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  JR東海 285系3000番台  2009/05/20UP
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JR東海 285系3000番台 クハネ285-3002
285系3000番台(JR東海のHPより)
形式 クハネ285 モハネ285 サハネ285 サロハネ285
寸法 最大長 21,670mm 21,300mm
最大幅 2,985mm
最大高 4,090mm
車体 鋼製
寝台・座席 個室寝台 個室寝台
(一部ノビノビ座席)
個室寝台
台車方式 軽量ボルスタレス方式
電車性能 最高速度130km/h
集電装置 - シングルアーム式
パンタグラフ
-
制御方式 VVVF(可変電圧可変周波数)インバータ制御方式
JR東海 285系 I4編成@ クハネ285-3002   2007.8.14撮影 有楽町
 
I4編成 クハネ
285-3001
サハネ
285-3001
モハネ
285-3201
サロハネ
285-3001
モハネ
285-3001
サハネ
285-3201
クハネ
285-3002
定員

なぜ 「サンライズ銀河」が登場しなかったのか? −JR東海 285系3000番台−

285系3000番台は「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」用として、
JR東海が、JR西日本と共同開発した夜行特急専用車両です。

山陰エリア・四国エリアと東京を結ぶ寝台特急として、
それまで14系によって運転されていた特急「瀬戸」、「出雲」の車両を置き換え
その名も「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」としてデビューしました。
1編成は各々7両で、東京−岡山間は併結して14両で運転しています。
今や、東京駅発の定期夜行列車としては唯一の列車となってしまいました。

夜行列車は、退潮ムードにあることは確かです。
しかし、285系は、いわゆる客車であるブルートレインとは違い電車です。
また設備を寝台/座席兼用として昼夜兼行の効率的な運用を狙った581・583系電車とも違い、
寝台(夜行)専用の電車となっています。

最終の飛行機より遅く東京駅を発車し、始発の飛行機より早く目的地に到着することを目標に、スピードアップを図りました。
機関車の付け替えを不要にするとともに高速運転をするためにも電車である必要があったのです。
営業最高速度は130km/h。寝台列車としては、もちろん日本最速です。

285系は、JR東海とJR西日本が、夜行列車の復権を懸けて開発した新世代の車両というべき存在なのです。

寝台は全て個室で、サンライズツインやシングルデラックスなどがあり設備も多様です。
加えて、寝台券なしで乗車できる「ノビノビシート」の設定もあり、おサイフにもやさしい心配りがまたなんともうれしい。
なお、車内は住宅メーカー(ミサワホーム)と共同で設計開発したもので、
木の温もりを生かしたインテリアに統一されており、落ち着いた雰囲気が漂っています。

辛口批評のDr.Kも285系はお気に入りで
「個人的には、広いシングルデラックスと、ソロ、シングルの下段(階下)室が好きですね。
静かだし。でも、この車両を製作したときに、なぜ
あともう4編成(銀河、あさかぜ用に)つくっておかなかったのだろう?
そうすれば、少なくとも、あさかぜはともかく、銀河は廃止にならずにすんだでしょうに。」
とおっしゃっています。

全く同感です。
サンライズ銀河なら、東京23時30分すぎ発で、大阪7時前着というダイヤ設定も可能でしょう。
特急昇格で料金はアップしますが、車内のアメニティからすれば、リーズナブルです。
いや、ノビノビシートなら、むしろ格安となるです。
夜行バス全盛の昨今とは申せ、十分対抗できたようにも思えるのです。

それでは、なぜ?

推測に過ぎませんが、その理由を考えてみたいと思います。

§1;サンライズ銀河は、もうけにならない?

サンライズ編成の最大の問題点。それは編成あたりの定員が少ないことです。
7両編成あたりの定員は158名。
対して、東海道新幹線の1編成あたりの定員は、1323名。
桁が違います。寝台券が必要な分、料金は一人あたり高めにはなるでしょうが、
走行時間あたりの収益でいっても、列車あたりにかかる必要経費から考えても投資効果が低いのは明白です。
それだけではありません。
サンライズ銀河が、JR東海管内を走行するのは深夜の時間帯のみ、
乗車券の大半がJR西日本とJR東日本の駅で購入されてしまうというのも目に見えています。
極めて効率的な新幹線でもって、その収益の9割を稼ぎ出してしまうJR東海にとって、
あまりおいしい話ではないといえそうです。

§2;285系3000番台は、JR東海で最も影の薄い存在。

285系は全部で5編成(I1〜I5)が製造されました。
そのうち3編成をJR西日本が所有(基本番台)し、残りの2編成がJR東海の所有(3000番台)となっています。
JR東海は、夜行列車用の専用客車(583系電車も含めて)を国鉄から継承しなかったので、
今も昔も、JR東海唯一の夜行列車専用車両となります。

しかし、285系3000番台は、285系としては全体の5分の2。という少数派、
しかも運用上の都合から、I編成として、すべて出雲鉄道部出雲車両支部に常駐し、
車両の運行管理もJR西日本に委託されています。
外見もJR西日本の基本番台車と特に変わるところはありません。
3000番台として、JR東海に所属する車両があること自体、知らない方も多いのではないでしょうか。
加えて、昼間は他社線内に留置され、JR東海管内を通過するのは深夜の時間帯。
ですから、JR東海にとって、虎の子の存在であっても、
285系3000番台は、JR東海で一番影の薄い車両になってしまっていると申せましょう。

同じJR東海の371系については、首都圏に於けるJR東海の存在感をアップする広告塔の役割を果たしている
と371系のページで、申し上げました。
しかし、285系3000番台には、JR東海の車両という存在感が薄いのです。
JR東海のイメージアップには、あまり役立たないといえるかもしれません。

新幹線については、300系も700系も基本番台はJR東海で、JR西日本は3000番台を割り当てられています。
対して285系は、基本番台をJR西日本がとり、3000番台をJR東海に割り当てました。
共同開発とはいえ、285系は、その足回りはJR西日本の223系がベースになっています。
JR西日本のアーバンネットワーク内での最高速度に合わせたためですが、
イニシアチブが、JR西日本にあるような感じになっているのも、
JR東海にとってはおもしろくないところでしょう。

急行「銀河」は、JR西日本の24系客車でした。
ですから、JR西日本が、代替の車両を用意してもいいように感じられますが、
サンライズ銀河となれば、路線の大半がJR東海の管内です。
それは、JR東海のプライドが許さないところです。


−鉄道車両写真集−
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参考文献;鉄道ピクトリアル 「新車年鑑1991年版」No550 1991.10 
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