鉄道写真管理局 珍車ギャラリー
 近畿日本鉄道  モ2681
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 J鉄局TOP珍車ギャラリー>近鉄 鮮魚列車列伝          2005.11.19 UP
近鉄 モワ15 近鉄 クワ52
モワ15 鶴橋駅 クワ52 鶴橋駅
近鉄 モワ302
モワ302 鶴橋駅

 ラッシュの後の鶴橋駅に−−近鉄に残る鮮魚列車−−−

朝の通勤ラッシュが終わり、鶴橋駅のプラットホームに静けさが戻ってくる
そんな時分に、なにかいつもとは違う電車が滑り込んできます。
そして金属製の大きな箱を肩からぶら下げた人々が、
通勤客とは反対側の階段へ足早に消えてゆく…
そんな光景をご覧になった方はいらっしゃいませんか。

実はこれ、
三重県の漁港に早朝、揚がった海の幸を奈良や大阪へ運ぶ
行商人の方々のために、運転されている鮮魚専用列車の到着シーンなのです。

毎日、(但し日曜・祝日を除く)早朝、宇治山田駅を出発し
伊勢市・松阪・伊勢中川・榊原温泉口・伊賀神戸・桔梗が丘・名張・
榛原・桜井・大和八木・大和高田・鶴橋と各駅に停車して、
上本町に9時前に到着する、(下りは上本町→松阪間、)
この鮮魚列車は「伊勢志摩魚行商組合連合会」の貸切車両として
1963(昭和38)年9月21日から運行を開始したものなのです、
当初は荷物電車の車両を使用したり、
1400系、2200系などの一般営業車両を使用していました。

近鉄 モワ603
いつしか「鮮魚列車」として
モワ10形(旧1400形)・クワ50形(旧1500形)が
専用車両としてあてがわれ、
その後、旧特急用電車2250形改造のモワ600形。
旧奈良電1320形を改造したモワ300形と
Aクラスの珍車たちの活躍を(それも本線で)見ることができたのです。

写真左  モワ603 鶴橋駅

 
写真左下 1480系3連(モ1482-モ1481-ク1591) 鶴橋 98.5.27




近鉄 1480系 鮮魚列車その後、1989(平成元)年3月には、
1480系3連(モ1482-モ1481-ク1591)を冷房改造し、
トイレまでつけて、鮮魚列車として再デビューさせました。
1480系は、昭和36年に(Tcは昭和41年に)
大阪線の通勤車として登場したもので、
近鉄近代化の嚆矢、ラビットカー譲りの20m4扉車。
MMユニットで、1C8M制御(三菱製)の高加減速車です。
抑速発電ブレーキを備え、国分越え青山越えも可能な
大阪線近代化の立役者ともいえる記念すべき車両です。
外部塗装は一般車両と区分するため
マルーンの車体に2本の太・細白帯が入っています。
誤乗車を防ぐためですが、珍車としての個性を引き立てています。
しかしこの車両も老朽化がすすみ2001(平成13)年11月17日をもって引退し、2680系3両(モ2684-モ2683-ク2782)に置き換えられました。


近鉄 2680系 鮮魚列車
2680系は1971(昭和46)年に
急行用として登場した20m4扉固定クロス車で、
なぜ他の2600系と区別されるのかというと
なんと初代ビスタカー10000系の電動機・制御器など
を流用しているからです。
 登場時から冷房器は取り付けられているのですが、
その後ロングシート化され、そのままなところと、
方向幕で「鮮魚」と表示され
看板がなくなったのは残念なところです。

写真左 2680系3連(モ2684-モ2683-ク2782) 鶴橋   2005.6.3





鮮魚列車は、最盛期100人を越える利用者がありましたが、
自動車利用の増加もあって最近では半数以下に減ったそうです。
なお専用車両まで仕立てて鮮魚列車を運転しているのはここ、近鉄だけです。
(S50年代までには、京成電鉄にも行商専用列車がありました。)
今後も存続して運転することになっているそうですが、キツイ行商の仕事を受け継ぐ若い人は、そうはいません。
がらがらの車内を見るに付けても,このままでは近い将来廃止されてしまいそうです。
逆に鮮魚買い出し列車として、イベント列車化するのは、いかがでしょう。

なんとしても珍車たちの活躍場所を残してやりたいものです。


参考文献:鉄道ピクトリアル No398 近畿日本鉄道特集 81.12
近畿日本鉄道のWEBページ


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