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JR四国は、111系を5編成(計20両)国鉄より継承します。
111系はその時点(S62.4)で、もはや四国にしか存在しないほど、
淘汰が進んでいた車両で、
冷房化されリニューアル改造(S62)がなされてはいるものの
経年劣化による痛みは激しく、取り替えが必要ということになりました。
というわけで6000系は111系の後継となる3ドアの近郊形車両と位置づけられます。
しかしその中身は、大容量GTOサイリスタを用いたVVVFインバーター制御で
8000系の部品との共通化を図った合理的、かつ先進的な車両です。
モーターは8000系量産車より控えめの160kwの出力ですが、
7100形(Tc)を加え、1M3Tの運転さえ可能となっています。
マスクは、マリンライナーと合わせたのでしょう。
同じマスクで当時としてはやや地味ですが、
車内の雰囲気も上質でシートの座り心地もいいのです。
設計コンセプトの一つ、瀬戸大橋線の運行に相応しい客室設備は
十二分に満たされているといえるでしょう。
H8年4月より2編成(計6両)が瀬戸大橋線をメインに
岡山ー観音寺、琴平間で活躍を始めました。
しかしどうしたことでしょう。6000系は以後、増備されず、
残りの111系の後継には、
JR東日本から購入した113系をリニューアルして充当することになりました。(H13.3)
またJR西日本の独壇場だったマリンライナーに、
JR四国の車両が導入されることになったのですが、
JR西日本の223系5000番台と同系列の5000系が新たに導入されることになり(H15.10)
6000系は、瀬戸大橋線の運用からもはずされてしまい
新系列の車両でありながら宙に浮いた存在となってしまったのです。
明石海峡大橋の開通と、四国島内の高速道路網の整備は、
それでなくても厳しいJR四国の経営戦略に変更を迫り、
130km/h運転を可能にする223系で、
マリンライナーの高速化を優先させようというわけです。 |
6001-6201-6101 の3連 岡山駅 98.3.25 |
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113系 クハ113_2ほか4連 坂出駅 0510.15 |
しかし223系新快速を見慣れている京阪神の人間には
「なんや。瀬戸大橋線にも新快速の車を使っているのか…」
としか思えないのではないでしょうか。
223系は速くて快適ないい電車です。
しかし毎日の通勤に見慣れている我々にとっては、ちょっとがっかりです。
そんな旅行者のために、
JR四国はクロハ223ともいうべき5100形を用意してくれました。
ダブルデッカーで新マリンライナーの看板ともいえるJR四国の意欲作ですが、
よほど奮発してグリーン車に乗らないと、階下の指定席では眺めの悪いこと悪いこと。
これだったら213系や6000系の方がまし。
と思っている人は私だけではないと思います。 |
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新マリンライナー 5106ほか5連 岡山駅 05.10.15 |
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さて6000系に話を戻しましょう。
6000系は211系とよく似た車両ではありますが、
四国の実情に合わせた魅力的な車両です。
外見上の違いは、編成両端部のドアが片開きになっていることがあげられます。
また運転室後部のスペースが広くとられているのは
車掌がホームに降りることを容易にするためです。
これらは、無人駅での運賃収受を容易にするための工夫です。
1M3Tを可能にしたということもできるだけ高価な電動車を増やさず、
ラッシュ時には付随車を増結することで乗り切ろうという経済性を重視したものです。
こうした点を活かすとなれば、
瀬戸大橋線よりも四国島内での利用に適していると考えるべきなのかもしれません。
地味ではあっても、6000系が長く四国の人々の足として
愛されることを願ってやみません。 |
6101 運転台後方にご注目ください。 岡山駅 98.3.25 |
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参考 JR東海 クハ210-5307 (名古屋駅) |
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