![]() |
2018/06/13 UP | |||||||||||||||||
J鉄局TOP>珍車ギャラリー>JR九州 77系 - ななつ星in九州-
希少なアルミ製車体をもつ77系客車 JR九州 77系-ななつ星in九州-2013年、JR九州は、九州各地を巡るクルーズトレイン『ななつ星in九州』をデビューさせました。1号車がラウンジカー「ブルームーン」 2号車がダイニングカー「ジュピター」、 3~6号車がスイートルーム(1両あたり3室)、 7号車が展望室を備えたデラックススイートルーム(2室)という7両編成で、 定員は合わせて28名という少人数のセレブための列車になっています。 形式にはA寝台をはるかに凌駕する豪華さから「ロネ」ではなく 「イネ」の記号がつけられました。 ちなみにA寝台というのは旧2等寝台車に相当するんです。 今回は旧一等寝台車を示す「マイネ」の記号が58年ぶりに復活することになりました。 機関車が寝台客車を牽引するという、今となっては古風な編成ですが、 77系客車はかつてない贅沢さと それにふさわしい設備を誇る新時代の客車です。 内外装のデザインは水戸岡鋭治氏が担当しています。 そのすばらしさを私がご紹介するのもおこがましいので、 ここでは、そのメカニズムに的を絞ってお話ししたいと思います。 車体は817系電車と同じアルミニウム合金のダブルスキン構造となりました。 なんだ通勤電車と同じか。と侮らないでください。 全長は20,500mm、車体幅は2,936mm、全高は車両限界に近い4,080mmです。 ゆったりとした車内空間と高い気密性。 アルミ製車体はそれを軽量化と両立させる贅沢な選択なのです。 今やJR九州では、アルミ製車体が普通のこととなっていますが、 客車で、ということになるとJRでは(国鉄も含めて)スチール製がほとんどで、 アルミ製車体の客車は珍しく77系ぐらいのものです。 (ちなみにE26系カシオペアはステンレス製) さて、軽量化。とさらりと言ってしまいましたが、 77系客車の重さを示す記号は「マ(自重は44~45t)」、 ブルートレインの代名詞である20系客車は「ナ」級ですから、 これより2ランクも重いのです。 電車と比較してもE233系のモハが約32tですから、約1.5倍です。 そんな77系客車の空調装置は 1・2号車に AU700K(冷房能力21,000kcal/h、暖房能力8kW)を1両あたり2基、 3 - 7号車には AU701K(冷房能力6,000kcal/h、暖房能力3kW)を1両あたり5基搭載も搭載しています。 各部屋毎に空調をコントロールできるのはもちろん。 トラブったときのバックアップも考慮してのことです。 すべて屋上に設置していますが、空調カバーと屋根のカーブを合わせ一体感を持たせ 見た目にも配慮しています。これも重量増につながりますね。 次に、これらを駆動するサービス用電源です。 20系客車の場合、これらの発電システムは電源車として1両に集約しています。 カニ20形、カヤ21形では大型のエンジンを搭載しています。 当然騒音も大きくなります。そんな電源車に寝台はもちろんお客様を乗せることはありません。 そんな電源車を77系客車に導入すれば、それでなくても少ない定員がもっと減ってしまいます。 せっかくの展望スペースも失われてしまいます。乗り心地にも影響が出てきます。 そこで寝台車以外の2両にこれを分散しました。 1・2号車床下に発電用エンジン SA6D140HE-2を1基ずつ搭載しました。 交流発電機 DM700K(定格容量440kVA)を駆動して三相交流440V、60Hzを出力します。 77系客車では1号車のエンジンで1 - 4号車に、 2号車のエンジンで5 - 7号車に給電するのがが基本です。 基本というのは 車内状況に応じて、静粛性が必要な際には1基のエンジンで編成全体に給電させることもあるからです。 1号車のラウンジ゙で、ピアノコンサートするときなどに エンジンの音は遠慮していただくのでしょう。 次に水タンクです。 すべての個室にシャワールームを設置しています。 お湯が出ないなんて不細工なことがあってはなりません。 各部屋毎に独立した200Lの貯湯タンクを装備しました。 そして、そこに水を供給するタンクの容量はなんと2000L超。 これを寝台車床下に設置しています。 そんな車体を支えるのはTR407K台車。 787系電車の TR400 をベースにしたボルスタレス台車です。 エアサスは当然として、円筒積層ゴムで支持された軸箱には軸ダンパが装備されています。 また、ダンパの減衰力を切替えて振動を緩和させる上下動セミアクティブダンパも装備 振動対策は万全と言っていいでしょう。 このように万全を尽くせば当然のごとく重量はかさむのです。 一方で「ななつ星in九州」は線路規格の高い幹線ばかりを走るわけではありません。 眺めのよいローカル線の軌道は、おしなべて脆弱です。 そんな軌道を痛めないためにも、 アルミ製車体は当然の選択と申せましょう。 車体製造を担当したのはアルミ製車体を得意とする日立製作所。 JR九州の車両を多く受注する日立ですが、日立とのコラボがあってこそ77系客車は誕生したように思えます。 参考文献:鉄道ピクトリアル No896 鉄道車両年鑑 2014年版
|
||||||||||||||||||
![]() |
鉄道写真管理局 (JR/JNR)へ (私鉄/都市鉄道編)へ 鉄道車両写真集INDEX 鉄道切符管理局 ローカル線切符紀行へ リンク集へ 鉄道資料室へ |
|||||||||||||||||