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2015/08/27 UP |
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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>鹿児島市交通局 2100形 2110形
鹿児島市電2100形〜2140形−−JRが作った路面電車−−鹿児島市電は世代別に4通りの区別ができると思います。まず第1は、大阪市電形とでもいうべき3桁のグループ(460形500形600形800形)です。 本家より少し細面ですが、私には懐かしいスタイルです。 現在は、後述する9500形に更新改造され、だいぶその数を減らしてしまいました。 第2は軽快電車のスタイルを持つ2100番台(2100形2110形2120形2130形2140形)。 第3は、9500形更新車と9500形の車体を持つ新車9700形です。 そして第4は、最新のLRV(リトルダンサー)の1000形、7000形ということになるでしょう。 それぞれ魅力的な車両群ですが、今回ご紹介したいのは第2のグループです。 5形式そのすべてをJR九州が製作しています。 前に国鉄が製作した路面電車として函館市電500形501をとりあげましたが、 JRも路面電車を作っていたのです。 函館ほどではないにせよ。鹿児島でも地元の産業をもり立てたいという気持ちがあったのでしょう。 ちなみに、これら鹿児島市電2100番台以外、JR製の路面電車はありません。 さてJR九州鹿児島車両所は1989年の2100形以後、大水害の年を除いて、1994年の2140形まで、 鹿児島市電は、毎年鹿児島市電の車両を供給することになります。 その中には最新のVVVF インバータ電車がある一方で抵抗制御車もいます。 車体のデザインにも変化がみられます。 形式別にもう少し詳しくみてゆきましょう。 まず2100形です。1989年にデビューしました。 鹿児島市電では1963年の600形616号機以来26年ぶりの新車となります。 折しも鹿児島市市制施行100周年、鹿児島市電開業60周年ということで、従来の鹿児島市電のイメージとは違ったスタイルで登場しました。 制御方式は間接制御の単位スイッチ式抵抗制御とオーソドックスですが、ブレーキ装置は全電気指令式電磁直通方式です。 製作に当たっては、車両所内に1,435mmの軌道を敷設し、 線路上の架線には、ED76形電気機関車を介して交流2万ボルトを整流変圧、直流600ボルトにして試運転を行ったそうです。 そして車内はというと、一部クロスシートなんですが、これがなんと自動転換式。 JR九州 鹿児島車両所(当時)が初めて取り組んだ外部向け車両ということでかなり気合いが入っていますね。 (なお1995年に、自動転換式クロスシートはロングシートに変更されています。) 2110形は1991年にデビューしました。 車体は2100形に準じていますが8.5度の傾斜がつき、ぐっとスマートな印象になっています。折り戸の採用も目新しいところです。 いわゆる軽快電車のスタイルとしては、もっとも洗練されたフォルムだと私は思っています。 なおこのデザインが第2のグループのみならず第3のグループ、すなわち9500形などにも引き継がれてゆきます。 このことはここでしかと申し上げておきたいところです。 加えて注目すべきポイントとして、制御装置が鹿児島市電初のVVVFインバータ制御(GTO東洋製)となったことがあげられます。 これは、第2のグループに引き継がれます。 というわけで、第2のグループの後継機、2120形 2130形 2140形は、VVVFインバータ制御で車体も2110形とほぼ同一です。 2120形と2110形との違いはマスコンの形状と、座席がバケットシート化されたこと程度です。 2130形、2140形も2110形、2120形とほぼ同一です。 なぜ形式が違うのか。というと製作年度の違いということのようですが、 2110形以降、はっきり言って、これといった進化がみられません。 形式まで変える意味が私には理解できませんでした。 1995年からは800形の9500形への更新が開始され、2100系列の新造は終了しました。 以後、更新車にせよ、新車にせよ、鹿児島市交通局の車両は全てアルナ工機(アルナ車両)に発注され、] JR九州への発注はなくなってしまいました。 なぜでしょう?
鹿児島市交通局の路面電車に対するコンセプトに大きな変化があったからです。 2100形の形式の由来は、「21世紀を先取りする電車」からだったわけですが、 9500形は製造初年の1995年に由来する番号となりました。 9500形は1995年から2000年まで15両製造されていますが、2100形〜2140形のように年度ごとに形式を変えるようなことはしていません。 形式、番号だけではありません。 コスト意識も大きく変わってきています。 9500形は旧型車両の部品を再生利用したツリカケ電車です。 種車となる800形は1967から69年に導入された大阪市電2601形由来の車両です。 2601形は1960年代に作られた車両なんですが、これがまた旧型車の部品を再利用した車両というのですから、結構な古典機です。 1985年の伊敷線・上町線廃止時には500形や600形よりも先に整理の対象になり、半数以上が廃車されたのも納得できるところです。 ところが、残存した15両については1986年以降冷房化改造されることになりました。 全面的な改修が施され、その際、台車もブリル形から新造のFS86へ交換しています。 車体が老朽化したからといって、10年ほども使っていない台車や機器までもすべて廃棄してしまうのはあまりにもったいない。 加えて、直接制御器であるKR-8は古典的なデバイスとはいえ、そのシンプルさ故、堅牢で信頼性も高いのです。 使えるものは使おう。それが9500形のコンセプトです。 2100系列と9500形のコストが、実際どれくらい違うものなのかはわかりませんでした。 しかし、アルナ工機は、9500形に関してリーズナブルな見積もりを提示してきたに違いありません。 21世紀という未来を先取りするのではなく、9500形は95年という現実に、地に足をつけた電車であるということは申せましょう。 時はまさに、バブルが崩壊し、市当局に対する市民の目が、 新型路面電車の導入にあたっても厳しいものになっていたということは、想像に難くありません。 市当局が大きく舵をきったのは無理からぬことです。 それにしても残念なのは、JR九州鹿児島車両所です。 せっかく培ってきたノウハウとビジネスチャンスを失ってしまったのです。 2110形はそのデザインも性能も大変優れたものです。 鹿児島以外に販路を拡大することはできなかったのか。 また、2120形以降も、新たなアイデアを盛り込み、アルナ工機に対抗できるだけの魅力ある車両を作り続けていたなら、 800形更新車も受注できたようにも思えるのです。 もっとも、この後JR九州は、九州新幹線の先行開業(2004年3月;鹿児島−新八代)にむけ、 それどころではない状態にはなってゆくのですが、…。 参考文献 鉄道ピクトリアル 特集 路面電車 1976年/1994年/2000年/2011年版 No319/593/868/852 路面電車ガイドブック 1976.6 誠文堂新光社 |
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