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  JR西日本 105系 クハ104-551  2018/01/14 UP
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  左 JR西日本 105系クハ104 -551    2017.5            右 JR西日本 105系 クハ105-2     2017.11  ともに和歌山駅

  JR西日本105系 クハ104-551−−クーラーの形で形式を分けたわけではありません。−−

まず、画像をご覧ください。
同じ車両に見えますが、クーラーの形が違うのはおわかりいただけると思います。
実は形式まで違います。
今回取り上げたクハ104-551は左側。右側はクハ105- です。
普通、クーラーの形式だけで車両の形式までもが変わるなんてことはありません。
なぜでしょう。-551という番号も意味ありげですよね。

種明かしをする前に、まず105系について おさらいしておきましょう。

105系は、地方の電化ローカル線に配置されていた40系や72系など
いわゆる「旧形国電」の置き換えを進めるべく製造された車両です。
旧形国電同様、電動車1両に走行機器を集約した「1M方式」でかつ
1M2Tでも旧形電車の1M1Tに相当する性能が発揮できるものとしました。

105系のメカについては、かつて珍車ギャラリーで取り上げていますので、
こちらも是非ご覧ください。 →105系 仙石線用改造車.

105系は1980年から新製され、
福塩線および宇部線・小野田線の旧形電車を置き換えました。
しかし当時の国鉄財政では、ローカル線区向け車両を思うようには新造できず、
追加分は改造車でもってこれを補うこととしたのです。

1984年。奈良・和歌山線用はめでたく電化開業することになりました。
にもかかわらず、国鉄は新規に配置される電車48両 そのすべてを改造車グループで補うことにしました。
種車となったのは、4ドア車である103系1000番台です。
結果、105系は3ドアの新造車グループと4ドアの改造車グループがいることになります。

103系1000番台は営団地下鉄千代田線に乗り入れするため8M2Tで組成された強力編成。
制御器には超多段制御を誇るバーニア制御のCS30を導入した出色の103系でしたが、
あの名車「営団6000系」の向こうを張るには103系では役不足、
203系の投入で常磐緩行線から捻出されることになったものです。

105系改造車は種車が103系であることから
片側4扉の車体となったわけですが、それだけではありません。
台車や主電動機も元々同タイプですから流用されています。
ただし制御機は新造の105系と同様CS51を新調しました。

奈良電車区に配置された48両の内訳
 クモハ105_501〜510+クハ104_501〜510 (NT201〜210編成)
 クモハ105_511〜524+クハ105_1〜14 (NT211〜214編成)

 クモハ105形500番台501-524:モハ102.103形1000番台の改造車。
 クハ105_形0番台 01-14 :クハ103形1000番台の改造車。 
 クハ104形500番台 501-510 :モハ102形1000番台の改造車。

クハは運転台をそのまま利用できるので具合がいいのですが、
1000番台は8M2Tで組成された長大編成ですから、
相対的にクハの数が少なくなってしまいます。(モハ−4対1−クハ)
クハ103形の運転台をそのまま利用したクハ105形だけでは足らず
不足するクハには電装解除したモハに運転台をとりつけました。
それが、クハ104形500番台です。

ここで お話を「クハ104-551」にもどしたいと思います。

1989年11月、桜井線を走行していたクハ105-7は、ダンプカーとの踏切事故によって
右側面を大きく損傷したため1990年に廃車となりました。
代替として あてがわれたのは明石電車区所属のモハ102-385。
今さら クハ103形1000番台をJR東日本からとりよせ改造するという芸当はできません。
種車は、モハですから電装解除の上、先頭車改造をするのがパターンですが、
今回は事故車であるクハ105-7の運転台を切り継いだため、
マスクは 元通り になりました。
このような経過で登場したのが「クハ104-551」です。

形式が違うわけ−おわかりいただけたでしょうか。そう…
クハ105はTc車の改造車であり、
クハ104はM車からの改造車だからです。
マスクは同じでも車体→形式は違うのです。

クハ104-551は、改造時にWAU102形分散式冷房装置を取り付けたので、
天井に取り付けられた3基の冷房ユニットでそれと直ぐわかります。
ついでに、ここで冷房装置についてお話しします。

もともと105系は製造コストを抑えるため当初冷房装置は搭載されていませんでした。
とはいえ国鉄時代の1985年から 集中式であるAU75による冷房改造がなされています。
しかし、AU75は集中形であるため一台あたりかなりの重量があります。
冷房化改造には車体補強など大規模な改造が必要でした。
当然、その分コストのかかるものでした。

そこで、JR西日本時代となる1988年からは、
床置形のWAU202形簡易冷房機をクモハの室内車端部に設置する方式の改造に変更されました。

奈良区に承継された105系のうち、AU75で冷房改造されていたのは7ユニット14両。
残り17ユニット34両がJR西日本で冷房改造、前述のWAU202形簡易冷房機を搭載することになったのです。

しかし、WAU202形を搭載した車両は、冷却性能(30000kcal/h×1)が悪く、
しばしば故障するなど信頼性に乏しいものでした。
よって 分散式の冷房機WAU102形が開発されるに及んで、以後
これを1両あたり3基(12000kcal/h×3)搭載することになります。
分散型であるWAU102形の冷却性能は集中型のAU75系列には劣るものの、
WAU202形よりは向上していますし、床置き式でない分スペースも有効利用できます。

クハ105-5が事故に遭ったのは1989年。これをを復旧することになるのは1990年7月。
わずか1.2年の違いでしかないのですが、この新型冷房機の採用に目途がついたことから、
103系からの改造車ではクハ104-551のみがWAU102形を搭載することになりました。

もしWAU202を搭載することになっていたら、
「見た目どう区別するんだ?」ってことになっていたと思われます。




−鉄道車両写真集−
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参考文献;
鉄道ピクトリアルNo459(1986.2)及び鉄道ピクトリアルNo820 (2009.7)の各記事
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