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2017/05/15 UP | |||||||||
J鉄局TOP>珍車ギャラリー>JR西日本 221系クハ220形
「決して!後ろ向きではありません。」− JR西日本 221系 クハ220形−221系近郊形電車は、JR発足の翌年である1988年にデビューしました。主にJR京都線・神戸線、関西線などで新快速・快速として活躍、 新生JR西日本のドル箱アーバンネットワークのイメージアップを担うフラッグシップともいえる存在でした。 以後、91年までに474両が投入されました。 基本的なシステムは国鉄時代に登場した211系・213系に準じます。 さらりと言いましたが、 これはMM'ユニット方式である211系に加え1M方式である213系と2種の主回路構成が同系列に混在することになったということで、 国鉄時代では考えられなかったことです。 形式の付け方も当然、変わってきます。 MM'ユニット方式である113系の場合 モハ112形+モハ113形→ (→米原) と奇数、偶数で1セットでしたが、221系の場合 MM'ユニットを組む221形−奇数グループ クハ221形+サハ221形+モハ221形+クモハ221形→ と 1M方式である220形−偶数グループ クハ220形+クモハ220形→ サハ220形+モハ220形→ とが並行して製造されました。 なぜこのように1M方式を同系列に加えたのでしょうか。 それは常にMT比(編成内の電動車と付随車の比率)が1:1になるように設定したからです。 そうするとMM'ユニットを組む編成では4連、8連、12連しか組めません。 クモハ221-モハ221-サハ221-クハ221 ×α 1M方式で組成される2連ユニットを組みこむことで6連、そして10連も可能になるのです。 クモハ221-モハ221-サハ221-モハ220-サハ220-クハ221 113系では6両編成時、電動車比率が必要以上に高くなってしまったしまったわけですがそういうこともなくなりました。 そしてもう一つは、幹線運用以外に近郊線区への配属もあらかじめ視野に入れ、2連での運行も考えたからです。 クハ220-クモハ220 この結果、桜井線向けの2両編成から東海道・山陽本線の最大12両編成まで 需要に応じた編成を自由に組成できるようになったのです。 ところで220形グループ、すなわち1Mユニットは220系としても良いように思いませんか? でも国鉄以来、JRでも系列は奇数で表すこととなっています。 そこは外すことができなかったようです。でも、 JR西日本の221系では奇数偶数の意味合いが従来とは大きく変わってしまいました。 そのことで、車両の向きも変わってしまったのです。 クハ220形の画像をご覧ください。これは前でしょうか。後ろでしょうか。 従来のルールを適応すれば、答えは後ろです。 意外と思われるかもしれませんが、貫通路のある方に前位であることを示す@、Aが表示されています。 でも普通に考えれば、運転台がある方が前です。 国鉄の時代から、これはちゃんと決められていて 電車の場合、前を@・A位側・後をB・C位側と呼んでいます。 車端番号板と呼ぶ丸いプレートが車端にあり、 そういえば、運転台の車端下隅に、 「○のなかに1・2で標記しであるな。」 とお気づきのかたもあろうと思います。 (ただし、電車には両運転台車もあります。 この場合、主たる運転機器がある方が前となっています。) さて、電車の場合。今や運転台のない中間車のほうが数が多くなっています。 運転台がないのだからといって、向きなどどちらでも良いというわけには行きません。 なぜなら 中間電動車(モハなど)は、制御車(クハ、クモハなど)から制御されます。 中間付随車(サハ)も知らん顔はできません。 制御車からの命令を電動車にリレーしなくてはなりません。 制御回路の引き通し線の位置が問題になってくるのです。 車内から車端に向かい、制御回路が左側となるときの前方が前位。 というルールがあるのです。 言い方を変えると「後位側から前位側を見た時、左側に制御回路の引き通し線がある」 ということで 東海道線を例にとると、この引き通し線は山側に通されているということになります。 さて211系はモハ211形+モハ210形の電動車(MM')ユニットがベースとなる系列ですね。 神戸 ←クハ210形(偶数)+モハ210形(偶数)モハ211形(奇数)+クハ211形(奇数)→ 東京 矢印で示したように、実はこのように車両の向きもこの並びが基準になっているのです。 つまり東海道本線でいうと、 上り(東京)側に運転席があるのが奇数向き先頭車。 下り(神戸)側に運転席があるのが偶数向き先頭車と呼ばれます。 (ただし、113系にはクハ112形ではなく、クハ111形という奇数の形式が下り方に連結されていました。 クハ111形のすべてがそうではないのですが、 クハ111形の多くは、両渡り構造と呼ばれ、ひっくり返しても、下り側に連結することも可能となっていたからです。) 以上が国鉄以来のルールです。 現在、JR東日本やJR東海もこのルールを踏襲しているようですが、 従来の原則にとらわれなくなったJR西日本は、 この前後の位置関係についても、その考え方を変えています。 車両の上り方(東京側)に@位A位を配置するというルールに改めたのです。 ですから下り方である@号車の先頭(運転台側)に@.Aのマークはありません。 A号車側に付いています。 すなわち。従来のルールで解釈すると、 下り列車は全車両とも後ろ向きに走っていることになります。 JR西日本のクハ220形はクハ221形とともにすべて下り側に運転席があるので、。 基本、バック運転専用の運転台と言うことになるのです。 思えば、電車の前後ってあまり意味のないことなのかもしれません。 運転台側が前といっても、そんなのは見ればわかります。 電車を維持管理する立場からいえば、 どちらに引き通し線があるかということの方が大事なのです。 221系220形グループは電車というものを 一つ一つの車両を寄せ集めたものではなく、 一編成を一つの車両と発想するところから生まれました。 下り列車において、クハ220形は時速120キロでバック運転していることになりますが、 その設計思想は決して後ろ向きではないのです。 ![]() 参考文献:鉄道ピクトリアル 「新車年鑑1990年版」 1990年.10月 No534 の記事 |
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