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−JR九州 キハ185系 キハ186形−
発足当時、JR九州には特急用気動車は存在しませんでした。 そういえばJR東日本もそうです。しかしJR東日本の場合は、幹線はすべて電化されており、 非電化区間といえばそのほとんどがローカル線で、急行が走っていた路線も数えるほどです。 対してJR九州には久大本線と豊肥本線があります。 ともにローカルムードたっぷりの路線ではありますが、豊肥本線は県都、大分市と熊本市を結びます。 久大本線にしても大分市と九州有数の都市である久留米市を結びます。山田線や飯山線とはちょっと事情が違います。 加えて豊肥本線は阿蘇山、久大本線は湯布院と名だたる観光地を抱えるのです。 観光客の心をつかむためにも、新生JR九州は新型の特急車両を導入したいところです。 しかし、まずは主要路線から手をつけるのが定石でしょう。 JR九州は、都市間輸送の要となる783系−ハイパーサルーン−にその力を傾注します。 新型の特急用気動車の開発は見送られました。 そこで今回取り上げるキハ185系です。実はこれ、JR四国から移籍してきたものなのです。 JR間で車両が移籍する例は、他にないわけではありませんが、在来線の特急車に限ればこれだけだと思います。 それにしても、なぜJR四国はキハ185系を放出したのでしょう。 そこらへんの事情からお話ししましょう。 JR四国の主要路線である予讃線や土讃線は、長く非電化路線のままでした。 これらは国鉄末期にその一部を電化することになりましたが、 予讃線が松山(伊予市)まで電化されたのはJR化された後のことですし、 土讃線は、その大半が非電化区間のままです。 充実する高速道道路網に対抗するためにも、 JR四国は、高速運転できる新型の特急用気動車が必要不可欠だったのです。 新型といえば、JR四国発足当時、キハ185系特急用気動車が在籍していました。 キハ185系は国鉄分割民営化直前の1986年に、四国地区向けに製造された特急用気動車で、いわばピカピカの新車です。 JR四国の期待を担う立役者となるべき存在だといいたいところです。ところが、そうはいかなかったのです。 新型とはいいながら、それまで活躍していたキハ181系特急用気動車よりパワーで上回ることはできず、 最高時速は110km/h。キハ181系の120km/hに及びません。 期待されるほどのスピードアップはできなかったのです。 実はキハ185系はキハ181系の代替車ではなく、四国全島にくまなく活躍していた急行用気動車キハ58系を置き換えるためのものでした。 また,同時にまだ残されていた急行列車の特急格上げを狙ったものでもありました。 そのため、短編成での小単位輸送を念頭に置いて設計されています。 もっともキハ181系にしても、常時フルスピードで走れるわけではありません。 曲線を高速で駆け抜ける性能がない以上、時間短縮など無理な相談だったのです。 ですから、JR四国が2000系、N2000系という振り子装置付きの強力な特急用気動車を発足早々登場させたのは見栄でも何でもないのです。 しかし、そのためキハ185系は、余剰となってしまいました。 JR九州はここに目をつけたというわけです。 JR四国からキハ185系を計20両購入したJR九州は 久大線の急行「由布」と豊肥線の急行「火の山」の車両(キハ58系)を一気に置き換えました。 移籍することになったのは1992年のことです。 まだ製造されてから6年しかたっていないのです。 JR九州は新たに特急「ゆふ」「あそ」用としてキハ185系を再デビューさせたのですが、求められたものは,まずアメニティーです。 実際に私も乗車しましたが、車内はぐっとおしゃれにイメージアップされていました。 外観もJR九州のコーポレートカラーである赤を基調としたものに変更され、 多くの人はこれを新車として受け止めたのではないでしょうか。本当にJR九州はリニューアルが上手です。 中古といえば聞こえはよくありません。しかし 譲り受けることによって新型を開発する手間も時間も省くことができたメリットは大きいと思います。 さて、185系には、キロハ186形(グリーン/普通 合造車)が、存在します。 国鉄時代は、急行「由布」「火の山」用にグリーン車(キロ28形)も在籍させていましたが、88年の時点で普通車のみとなっていました。 ですからJR九州にしてみればグリーン車は要らないのですが、これも4両導入しキハ186形として再デビューさせました。 ちなみにキハ186形は1エンジン車です。編成の足を引っ張る存在です。 運転台もありません。185系をより小単位輸送となる路線で使用することになるJR四国としては、 中間車こそ引き取ってほしいという事情もあったでしょう。 だからといって、JR九州が、−−数あわせで仕方なく厄介者を引き取った−−とは考えてほしくないのです。 形式からもおわかりいただけることですが、全室普通車化されました。 しかし、旧グリーン室のシートピッチは1160mmとそのままです。140mmも広い。 なぜ、変更しなかったのかといえば、185系がステンレス車体であることが影響しているのでしょう。 でもその結果、座席もそのままです、これらは指定席に割り当てられているので、これは指名買いですね。 ゆったり座席を普通料金で利用できるのはうれしい限りです。 「こりゃあ、いい。」と思った利用客はきっとリピーターになるでしょう。 何もかも同じサービスというのは、いいように見えて実は何もしていないのと一緒ではないでしょうか。 早い者勝ちでもいいではありませんか。サービスにはアクセントが必要だと私は思います。 もっと宣伝すべきだとも思います。 それだけではありません。キロハ186形は、キハ186形と名を改めたとき、 そのデメリットである非力さを払拭しました。 床下スペースにゆとりがあったのです。 キロハ186形にもう一台エンジンを搭載したキハ186形はキハ185系の編成としての高出力化に貢献しています。 特に特急「ゆふ」はハードな運転を余儀なくされる博多−久留米間を走行します。 追加されたエンジンは、その真価を遺憾なく発揮していることでしょう。 決してお荷物を押しつけられたわけではないのです。 JR九州の185系は、キハ186形を編成に加えることで特急としての存在価値をぐっとUPしていると私は思います。 j 参考文献;鉄道ピクトリアル 新車年鑑 1993 No582 1993年10月 鉄道ピクトリアル 特集キハ181.185.185系 No.772 2006年2月 |
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