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2017/08/15 UP | |||||||||
J鉄局TOP>珍車ギャラリー>JR東日本 ソ300形 操重車
「日本で一番重い鉄道車両」-JR東日本 ソ300形 繰重車-日本で一番重い鉄道車両は、何でしょうか。やっぱり機関車ということになりますでしょうか。 Webで調べてみると C62形蒸気機関車が145tで最大ということでした。 でも、炭水車も含めて2車体ですから、1車体で考えるとどうなるのでしょう。 いやいや、そんなことを考えずとも…このC62形蒸気機関車を凌ぐ車両が存在しました。 機関車ではありません。貨車です。 いっておきますが、貨物重量は含めていません。自重だけで150t超もあるのです。 その名はソ300形。操重車と呼ばれる事業用貨車です。 さて、操重車とはなんでしょう? クレーン車と思っていただければいいかなと思います。 地上設置のクレーンではどうにもならない貨物を扱う場合や 事故の復旧作業に用いられます。 脱線した重量の大きい機関車をレールに復帰させるには相当のクレーンが必要となります。 大がかりなものになるのは当然です。 保線用もあります。クレーンで信号設備や分岐器などを荷下ろしするものです。 さらに橋梁の橋桁を設置する際に用いられるものも現れました。 それがソ200形、そしてソ300形なのです。 先にソ200形について解説します。 ![]() ソ200形は1960年に日立製作所で2両が製造されました。 車端から長さ12.25mのブームを水平に繰り出すことができ、 スパン長 最大22.3mとなる橋桁を一点吊りすることができました。 ブームの伸縮にあたっては、当然バランスが崩れるので、砂利を積み込むことでバランスの変化に対応します。 クレーンの動力は電力です。発電用ディーゼルエンジン(54PS)を搭載しています。 全長26m、自重130tの巨大貨車です。 いや貨車というより、建設機械といった方がいいかもしれません。 ソ300形はこの改良版です。1966年に日立製作所で2両が製造されました。 ブーム長は12.5m。荷重は35tで、ソ200形よりも5t増加、より大きな橋桁が扱えるようになりました。 加えてブームの旋回範囲は4mとなり、隣接する線路からの橋桁架設も可能となりました。 ブームの伸縮・旋回にあたって動力源となるのは同じくディーゼルエンジン(50PS)ですが、 重機でよく用いられる油圧駆動となりました。 また、砂利の積み降ろしによって行っていたバランス調整は、車載されたバランスウェイトの移動により行うように進化しています。 また自走できることになったのもすごいことですね。 最高速度は平坦線25km/h、作業時20km/hと低速ですが、 走行用のディーゼルエンジン(300PS)を装備し、ブーム先端側2軸を駆動します。 なお、勾配線区での使用時には、 空気ばねによって駆動軸の軸重を10tから17tに切り替え粘着力をUPすることができるという優れものです。 かくして 全長27,500mm、自重153.5tに及ぶ、国鉄史上最大の鉄道車両が生まれたのです。 この自重を支えるための台車は 板台枠式の4軸ボギー台車4基を前後2群に配置した4-4軸複式ボギーです。 1987年の国鉄分割民営化までにソ200形は廃車されましたが、 ソ300形は、JR東日本に継承され、田町電車区に配属されました。 しかし、彼らは実際どれくらい活躍できたのでしょうか? 現場へは機関車が牽引するということで最高速度は75km/hとなりますが、 それでも首都圏の高密度列車ダイヤの間をかいくぐってゆくことは困難です。 深夜での移動についても、貨物列車でさえ100km/h運転する時代です。 道路事情も大きく変わりました。 昔なら輸送手段が鉄道しかなかった場所でも道路網が整備され、 高速道路経由で資材をすぐに現地に送り届けることができるようになったのです。 あまり活躍する機会はなかったのではないでしょうか。 、 ソ301は2001年6月(ソ300は2000年1月)にそれぞれ廃車となりました。 国鉄時代に廃止されたソ200形より、十数年以上長生きしたのは、 重宝されたのではなく、その巨大さゆえ、処分が先延ばしされた結果のような気がします。 碓氷峠鉄道文化むら(JR東日本が信越本線横川駅に隣接した鉄道跡地に建設したテーマパーク)に、ソ300形300が保存されています。 参考文献:「新版 国鉄 客車 貨車 ガイドブック」誠文堂新光社 1978年.1月 |
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