2012/08/15 UP | |||||||||||||
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東京メトロ 06系 千代田線用 −千代田線のエースであるということ−現在、日本の電車ではIGBTを用いたVVVFインバータ制御車がスタンダードです。 実はこのIGBTを日本で初めて制御素子に採用したのが06系なのです。メインテーマは"Gentle & Mild"。「人や環境に心を配り、おだやかで上品であること」 有楽町線用の07系とともに 21世紀の地下鉄車両の基本モデルと位置づけられました。 07系と基本的な性能はほぼ同じです。 しかし6編成在籍の07系とは違って 1編成(10両)しか製造されませんでした。 これは一体どうしたことなのでしょう。 06系の活躍の舞台である千代田線は 相互乗り入れを行っている国鉄(JR東日本)・小田急電鉄の車両とともに運行されてきました。 国鉄は1982年から103系1000番台を203系に置き換え、 2011年にはJR東日本の最新鋭車233系2000番台によって203系も置き換えられました。 また、小田急では1990年に直通開始当初から使用してきた9000形をステンレス車体の1000形に置き換え、 2007年からはJR東日本のE233系をベースとした4000形を導入、もはや置き換えを完了しています。 ともに第3世代ということになります。 ところが、東京メトロでは営団時代に製造された第一世代である6000系を丁寧にメンテナンスしながら今なお使い続けています。 06系を語るには、その前にこの6000系について語っておく必要がありそうです。 千代田線のエース 6000系6000系は量産車両として世界初となる回生ブレーキ付きのサイリスタチョッパ制御を採用した画期的な車両であり、また省エネルギー車両の先駆けとなるアルミ車両です。 その斬新なスタイルも話題になりました。 21世紀の今もなお通用するデザインと申せましょう。 6000系車両は、千代田線の延伸開業にあわせ直通運転区間を拡大、 そして利用者の増加に応じ、 1968年から1990年まで、なんと22年の長きにわたって 試作車・量産車あわせて36編成353両が製造されました。 この間には冷房の搭載、客室窓の拡大などの改良もなされています。 さて6000系については、もとより長期の使用を考慮した車体の設計がなされていました。 原則として「20年で大規模更新、40年で廃車」という方針を採っており、 その方針通り1988年から2000年にかけこれまた12年の長きにわたって 営団地下鉄は6000系車両の延命化リニュアル工事に着手することになります。 非冷房の6000系初期車については冷房化改造も実施しました。 制御装置一つとってみても、GTO使用のチョッパ制御に更新したもの。 IGBT-VVVFインバータ制御に交換されたものとバラエティに富んでいます。 20年以上たってもアルミ車体が、思惑通り劣化していないことが6000系が長寿命であることの裏付けとなりました。 6000系が日本の鉄道史に金字塔を打ち立てた画期的な車両であるということは言うに及ばず、 6000系の千代田線における圧倒的な存在感が06系登場の背景にあったということを見過ごすことはできません。 1992年12月。06系落成。06系は、1993年3月に実施された輸送力増強にあわせ、営団受け持ちの車両運用数が一つ増えるために増備されました 。 当時、千代田線では朝のラッシュ時、 綾瀬→代々木上原で1時間あたり27本をの輸送力を確保していました。 そのために営団では10両編成を33本動員していました。 06系の登場以前、6000系10連は35編成。 1編成ではあっても、この増備は必要不可欠のものといえるでしょう。 ところが、増備されたのは1編成です。 「たった1編成で大丈夫なのか。」と言う気すらします。 ましてや前述したように6000系は更新時期に当たっていたのです。 いかな6000系が名車でも、それ相応の年数を経てきているのです。 トラブルが続発したところで不思議なことはありません。 千代田線を支えてこられた方々の、6000系に対する絶大なる信頼。 ひいては綾瀬工場のスタッフが6000系に対して いかに手厚くメンテナンスされてきたかがしのばれます。 とはいえ6000系の登場から、もはや22年。 さすがに6000系の増備ではなく新車を製造することになりました 。 ここで、05系を導入し、応急手当をする手もあったのではないか。とも思うのです。 しかし、営団は、千代田線にふさわしい新系列車両を導入することになりました。 それが06系です。 06系と07系設計にあたっては、同時期に有楽町線用として製造される07系とともに21世紀の地下鉄車両の基本モデルと位置づけられ 、 ハード面においても冒頭で前述したように VVVFインバータ制御に日本で初めてIGBT素子を採用したエポックメイキングな車両です。 (1C1M制御3レベル方式) 6M4T(6000系)を4M6T(06系)でこなすということも、さることながら、 万が一、モータが1つ故障しても、 1C1M制御であるために、全体としての性能の低下を最小限に抑えられる優れものです。 しかし結局、06系が目標とした性能は6000系そのものでした。 更新される6000系の制御装置をVVVF(IGBT)に換装し、 その内装を06系ふうに改めてゆけば、 メンテに手のかからない交流モータを採用できますし、 お客様からも不満の声などあがるはずもありません。 車体を使い回す分このほうが安上がりです。 これが06系の増備中止の主たる原因です。 07系については小竹向原−新線池袋間の開業にむけ、合わせて6編成製造されましたが、 06系にいたっては1編成のみで打ち止めとなりました。 偉大なる6000系に取って代わり千代田線のエースとなるには、 もう一歩先のテクノロジーが必要だったということでしょうか。 いや、あまりに6000系が偉大すぎたというべきでしょう。 ここで06系の秘密を一つご紹介しましょう。 実は06系と07系は一卵性双生児といっていい存在なのです。 参考文献の諸元表を見ると その車種から車体寸法、自重、そして定員に至るまで全く同じです。 台車も、モータも、制御装置も、CPも、クーラーも同じです。 ただ使用線区に合わせて列車無線とブレーキ設定が異なりますが、 見た目もラインカラーが違う程度です。 そして、06系と07系とは、 同じく綾瀬工場でメンテナンスを受けることになっていたのです。 現在07系は、有楽町線から東西線に転出しました。 06系も東西線へ転出する可能性は大いにありです。 東京メトロ 16000系時は流れ、2004年4月、営団はメトロに生まれ変わりました。2010年代になると、さしもの6000系も、 1990年代にリニューアルされた初期車から車両交代の波が押し寄せることになります。 しかし、いまさら営団時代の06系に声が掛かるはずもありません。 東京メトロは2009年12月に16000系の導入を発表しました。 第1編成は2010年7月に完成し、11月より営業運転を開始しています。 さて16000系こそは日本で初めて 駆動用のモーターに永久磁石同期電動機(PMSM)を本格的に採用した新造車です。 このことで6000系(オリジナル)と比べ実に40%の消費電力削減を実現しました。 それだけではありません。 メンテナンスフリーといった点でもPMSMはアドバンテージを持ち合わせており、 新世代の電車の駆動方式としての活躍が期待されています。 6000系が、そして06系がそうであったように 千代田線の先進性はしっかり引き継がれているのです。 参考文献 鉄道ピクトリアル 特集 帝都高速度交通営団 1995.7 No'608 鉄道ピクトリアル 特集 東京地下鉄 2005.3 No'759
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