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−2つのナンバーをもつ381系−JR西日本 381系1000番台 −
JR西日本では同じ電車でも、その性能が変更されたら、それに応じて番台区分を変えています。 たとえば223系は新快速用として130km/h対応の足回りとなっていましたが、120km/h対応の221系と共通運用になる場合、 混結して使用するので130km/h対応の性能は必要ありません。 そこでこれを6000番台とし、塗装もちょっと変更して見分けがつくようにしました。 再び130km/h対応にする場合には、6000番台の6を取っ払ってしまえばいいわけです。(正確には2000番台に戻ることになります) というわけでクロ381-1と-1000では性能が違うのです。 何が違うかというと、それは振り子装置の傾斜角度です。 381系及び振り子装置についてご存じという方は以下の段落を読み飛ばしていただいて結構です。 381系は国鉄が1973年に自然振り子方式を実用化した特急用電車です。 曲線が多くスピードアップが難しい山岳路線を走る特急「しなの」「やくも」用に投入されました。 振り子装置といっても車内に振り子がぶら下がっているわけではありません。 高速でカーブにつっこむバイクなどを見ていたらよくわかりますが、ドライバーは車体を大きく内側に傾けバランスをとります。 このように車体を左右に振り込んで高速化しようというのが振り子技術です。 鉄道の軌道ではカーブの外側を高くするカントという処置がなされています。 しかしカーブで停車することを考慮して内側に倒れてしまうほどのカントを付けることは出来ません。 バイクと同じように、走行する速度に合わせて車体を傾ける必要があるのです。 ではどのようにして車体を傾けるかですが、強制振り子方式と自然振り子方式の二方式があります。 自然振り子方式とは、曲線にはいると当然発生する遠心力を利用して車体を傾ける方式です。 シンプルで誤動作することがない点が長所ですが、遠心力がかかってから動作するため、振り遅れが生じます。 曲線を抜け出してもしばらく車体は傾むいたままです。 駅構内のポイントでも小刻みな遠心力の発生によりまた無用の揺れが生じます。 そんなわけで気持ち悪いのです。乗ったらわかります。 −−そこで−−− 傾斜角を5°から3°に変更し曲線通過速度と上手に折り合いをつけてゆくことで、一定の効果を得ようというのが381形1000番台です。 さて福知山線に381系が登場したのは2011年3月のことです。 ダイヤ改正時、福知山区に配属された287系の新製予定両数は46両。 86両いた183系の置換えを少しでも進めることから、 紀勢線「くろしお系統」への287系投入により余剰となる381系を転属させて古い183系を淘汰しました。 この時、モノクラスのFH60編成が6連×3本配属されました。 転属に際して国鉄特急色に塗り替えられましたので、見た目古くさくはありましたが、アコモ改善工事済みの381系です。 振り子装置は停止されたため、381形本来の使われ方はされていませんが、 残された183系よりは高性能です。 以後、287系の投入が完了した5月末で定期運用から離脱し、車両は日根野車区に返却の上廃車となりました。 わずか2ヶ月ほどのピンチヒッターでした。 モノクラスでなければ、そのまま福知山に配属されたかもしれませんね。 福知山線に381系が再登場したのは2012年6月のことです。 183系に残された運用を置換える形で投入されました。FE66編成4+2=6連です。 これまた2012年3月に「くろしお」で運用されていた381系の置き換え用として287系が日根野区に投入されたことによって 余剰となった381系を転入したものです。 今度はクロを含む T`sc-M`-M-(-M`-M)-Tc編成です。 今度は本気です。 その後も少しずつ増備され2013年の春にはFE61〜64+41編成に加え増結用2連のFE611〜661で40両を数えるに至りました。 すでに46両配備されている287系とあわせて、183系は完全に置換えられました。 なお、この時も振り子装置は作動させずに走行させています。 さて、2014年6月頃より振り子制御調整の傾斜角を変更する改造が行われました。 性能の変更を伴うことから改番が行われ、各編成とも元番号に+1000を加え1000番台化されたということは前述しました。 これにより振り子制御が使用可能となったわけですが、時刻表を見ても特にスピードアップしているわけでもありません。 本領を発揮するのは、いつのダイヤ改正以後となるのでしょうか。 この春(2015年3月)に北陸新幹線が金沢まで開業しました。 このことで681・683系には余剰車が発生します。 ということで、いずれ、この681・683系が381系を置き換えることになるでしょう。 伯備線でも381系が活躍していますが、比較的新しい後期の車両を集中的に配置しており、 また「ゆったりやくも」として車内にも手を入れていますので、こちらの置き換えは後になると考えられます。 結局、北陸の681・683系がどこに行くのかというと、日根野区と福知山区ということになるでしょう。 さてそんな福知山区に振子角の調整を行い改番までした1000番台を投入しました。 伯備線の381系と同じくらいあるいはその後に作られたものというのなら、これをいずれ伯備線に移転させることで納得できます。 しかしそうではないのです。遠からず整理の対象となるべき車齢のものばかりです。 ではなぜ? これは憶測ですが、 かつて交直流車両であった485系が直流車両である183系に改造されたように681・683系も同様の改造を受けるものと予想されます。 それには時間が必要です。 そこまでの繋ぎに381系1000番台は最後のご奉公をすることになるでしょう。 ただ、ピンチヒッターとして使用されたモノクラスの381系と1000番台は違うように思われます。 かつては183系改の性能を発揮すればよかったわけですが、 今度、新たに投入されるであろう681・683系改は、160km/h運転をもこなす強力なパワーを秘めた高性能車です。 その高速性能はさておきギア比を変えれば、通勤電車並みの高加減速性能で時間短縮を図ることも可能です。 高齢の381系1000番台に、無茶をさせることはできませんが、 足手まといにならないように、少しでも手を加えておきたいところです。また乗り心地にも配慮したいところです。 そんなバランス感覚から、生まれたのが、381系1000番台ではないかと私は考えます。
これまた憶測ですが、伯備線用にもいずれ681・683系の直流改造車が登場するものと考えられます。 本格的な振り子改造は不可能ですが、台車の空気バネの空気圧を左右で変えるタイプのプチ振り子は可能と私は予想します。 1000番台もいってみればプチ振り子です。データを提供する役目を担うことになるのかもしれません。 2015/04/08 追補 tnxs Dr’K |
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