J鉄局TOP>珍車ギャラリー>JR西日本 419系 (583系改造近郊形電車)
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クモハ419 |
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S60年 |
改造 |
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長さ(m) |
幅(m) |
高さ(m) |
自重(t) |
20.500 |
2.950 |
4.245 |
41.7 |
駆動方式 |
制御器 |
モーター(kw) |
ギア比 |
カルダン |
CS15 |
MT-54B.D
120×4 |
5.60 |
ブレーキ |
定員(座席) |
冷房機 |
台車(製造) |
電磁直通B
電制付き |
110(66) |
AU15×9 |
DT-32K
() |
583系の製造初年は,S43年
ギア比が3.50(583)→5.60と大きく変更されている。
鉄道車両諸元表:JR全車両ハンドブック1995
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クモハ419-15 米原駅 2005.3 |
国電ひょうきん族の生き残り JR西日本 419系
国鉄末期、電車を新たに新造するだけの余裕のなかった国鉄は、輸送体系の見直しで、当時余剰車両となってしまった電車を改造し、
次々に新形式を登場させます。クハ455-600番台やクロ480そしてキハ184…。
いずれも劣らぬ珍車ですが、今回ご紹介するのは、
高価な交(直)流電車を新造するかわりに、581.583系から再生された、715系、715系1000番台そして419系です。
さて、これらは寝台特急電車を近郊形電車として使用するにあたって、車体もまた再利用することにしました。
つまり、寝台特急電車のイメージをとどめた外観となったわけですが、寝台特急電車は長大編成です。
近郊形にダウンサイズするにあたっては、どうしても先頭車が足りません。
まさか、特急形の先頭部を取り付けるわけにもゆかず、中間車の切妻断面にそのまま運転台を取り付けてしまいました。
その結果、上の画像のようなイギリス食パンみたいな顔をもつ電車が登場したのです。
もう慣れてしまいましたが、登場したときは驚きました。
「鉄道ファン」誌(1985.3)でも「特集 国電ひょうきん族」として取りあげられているほどです。
−そうか、当時「ひょうきん族」というのが流行っていた時代だったんですね。言い得て妙だと思います。
それはさておき、車内をみれば、上段寝台は撤去もされず、洗面台も部分も器具を外してカバーをしただけという様子です。
また扉も内折れ式で幅も狭いので、混雑時などは乗降に時間がかかり、近郊形電車としても中途半端です。
急場しのぎという感を逃れることはできませんでした。
715系はJR九州、715系1000番台はJR東日本に承継され、ともに1998年に廃車されています。
それでも1984年の改造から14年。JR転換後約10年にわたって使用されたのですから、よく頑張ったと申し上げるべきでしょう。
さて、JR西日本の419系ですが、715系同様、遠からず姿を消すだろうと、私はそう思い続けて来ました。
もともと583系は寝台特急電車です。昼夜兼行で走り続けてきたのです。痛みも進んでいるに違いありません。
また、もと特急電車とはいえ、近郊形電車としては多くの問題点を抱えた電車です。
それでも、715系の廃車以来、10年!今なお黙々と働き続ける419系。
彼らが、生き延びてこれた理由は何なのでしょうか?
北陸地方の都市近郊電車を増発するために登場した419系は、583系寝台特急電車を種車として改造されました。
交直流電車としての機能を維持したので、715系とはならなかったのですが、
交直流電車であることが、北陸本線で生き延びるためには必須の条件だったということがまず挙げられるでしょう。
次に、419系は715系(4連)とちがって3連としたので、モハ改造のクモハがいるのが特徴です。
デビュー当時、長い編成の旧型客車列車を取り替えるには短すぎる感はありましたが、その時は増結すればよいのです。
また3両としたことで、昼間時、都市間連絡のシャトル便として設定するには手頃なサイズとなりました。
一方、JR九州には、長崎本線用に715系基本番台が、配属されたのですが、4両編成です。
輸送実態と合わなかったことが、淘汰された大きな理由だと思われます。
それでも419系は混雑時などは乗降に時間がかかり、近郊形電車としては中途半端です。
しかし電動車の歯車比を高速向きの3.50から高加速向きの5.60とし、普通列車運用に必要な加速力を確保していたことが幸いしました。
もはや、かつてのような特急の走りはできません。でも従来の標準的な近郊形電車(歯車比4.82)に比べても優れている加速性能を活かして、
サンダーバードや雷鳥の足手まといにならぬよう懸命にダッシュしているのです。3両編成でMT比が2:1であることも好都合でした。
JR西日本においても、2006年の521系導入により、一部廃車が発生しています。
583系として1968年に登場して以来、もう40年以上になります。
「よう、がんばったな…。」
そのときが来たら、拍手で見送ってやりたい気持ちです。
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クハ419−5 米原駅 2005年3月 |
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参考文献;JR全車両ハンドブック1995
「鉄道ファン」(1985.3)「特集 国電ひょうきん族」 |