、製造後、4年に満たないものも含め、大部分は転用されずに廃車されてしまうのです。 (波動輸送用として2両がJR東海に承継されましたが、これも 年までに全車が除籍されました。 彼らについては、また項目を改めてお話しすることになるでしょう。) それにしても、どうしてJR各社は荷物輸送を引き継がなかったのでしょう。 旅客鉄道各社が、地域に分割された以上、全国ネットというわけにはいかないでしょう。 しかし、JR貨物は全国にまたがる会社です。 主要な駅に拠点を持つ日本通運とタッグを組んでより効率的な荷物輸送、いや小口貨物輸送を手がけることができたのではないでしょうか。 21世紀の今、佐川急便やクロネコヤマトのコンテナが機関車に牽引されてゆくのを見るにつけ、 JR貨物は大きなビジネスチャンスを逃してしまったのではないか…。 私にはそんな気がするのです。
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