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2011/04/09 UP | ||||||||||||||||||||||||
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京王電鉄 6000系 動物園線専用車6022F「TAMA ZOO TRAIN」2011年春、京王の6000系が引退します。情報誌によりますと、5ドア車である6022Fのみが動物園線に残っているとのことで、 2011年2月末、私は高幡不動駅に向かいました。 するとホームの端には、結構な数の鉄チャンが陣取っているではありませんか。 小田急の3000系SSEのさよなら運転の時くらいの人出で、面くらってしまいました。 実は最終日であることを知らなかった私も私ですが、 運転区間が動物園線に限られているとはいえ、純通勤車ともいうべき車両が、 これほどの人を集めるとは思ってもみなかったことでした。 さて、それではまず、京王の6000系についてお話ししましょう。 6000系は1972年から91年にかけて製造された通勤形電車で、合計304両製造されました。 5000系で使用していた分割特急を置き換えるために、5+3に組成されたグループである0番台。 地上用の8両編成および増結用2両編成のグループである10番台 都営新宿線乗り入れ用にATCや無線装置を搭載したグループである30番台 など、京王線のまさに主力であった系列です。 そんな6000系に5ドア車が登場することになります。 20番台となる彼らは ラッシュ時の混雑対策用として、1991年に製造されました。 6000系では最終グループということになります。 ドアを増やすことで乗降時分の短縮を…と考えたわけです。 しかし、4扉車と乗車位置が異なるため、到着時には列が乱れ、 また座席定員も少ないということから乗客には不評であったようです。 このため、2000年に6023Fと6024Fは4扉車に改造されました。 以後、5扉車で残った6021Fは相模原線内の区間各停用に、 6022Fはワンマン設備を設置し、車体には動物たちのイラストが施されました。 動物園線専用車「TAMA ZOO TRAIN」の誕生です。2001年12月のことでした。 普通、異端車というものは、車体の整備にとどまることなく、 運用面でも限定されることが多く扱いにくいものです。 多扉車といえばJR東日本山手線の、E231-500なんかは哀れですね。 山手線のホームドア化に伴う処置ですが、他路線に転出することもなく、解体の憂き目に遭っています。 6021Fにしても2006年9月。相模原線の各停が8連化されたため運用から外れ、2007年6月廃車となっってしまいました。 運用期間は17年と6000系の中では最も短命でした。 このように哀れな同類がいるのにもかかわらず、 なぜ6000系の5ドア車である6022Fが、標準車である4ドア車よりも長生きできたのでしょうか。 それは彼らの最後の活躍場所。動物園線の存在あってのことではないかと思うのです。 動物園線は、単線2.0km。途中駅はありません。 行楽シーズン。特に土日は混雑する当線です。 土日には新宿方面への直通急行が運行され、これには、座席争奪合戦がくりひろげられます。 でも、直通急行は一日に2.3本に過ぎません。 終日運行していたのは、動物園線専用車6022F「TAMA ZOO TRAIN」で、 この1編成が行ったり来たりしていたのです。 わずかの乗車時間ですから乗客は席に座れることにさほど執着しません。 加えて多摩動物公園駅は、端頭部にしか出入り口がありません。 ですから、どうしても出入り口に近い車両に集中してしまいます。 そんなときに役に立つのが5ドア車だったのです。 6022F は、まさに「水を得た魚」となったわけです。 願わくば、もう少し長く活躍してほしかった気がするのですが、 自分の持ち味を活かすことで、6022Fは長生きできたのです。 それだけではありません。 写真をご覧ください。前述したように、6022Fには動物園のカワイイ動物たちのイラストが施されています。 ギュウギュウ詰めに詰め込まれた無口な通勤客ではなく、 子どもたちの歓声に送られるようにその使命を終えた6022F。 通勤形電車としては稀に見る果報者であったということができるでしょう。
参考文献;鉄道ピクトリアル 「特集 京王電鉄」No734 2003.7 |
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