鉄道写真管理局 珍車ギャラリー  JR四国 2000系 試作車
  2013/08/25更新 2006.2.11UP 5JS3VXWHP TOPへ
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JR四国 2001 試作車 TSE 宇多津駅 撮影 90.2.11 2001 (ステンレス車体) S63年 月 富士重工 製
長さ(m) 幅(m) 高さ(m) 自重(t)
20.8 2.82 3.71 37.7
振り子方式 エンジン(ps/rpm) ブレーキ 台車(製造)
制御付き
自然振り子
SA6D125-H×1
330/2000
電気指令式
機関.排気B
SDT-56
()
座席数 冷房装置 最高速度
46 110km/h
 2001                宇多津駅   90.2.11

四国は、ディーゼル急行王国でした。

「うわじま、いよ」「あしずり、土佐」「阿波」「よしの川」etc、
キハ58系が、四国の主役だった時代が結構長かったように思います。
なにせ四国に、初めてのディーゼル特急「しおかぜ」「南風」(キハ181系)が導入されたのは、S47年のことですから、
S35年に特急”はつかり”(キハ80系)が走り出してから12年も後のことです。
北海道から九州まで日本全国津々浦々、キハ82系のディーゼル特急が走っていたときも
四国だけは、特急列車というものがなかったのです。

そんな四国に特急デビューを果たした立役者がキハ181系です
山がちな四国の路線をものともしない強力なエンジン(DML30HS=500馬力)を搭載し、
キーンというターボサウンドを響かせ新時代の到来を告げました。
また四国の事情にあわせて短編成での運用を可能にした185系も、JR転換も間近なS61年にはデビューを果たし、
JR転換時には四国の特急網はできあがっていたといっていいでしょう。

しかし、国鉄時代の遺産では整備されつつある高速道路網に乗客を奪われるという危機感をJR四国は強く持っていました。
より高速で快適な特急用気動車をJR各社のトップを切ってデビューさせます。2000系です
181系がいかに高出力でも、谷沿いをあるいは海岸沿いをくねくねと曲がる古い線形では、
長大トンネルと高架橋で四国山地をぶち抜く高速道路に太刀打ちできるはずがありません。
所要時間の短縮のために、制限付の曲線をいかに高速で走行するか。
2000系はこの問題を振り子技術でクリアしようとしたのです。

 振り子といっても車内に振り子がぶら下がっているわけではありません。
高速でカーブにつっこむと遠心力で外側に飛ばされそうになります。
バイクなどを見ていたらよくわかりますが、ドライバーは車体を大きく内側に傾けバランスをとるのです。
鉄道車両でもこれと同じ理屈で車体を左右に振り込んで高速化しようというのが振り子技術です。
 鉄道でもカーブでは外側を高くするカントという処置がなされています。
しかしカーブで停車することを考慮して内側に倒れてしまうほどのカントを付けることは出来ません。
バイクと同じように、走行する速度に合わせて車体を傾ける必要があるのです。
 ではどのようにして車体を傾けるかですが、強制振り子方式と自然振り子方式の二方式があります。
日本では国鉄がS48年に、381系電車で自然振り子方式を実用化しました。
曲線にはいると当然遠心力がかかってきます。それを利用して車体を傾けるのが自然振り子方式です。
シンプルで誤動作することがない点が長所ですが、遠心力がかかってから動作するため、振り遅れが生じます。
曲線を抜け出してもしばらく車体は傾むいたままです。
駅構内のポイントでも小刻みな遠心力の発生によりまた無用の揺れが生じます。そんなわけで気持ち悪いのです。
乗ったらわかります。車掌さんも酔い止めを常備していたということです。
もともとこの振り子技術は、カーブで脱線させないためという物騒な技術ではなく
曲線での乗り心地をよくするための技術ですから、困ったものです。
この2000系試作車の登場まで凍結された技術となるのもうなづけます。

さてJR四国が、2000系試作車で導入した技術は、制御付自然振り子方式というものです
これはあらかじめ走行する線形をコンピュータに記憶させ、ATSの地上子などから得た位置データをもとに
寸分違わず、傾斜を開始させるアシスト機能を持たせたものです。
基本は自然振り子方式というわけですから、誤動作することがない分安心です。

これは大成功でした。傾いているのはわかるのですが、安定しているのです。乗ったらわかります。
以後JR各社は、このシステムの振り子車両を次々発表してゆくことになります。


JR四国 2101 試作車 
 2101               宇多津駅   90.2.11

貫通扉は左右にスライドして開くプラグドアになっています。
近鉄の12000系と同じ発想です。














JR四国 2100形 量産車改造 
 2101  量産車改造後        高知駅  2003.3.21

密着連結器に取り替えられていますが、
貫通路は閉鎖されてしまいました。いいデザインなんですが…。














2005年11月のJTB時刻表によると、特急「南風」による岡山−高知間の所要時間は、2時間27分。
対抗する高速バス「龍馬エクスプレス」とほとんど差がありません。
現在「南風」の14往復に対し「龍馬エクスプレス」は9往復と、JRのほうがシェアで上回っているようですが、
料金はというと、JRの5790円に対し高速バスは3500円でバスのほうが優位に立ちます。
今のところ鉄道の定時性、快適性でなんとかシェアを維持できていると考えられますが、
もし2000系の開発が遅れ、そのことでスピードで差をつけられ、乗り心地でも悪評が立とうものなら、
JR四国の屋台骨はどうなっていたか。
2000系試作車は、JR四国の救世主であったといえば言い過ぎでしょうか。


JR四国 2150形量産車 特急宇和海
 2157  量産車           宇和島駅  03.3.22

幌付で分割併合は容易ですが、デザインとしては平凡ですね。


JR四国 2030 アンパンマン号 

 参考文献;Just!RailwayのWEBページ --------------------2030  量産車(アンパンマン号)     岡山駅  02.8.8
−鉄道車両写真集−
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