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2007.1.28UP | ||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() ![]() モハ114-2613 B3編成 05.8.14 富士駅 クモハ115-2012 B2編成 05.8.14 富士駅 *JR東海 モハ114-2600番台 身延線スペシャルこの春(07.3.18)JR東海は、静岡地区に大量の313系を投入、国鉄から継承した車両を一掃すると発表しました。身延線も例外ではなく、かつてご紹介したクモハ123_5145をはじめとする123系10両とともに 115系(3連×13編成)も身延線から引退することになりました。 115系電車は、1962年から82年まで20年の長きにわたって作られた近郊形電車です。 さすがに初期のものは40年を超える車齢には耐えられず、そのほとんどが姿を消していますが、 77年以降に製造された1000番台や2000番台については、まだ健在のものが多いのです。 なお前述した身延線用の115系電車(B編成)は81年の製造です。 身延線スペシャルとして登場し、ひたすら富士山の麓を駆け続けてきたわけですが、 走行距離もさることながら、そんなに激しい使われ方をされたとは思えません。 他の115系1000番台、2000番台に先駆けて引退するのは何故でしょう。 また、この115系電車(B編成)が、身延線スペシャルであるというのは、モハ114-2600番台を組み込んでいるからなのですが、 では、このモハ114-2600番台は、どういう点で他のモハ114と違うのでしょうか。 *身延線のこと謎解きをする前に身延線の歴史について、お話ししておかなければなりません。身延線は、国鉄が昭和16年に買収した富士身延鉄道がその前身です。 昭和16年というと、戦時買収か。と言いたいところですが、実のところは 不振のローカル私鉄を救済するために買収したというのが本当のところのようです。 昭和7年に買収が決定しながらも鉄道公債の発行に限度があるため一旦借り上げというカタチをとっています。 国鉄とならなかったことで、別運賃が設定されたのですが、これが日本一高料金だったため地元の方々には不評だったそうです。 まあそれくらい収益性に乏しい路線であるわけですから、高規格な路線であるわけがありません。 トンネルもその断面が小さく、特殊な車両を用意しなければならないということになってしまいました。 国有化後、旧型国電が活躍する路線として知られた身延線ですが、 当時の国電のパンタグラフ折り畳高さが4210mmだったのに対し、260mm屋根を低くし3950mmとする工事を行っています。 いわゆる800番台車両です。 このように狭小トンネル用の改良、改造車は、中央線用にも存在するのですが、 中央線の3980mmに対し、身延線は3960mmというなお厳しい制限が設けられています。 その後パンタグラフの改良も進み、PS23という狭小限界対策パンタグラフも登場したのですが、 通常型であるモハ114-1000番台にこのPS23を設置した場合でも、まだ足りず、 20mm屋根の一部を切り欠くことで身延線ルールをクリアしたのが、モハ114-2600番台なのです。 ![]()
モハ114-1000番台の、PS23A取り付け車は3.983m -------モハ114-2611 富士駅----- 登場時は、甲州ぶどうをイメージしたワインレッド(赤2号)地に富士山の雪をイメージした白(クリーム色10号)帯の塗装でした。 国鉄車両が、このように地方色でデビューしたのは、これが先駆けでは? *もう 身延線スペシャルは、必要がない (シングルアームパンタグラフの実力)この春の改正で115系B編成の後継となるのは、313系です。また既に当身延線の運行を可能するものとして371系があります。これも特に身延線用として、別あつらえされたものではありません。 狭い断面のトンネルが改良されたからと言いたいところですが別にそういうわけでもありません。 では何故彼らはなんの問題もなく入線できるのかというと、ともにシングルアームのパンタグラフを装備しているからなのです。 シングルアームのパンタグラフは、架線高さの上下に対応できる範囲が大きく、 かつ構造がシンプルで、コンパクトに折りたたむことが出来るすぐれものです。 狭小トンネルでは特に有利であることから、あえて狭小トンネル用を別あつらえすることはありません。 そんなわけですから、もう身延線スペシャルの車両を用意する必要もないわけです。 東海道線と運用が共通化できる313系であれば、 富士駅近くにある車両基地で、車両を遊ばせることなく、より効率よく運用することが出来ます。 また身延線は、両端部となる甲府市および富士市近郊の区間において、 わずかながらも人口の増加とそれに見合う利用者増を見込むことが出来る一方で、 中間部となる芝川-鰍沢口間では、利用者減に歯止めがかかりません。 3両編成であるB編成より、ワンマン運転対応である313系-3000番台の2両編成のほうが、輸送実態に見合っているといえます。 こうしたことが115系B編成の引退を早めたといえるのではないでしょうか。 そういえば、クモハ211形にも、身延線への入線に備え、屋根の一部をわずかに切下げ、 狭小限界対策パンタグラフC-PS24A形を装備した5600番台が登場しています。 しかし、3両編成であることに加え、トイレがなく、ワンマン設備を持たないことからも身延線への転用はなさそうです。 身延線の歴史を引きずった車両が、当線からいなくなることで、 富士身延鉄道という存在が遠い歴史の彼方に消えてゆくような気がします。 ![]() ![]() ------モハ114-821 富士駅 ------------ --- クモハ115-2011 富士駅-------- 参考文献;「身延線の低屋根電車」久保 敏氏 鉄道ピクトリアル#617 1996.2 参考文献;「115系電車 車両のあゆみ」福原俊一氏 鉄道ピクトリアル#459 1986.2 |
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