鉄道写真管理局 珍車ギャラリー
  JR東日本 E501系  2017/12/30 UP
JS3VXWのHP toppageへリンクHP  
  J鉄局TOP珍車ギャラリー>JR東日本 E501系

常磐線用 E501系 5両編成 勝田車両センターK751~754編成、
←いわき⑤                小山、土浦①→
クハE501_1001-サハE501_1-モハE501_1-モハE500_1-クハE500_1
E501系は1995.12より営業運転を開始
参考:JR編成表2015年夏版 

-鉄道車両写真集-
JR東日本 E501系 常磐線水戸線用
へJUMP
  JR東日本 E501系 クハE500-1.  撮影2016、12  小山 

「交直流通勤形というジャンルは成り立たなかった?」-JR東日本 E501系


E501系は1995年3月に登場しました。
4ドアロングシートの通勤形電車で、見ての通り209系そっくりです。
それもそのはず、車体デザインは209系と同じです。
ただ500番台の形式からもおわかりのように、交直流電車であるということが違います。
しかし、103系にせよ201系にせよ、通勤形は大都市の直流区間を走るのが普通で、
都市圏から郊外の交流区間に乗り入れてゆく交直流通勤形電車は極めて珍しく501系はJR唯一の存在です。
そう、503系とか601系などの発展型、後継機は存在しないのです。

E501系は403系の後継機として全車両が勝田車両センターに配置されました。
(ちなみに403系と言っても、これは通勤形ではありません。トイレ付きのセミクロスシート車、すなわち近郊形交直流電車です。)
前述したように209系に準じた車体だったため長距離にわたって乗り続けることを想定しておらず、またトイレもありません。
さすがにこの電車を120km超の「勝田」まで走る普通列車に投入することはJR東日本もためらわれたのでしょう。
その運用範囲は常磐線の上野-土浦66kmに限定されることとなりました。
ですから普段は土浦駅の電留線で常駐し、勝田車両センターには3ヶ月に1回程度しか戻ってきませんでした。

作られた編成は10両固定の基本編成+5両固定の付属編成です。
103系(現E231系)常磐快速とおなじですね。
ですからE501系は、取手までの103系常磐快速を増強したものであり、
取手以北の利用者増にあわせ、これを土浦行きとして延伸させたものと考えるべきです。

それなら同区間26.4kmを直流化するのが、手っ取り早いですね。
でもそうならなかったのは、
取手以北は石岡市にある気象庁地磁気観測所の観測障害を避けるために交流電化となっており、
直流区間を北伸することは不可能だったからです。
地磁気観測所がなかったらE501系は存在しなかったかもしれません。

E501系は209系と同じくMMユニットを採用し、M1に主回路機器を、M2に補助装置を搭載していますが、
交流機器を搭載するスペースの都合上で空気圧縮機は付随車に搭載しました。
また交流機器の搭載による自重増に対応するため
主電動機の定格出力を209系の 95 kW から 120 kW にUPしました。
(E501系も209系も交流モータ(かご形三相誘導電動機MT-73→MT-70))
209系が95kWとは低いな。と思われたかもしれませんが、
VVVFインバータ装置とともに用いることで、実際には直流電動機 150 kW 相当の実力を持っています。
その結果、同じく10連(4M6T)でありながら
205系10連(6M4T)と同等の起動加速度 2.5 km/h/s ・最高速度 110 km/h を達成しているのです。(歯車比は 7.07)。
E501系の場合、交流機器の搭載による自重増に加え、最高速度120km/h を達成するため、
直流電動機 190 kW 相当の出力を与えたということになります。
(なお歯車比は6.06。起動加速度は2.0km/h/s)

あとE501系で忘れてはならないのは、
動作時、ドレミファソラシドを奏でるかのような変調音を響かせるVVVFインバータ主変換装置を装備していたことです。
ドイツ シーメンス社製のCI3主変換装置です。
京急の2000系などにもドレミファインバータの設置例はありますが、
JRでは唯一の例で、発車時のみならず停車時にも変調音に音階があったのはE501系だけではなかったかと思います。
なかったか というのは、2007年から付属編成、2012年には基本編成も
VVVFインバータ装置を東芝製IGBT素子のものに交換してしまったからです。

初の交直流通勤形電車として製造されたE501系ですが、
10両固定の基本編成4本、5両固定の付属編成4本の計60両で
製造はストップしてしまいました。
60という数字が多いか少ないか。ピンと来ない方に申し上げます。
1998年4月当時、JR東日本の電車総数は在来線用だけで軽く10700両を超えています。
209系だけでも838両です。
早い話が、交直流通勤形というジャンルは成り立たなかったということです。

デビュー当時、首都圏のラッシュ時において4扉ロングシート車の収容力が必要不可欠であったとはいえ、
1号車から15号車まですべての車両が均等にすし詰めだったわけではありません。
日中はといえば、全車ロングシートで座席数が減少したことのほうが問題です。
座れない加えてトイレがないでは、長距離客に振り向かれなくなるのは当然です。

同じく1995年には総武横須賀線にE217系が登場しています。
4ドアながらセミクロスシート車を編成端に配置した「次世代型近郊通勤電車」ともいうべき車両です。
房総各線から横須賀線まで通しで乗る乗客はまずめったにいないと思われますが、
長距離客にも配慮した車両です。
常磐線にも、この発想が必要だったのではないかと思われます。
実際2006年に常磐線に登場したE531系がそうです。
E217系の改良型であるE231系をベースにした交直流電車ですが、
セミクロスシート車を編成端に配置した「次世代型近郊通勤電車」となっています。

2007年には2階建グリーン車もそろえたE531系は
常磐線にも新時代の到来を感じさせました。
つくばエクスプレス(TX)に対抗すべく設定された最高時速は130キロ。
全車ロングシートで、かつ最高120キロのE501系を同じ路線で走らせるのはもはや無理。
E501系は2007年2月以降、上野に乗り入れることはなくなり、
常磐線の土浦以北・水戸線のローカル運用へと「都落ち」してゆくことになります。

E501系は、常磐線土浦以北、水戸線への転用のため
車椅子対応トイレの取り付け工事を行い、
付属編成は合わせてVVVFインバータの更新工事(CI-3→CI-17)も実施しました。
(基本編成は2011~12年にVVVFインバータを更新)
常磐線快速(15両編成)の運用から離脱することから
自動解結装置(電気連結器)の撤去も行いました。
(付属編成の号車番号も11~15号車から1~5号車に変更。)

2008年12月。「都落ち」した彼らを撮影すべく、水戸へと向かいました。
早朝に東京駅に着く大垣夜行から、そのまま普通列車を乗り継いで水戸に着くと、
ちょうど朝のラッシュ時となります。
失礼ながら、こんなにたくさんの乗客がE501系10連から吐き出されてくるとは想像もしませんでした。

持ち前のパフォーマンスを活かし、元気に活躍している姿を見てうれしくなってしまいました。

願わくば、房総各線で活躍している209系2000番台のようにセミクロスシート車を組み込んでほしいものです。

参考文献:鉄道ピクトリアル 「新車年鑑 1995年版」 1995年10月 No の記事
       JR電車編成表 2015年夏版 98年版

J鉄局 トップページへ  鉄道写真管理局 (JR/JNR)へ (私鉄/都市鉄道編)へ 鉄道車両写真集INDEX 
 鉄道切符管理局 
ローカル線切符紀行へ  リンク集へ   鉄道資料室へ
JS3VXWのHPです