2010/10/08 UP | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>JR東海 211系6000番台
伴侶となるべきモハ210が存在しないクモハ211 JR東海211系6000番台電車の形式というものは、個々の鉄道会社が自社の都合に合わせて思い思いにつけるものです。例えば阪急電鉄(5100系以前)を例にとると 原則、100の位が0ならば神戸線、1ならば宝塚線、3ならば京都線の先頭車(=運転台つき)を表し、 中間車ならばそれに500を加えます。 なおかつその車両にモーターが付いていない付随車であればなお50を加えるといったきまりです。 また、電車は今や編成単位で運用されるのが普通ですから、 何号車であるかを基本に付番する場合もあります。 これは特に関東地区に多く見られるパターンで、 編成単位で管理する場合には、すっきりした大変合理的なやり方と申せましょう。 ただこのやり方は、全く同じ電車であるのにも関わらず別形式が付けられてしまうという現象が生じてしまいます。 また、京成電鉄のように運転台付であろうがなかろうが、モーター付きであろうがなかろうが、 何でもかんでも、一系列すべて3000形というようなムチャするところもあるものですから面食らってしまいます。 まあ、鉄道車両マニアとしては、車両形式は、やはり「名は体を表す」であって欲しいところです。 さてJRは、と申しますと、 基本的に 国鉄時代のやり方を継承しました(exJR四国)。 詳しく述べていると大変なので、大雑把にその原則を列挙します。 まず車種をカタカナで区別します。 例えばクハなら運転台付、モハなら電動機付 という具合です。 次に三桁の数字でもって、その系列を表します。 100の位は電源の違いを、10の位ではその用途を、 そして1の位でもって、その系列を製造順に並べてゆきました。 ただ注意をしなければならないのは、111系の次は112系ではなく113系となる点です。 国鉄は新性能車のデビューに合わせて、この新ルールを適用したのですが。 101系から、MMユニット(電動車としての機器を2両に分散して製作)となったので、 モハ111-A+モハ111-Bなど…とはせずに「モハ110+モハ111」と別形式を割り当てたのです。 同じくモーター付きではあっても機器構成が全然違うので、これは納得できます。 ところが国鉄末期には、 新性能車でも輸送需要に見合った1M方式(電動車としての機器を1両に集中して製作)の電車が登場するようになりました。 それが105系です。 1Mなのですから、クモハ105形は存在しますが、ペアになるはずのモハ104形は存在しません。 さて一方211系はMMユニットが基本となっています。ですから、 クモハ211には、ペアになるはずのモハ210が存在するはずです。 でもクモハ211-6000番台にはその伴侶となるべきモハ210が存在しないのです。 211系は、老朽化した111.113系の後継車両として国鉄最末期に登場した近郊用電車です。 3ドアのセミクロスシート車でデビューしました。2M2Tが基本の113系同様、、電動車はMMユニットで構成されています。 ところが首都圏においては、211系は4M6T+2M3T=6M9Tで運行されています。 (MT比は6:9です。ちなみに113系は、6M5T+2M2T=8M7Tでした。) 対して輸送需要の小さい在来線を抱えるJR東海は、4連ないし3連で211系を運行することになります。 MMユニットを抱える211系では2M2T 、2M1T とならざるを得ず、MT構成比は逆転してしまいます。 JR東海の211系は、その性能からして、これは少しもったいないという状況となったのです。 211系と時期をほぼ同じくしてJR西日本では213系がデビューしています。 211系とそっくりのマスクです。 117系のような2ドア転換クロスシート車という大きな違いがありますが、足回りも大きく違います。 211系がMMユニットを持つのに対し、213系は1M方式です。 (ちなみに211系はMT-61=120kw、213系はMT-64=120kw) 基本編成は3連で1M2Tの構成です。 快速マリンライナー用に開発された213系がそのまま、JR東海で使えるとは思えませんが、 117系300番台のようにセミクロスシートにするなどして導入することはできなかったのでしょうか? またJR四国の6000系は、1M方式の近郊形電車です。(VVVF制御なので213系の一族とまでは申し上げませんが。) ワンマン対応の3D車でもあり、JR東海のローカル線にも十分マッチした車両だと思います。 こういう車両も誕生しませんでした。 結果、JR東海で大量に増備された211系5000番台はロングシートの3ドア車です。 首都圏の211系がロングシートを導入するからといって、それに倣ったかのように見えます。 尤も見栄を張っていたわけではないと思いますが、 同じようにロングシートにする必要があったのかどうか?私には疑問です。 JR東海は名鉄などのライバル路線が存在するところでは転換クロスシート車である311系を導入するなど ”攻めの車両”を導入しています。しかしそうでない路線には、おざなりの車両が投入されているように思えてなりません。 私は211系が陳腐な車両だといっているのではありません。 でも、とりわけ地方の鉄道がライバルとして見据えなければならなかったのは自動車です。 敵を見誤ったような気がしてなりません。 211系であれ、213系であれ、ローカル線にこそ、もっと意欲的な車両をデビューさせて欲しかった気がします。 JR東海にローカル線むけの意欲的な車両がなかったかといえばそんなことはありません。 関西線むけに、213系を導入しています。5000番台です 平行する近鉄名古屋線を意識した転換クロスシートの2D車で 快適な車内サービスを提供した意欲的な車両です。 後、快速「みえ」に投入されるキハ75形とともに、関西線の利用者増をめざしました。 しかし、いかんせん、その役割分担が中途半端なのです。 213系5000番台は関西線の165系を取替えるため導入した車両ですが、 長距離の旅客に対応するように見えて、トイレがなかったり…と何を意図していたのかが見えてきません。 むしろ優等列車としてのサービスはキハ75形に譲り、 それを補完するカタチでより地域密着サービスに特化させるべきではなかったかと感じます。 つまり1M方式のワンマンカーを基本としながら、朝夕のラッシュ時にも十分対応できる そう、JR四国の6000形、あるいは7000形タイプの3D車で213系5000番台が生まれていれば、 211系6000番台は存在し得なかったと思います。
前置きが長くなりました。 213系5000番台が生まれた翌年、211系6000番台が登場します。 といっても、6000番台はクモハ211しか存在しません。 本来、あるべきはずのモハ210は存在しないのです。 相方はクハ210-5000番台です。これでおしまい。 2両編成の211系とはこれいかに? 211系6000番台は御殿場線の輸送力増強にあわせ列車本数を増やすという施策の中で登場したもので そのキャパは2両編成で十分と考えられました。 2両でいいのなら、211系は必要ありません。ここは1M方式の213系で十分です。 でも213系5000番台の出番とはなりませんでした。 関西線において213系5000番台はラッシュ時における弱点をさらけ出してしまっていたのです。 朝夕のラッシュ時のことを考えると、211系5000番台のようなロングシートの3ドア車こそが必要と考えられたのです。 私はこれは論理の飛躍ではないかと思うのですが、それはさておき、 213系の足回りをもつ211系が生まれました。 でも…これって213系じゃないのか。というのが私の感想です。(足回りがほとんどいっしょです。) 確かに相方は211系(クハ210-5000番台)です。 しかし、113系のTcがクハ111でも何ら不思議なことはありません。 やはり形式がこだわるべきは足回りです。 103系1000番台は1M方式に改造されるに及んで105系に編入されました。 一方、JR東日本の113系は、ロングシート車になってもやはり113系です。 JR東海にしても、313系は1M方式を基本とし、 クロスシート車である8000番台も、ロングシート車である2000番台もその派生形にすぎない扱いです。 確かにクロスシート車かロングシート車かは大問題で、 私は今回、ローカル線におけるクロスシート車の重要性を語ってきたつもりです。 でも、車両マニアである私には、 伴侶がいないと微動だにできないクモハ211形と、単独でも走行できるクモハ213形との間には大きな違いがあると感じられます。 それは、このことが車両の未来に大きな影響を及ぼすと考えるからです。 冒頭、車両形式について「名は体を表す」であって欲しいと述べましたが、 国鉄いらいJR各社の鉄道車両は、それを忠実に受け継いできたといっていいでしょう。 これからも足回りにこだわった形式を付けてやって欲しいものです
参考文献;鉄道ピクトリアル 鉄道ピクトリアル「新車年鑑」No534 1990.1 |
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