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JR西日本 クモハ84001 クモハ84 (001-003) 1988年3月 幡生工場 改造
長さ(m) 幅(m) 高さ(m) 自重(t)
20.000 2.870 4.080 50.0
駆動方式 制御器(電圧) モーター(kw) ギア比
ツリカケ CS−10
1500V/DC
MT−40B
142×4
2.87
ブレーキ 定員(座席) 冷房機 台車
SED電磁直通ブレーキ 136(58) なし4 DT−13
クモハ84001 茶屋町駅
鉄道車両諸元表(電車):出典は鉄道ピクトリアル 新車年鑑89

 クモハ84−JRから新たな形式を付与された唯一の旧性能電車−

 昭和61年にほとんどの荷物列車が姿を消し、余剰車となった荷物電車が再度旅客用にカンバックした例として、
かつて123系をご紹介しました。
 1M方式であることが幸いしてローカル線を単行で走る車両となり、重宝がられてきたわけですが、
JR西日本に継承されたグループは、今なお健在です。
 彼らは全てカルダン駆動の新性能車ですが、実は彼らと同じ荷物電車という過去を持ちながら
旅客用として復帰した旧性能電車が存在したのです。
 それもJRとなった翌年の昭和63年になってからのことです。
 これがクモハ84です。動態保存のために車籍が復活したものを除けば、唯一新たな形式をJRから与えられた旧性能電車です。

 クモハ84が登場した背景

 昭和63年の春、日本の鉄道網は、大きな変革を遂げました。3月13日の津軽海峡線と4月1日の瀬戸大橋線の開通です。
岡山-四国間の直通特急やマリンライナーが華々しいデビューを飾る陰で、
鉄道連絡船が廃止され、宇野線の茶屋町−宇野間は盲腸線となってしまいました。
 連絡船亡き後、一度だけ宇野駅を訪れましたが、あまりの寂れように言葉を失ってしまったほどです。
 さてクモハ84は、こうしてローカル線となってしまった茶屋町−宇野間用に製作されたものなのです。
前述の123系を種車に出来れば良かったのでしょうが、種車は尽きていたものと思われます。
旧性能電車であるクモニ83に白羽の矢が当たりました。
 旧性能電車とはいえ、クモニ83は新性能電車に併結可能な仕様となっています。そこそこ高速運転が出来るのも強みでした。
宇野線での使用を決断させたのにはこういう背景があったものと思われます。

 種車のクモニ83は、戦後の日本の復興を支えた63形電車の足回りをリユースした車両です。
旧式とはいえ頑丈に作られた足回りに昭和42-50年製の全鋼製車体を取り付けました。
 クモハ84に改造するにあたっては、この構体を極力活かすべく、荷物用扉を、1.8m幅の両開きドアーとしたため、
車両側面の中央よりにドアーが集中し、それも左右非対称となるレイアウトになっています。
 ワンマン運転するためには両端にドアーをもってゆきたいところでしたが、それはなりませんでした。
 
 結果、見た目、いわゆるゲタ電でもない、ユニークな旧型電車ができあがったのです。
 ところで旧型電車って,旧性能電車って何なんでしょう。

 旧型電車、あるいは旧性能電車といわれる電車の定義

 なんといっても駆動装置の違いでしょう。旧型はツリカケ式という方式をとっています。
モーターは直接台車に乗っかっているため、車軸からの振動をまともに受けます。
そのためモーターや台車は、大変頑丈に出来ているのです。
 また、車軸とモーターを噛み合わせるギヤーには、余裕が必要となるため、
ギヤーの接触音は「ドウェ−−−ン …」と低く独特のものとなり、
マニアには、この音のみならず身体にまで響くこの刺激がたまらなくいいのです。
 次にブレーキですが、たいてい古いタイプの自動空気ブレーキという方式を用いています。
ブレーキ用の空気パイプ(BP)の圧力を減圧することで各車に備えられた空気タンクからブレーキ力を引き出すもので、
応答性は悪いが、何かトラブルがあれば、即ブレーキがかかるタイプです。
 鋳鉄製のブレーキシューがジワーっと車輪に押しつけられたときに「シャー…」という摩擦音を出し、
エアーの圧力を補おうとレシプロ式のコンプレッサーが「ゴンゴンゴン…」と、力強く唸り始めます。
 電車が停車し、それら全てが鳴り終えた後も、耳をすませば「ジィ−−−−−−…ン」という通電音。
 おやおや、メカをご紹介するつもりが、すっかり感覚的なものになってしまいました。
個人的なイメージにしか過ぎませんが、新性能電車に対して旧性能電車というのに対し、
 数値以外の何かを感じるときに旧型電車という言い方がしっくりいってるような気がします。
まあ、それくらい旧型電車とは、見た目だけではわからない魅力にあふれているのです。

 クモハ84は旧型電車です。

 種車のクモニ83の時代から新性能電車に併結して使用できるよう、制御回路が特別仕様となっているクモハ84は、
ブレーキも自動空気ブレーキ以外に新性能電車にあわせて電磁直通ブレーキを併せ持ち、こちらを主に使います。
 スタイルも合わせて、旧性能電車らしくない点があるのは確かです。
 でも、宇野線で快速運転をするクモハ84は凛々しかった。
 高速運転するツリカケ電車のサウンドは、峠に挑むSLのドラフト音に負けず劣らず、その懸命さが伝わってくるものです。
宇野線で、七年。老体にむち打って懸命に駆けてきた3両のクモハ84は、平成7年6月、
阪和線羽衣支線から転属してきたクモハ123−5.6に後を託し、その姿を消しました。

国鉄 クモニ83005  大阪駅



クモニ83005  大阪駅






* モハ63434→ モハ72098 →クモニ83005→クモハ84001
* モハ63770→クモハ73164→クモニ83026→クモハ84002
* モハ63235→クモハ73227→クモニ83027→クモハ84003

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