鉄道写真管理局名鉄7500系パノラマカー 7665
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名鉄7500系パノラマカー 7665
−鉄道車両写真集−
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名古屋鉄道 7500系パノラマカー 6(2+2+2)両編成 編成表
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(モ7500-モ7650-)モ7650-モ7550-モ7550-モ7500 
(Mc1-M2-)Mc'1-Mc'2-M1-Mc2 * Mc'1、Mc'2とも形式に変更はなし。 
7515F:(7513-7666-)7665-7566-7565-7516 *7665のみ3次,他は4次
 名古屋鉄道 7500系パノラマカー 7665   撮影 東枇杷島駅(運転台が顔を出すことはほんとに少なかったのです。)

7000系パノラマカーの進化形であったはずの7500系。

1965年に登場した7500系は、7000系パノラマカーの後継車両という位置付けです.
先頭車は展望車.。同じくパノラマカーと呼ばれ、子供たちのあこがれの的であった点も同じです。
確かに外観的にも7000系とよく似ています。

名鉄7500系 7519 名鉄 7000系 7010
7519 7010
しかし、マニアの目から見ると、その違いは歴然としています。
床面が低く、それ故、突出したかに見える運転台は7500系パノラマカーの大きな特徴です。
それだけではありません。中身も大きく進化しました。
界磁チョッパ制御(回生ブレーキ付き)となり、 定速度制御(結果的には撤去)を可能にしたのです。
性能も7000系を凌駕するものと言っていいでしょう。

ところがどうしたことでしょう。

1970年に90両を数えた7500系は、
1998年に大量廃車が始まった7000系より一足早く、
1992〜93年に24両が廃車されています。
それも1967年〜70年にかけて増備された3次形以降の増備車です。

モーターなど機器の多くが1030-1230系、1850系に流用されることになりましたが、
22〜23年で解体の憂き目にあったのです。

対して7000系パノラマカーは.2009年にその最後を迎えました。
最後まで生き残ったグループには7001Fもいたわけですが、
彼らは1961年に製造され、2008年11月に廃車されるまで47年間、
名鉄の主役としてその天寿を全うしたのです。
それと比較すると、哀れと言うより他ありません。

7500系は7000系よりも進化していたことが問題だったというのでしょうか?

先進的であることが、なぜいけないのか!?

7500系の特徴であった定速度制御とはどのようなものでしょう。
これは任意の速度を設定し、その速度を維持するよう自動的に列車速度の加減速を行うものです。
自動車でいえばクルーズコントロールですね。
私は若い頃、クルーズコントロール付きのホンダ「プレリュード」に乗ってました。
高速道路でしか使えない代物でしたが、ある意味、便利でした。
中国縦貫道なんかでは結構アップダウンがあったものですから、
自分が意識するよりアクセルが踏み込まれていたりすることで、そのスピードが維持され、
結果的に、スピード違反することなく目的地に早く到達しました。

ただし、これは道路が空いていることが、大前提です。
交通量が多くなってくると、定速制御は困難になってきます。
スピードの遅い車を、追い越す際、追い越し車線を走行するがいなければ、何の問題もありませんが、
そうは問屋が卸しません。
そのたびクルーズコントロールを解除します。そうしないと追突です。
加えて、好条件であっても、眠気を伴うという副作用もあるのだということにも気がつきました。

結局、流れに合わせてゆく方がラクになり、いつしかよっぽどの好条件でなければ使わなくなってしまいました。

鉄道においても、同じことがいえたのではないでしょうか。
いや、鉄道の運転手における運行路線における経験値は、その情報量において
到底、一般道を自動車で走行する我々とは比較にならないほど豊富です。
定速度制御は、そんな彼らにとって、むしろ足手まといではなかったか?と私には思えます。
もし、有用なものであれば、その形を変えてでも残っていったはずです。
定速度制御は、結局、現場(運転手)の支持を得られなかったのです。
一時期、流行した4チャンネルステレオのように、いつしかその名を聞くこともなくなってしまいました。

では、定速度制御は意味のないものだったのでしょうか??
そんなことはありません。

定速度制御を採用したN700A系新幹線

JR東海は2012年9月。東海道新幹線5年ぶりの新型車両となる「N700A系」を報道関係者に公開しました。
列車が自ら加減速してダイヤぴったりに運行する「自動運転」機能を備えた最新型の新幹線です。

運転手は絶えず時刻表をにらみながら、路線の曲がり具合、勾配などを考慮しつつ規定の速度維持に努めます。
結果、東海道新幹線は現在、年間約12万本の運行で、1列車あたりの平均遅延時間が36秒という
信じがたい正確さを誇ります。
ところが、この36秒を限りなくゼロに近づける車両が求められる時代になったのです。
思えば東海道新幹線はカーブや勾配が多く、全路線を完全に把握した運転手でさえアクセル操作は難しいのです。
現在、JR東海は最高速度である285km/hを330km/hにまで高めようと目論んでいます。
そうなると人間の操作だけでは、どうしても加減速にムラが出てしまうというのです。

新大阪−東京間約552kmの路線上、各ポイントから、線路の勾配やカーブ、トンネルの情報をリアルタイムに読み取り、
先行車両との位置関係にも配慮しながら安全に、自動で加減速しながら区間ごとに定められた最高速度で走る。
これこそは定速度制御の最終進化形なのかもしれません。

しかし、それはN700A系だけでなせるものではありません。
東海道新幹線というシステムの一大変革でもあるのです。

思い返せば、20世紀の名鉄全線を7500系に合わせたシステムに変えることなどできるはずもなく、
その意味もありません。
先進性はそれを受け止めるシステムがあってこそ発揮されるのです。

7665と7566 という7500系の先頭車

つまるところ、7500系は先進的なそのメカゆえ他形式との併結ができず、
運用上のお荷物となってしまいました。

そこで、せめて7500系の中だけでも、柔軟な運用ができないかと、
1967年〜の増備車に貫通扉のついた運転台付き先頭車を登場させたと思われます。
それが3次車「7665」と4次車「7566」です。

しかし、この2両で製造は打ち切られました。
どうしてでしょう。

本気で柔軟な運用と考えているのなら、もう少し数が必要です。
それに、編成上の位置も、6連(2+2+2)の中間に組み込まれました。

 Mc1−M2
+Mc'1-Mc'2+ M1-Mc2

運転台を有効に使うのなら、同じ6連でも(4+2)にすべきでしょう。

 Mc1−M2−M'1-
Mc'2+ Mc’1-Mc2

加えて、7665.7566という車番も妙です。
形式もモ7650形 モ7550形です。
当時の名鉄の流儀では50番台は中間車に割り当てられています。
(それはさておき、私はこの二つの形式の違いが実はよくわかりません。)
7665と7566は、簡易運転台ではありません、れっきとした本線用の運転台をもつ先頭車です。
なぜ中間車であるモ7650形.モ7550形の追番なのでしょう?
当然、新形式となる「7600」でも割り振るべきです。

どうやら本気で短編成運用するつもりはなかったように思えます。
短編成運用するのなら、やはり在来形式との併結は欠かせないというの現場の声は無視できなかったのでしょう。
のち7000系パノラマカーのメカを引き継いだ7700系が量産されることになります。

7500系は、名車7000系パノラマカーを上回るものでなければならないという宿命を背負って生まれました。
それ故、孤高の存在とならざるを得なかった7500系。
そんな7500系にも貫通形の先頭車がいたのです。
どこにでもいるような、それでいて7700系とも5500系とも違う
ユニークなマスクの珍車がいたことを憶えていてやってください。



参考文献:私鉄編成表88年版
  :鉄道ピクトリアル 特集「名古屋鉄道」2009.3 No816(P220)


参考:新幹線のATC (CS-ATC)  


新幹線のATCは、当初、最高速度210km/hでの営業運転を行うにあたって採用されました。
高い安全性を備えた運転保安システムで、わかりやすく言えば自動的に列車をコントロールして止めるシステムです。
ATCはAuto Train Controlの略ですから、加速などもふくめた列車の全自動制御装置と誤解されてしまっているようですが、
加速などもふくめた列車の全自動制御装置はATO(Automatic Train Operation)と呼ばれ、
こちらは地下鉄や、新交通システムなどで、すでに導入されています。

また自動的に止めると言うことで、ATS(Automatic Train Stop)ともよく勘違いされるのですが 
ATSは信号を無視して突っ込んできた列車に非常ブレーキをかける保安用のバックアップシステムで、
当然、完全に停止するまでには、相当の距離を要するわけです。
高速走行かつ安全な運行を行うためには極めて不十分なシステムと言わざるを得ません。

新幹線は車内信号方式 (CS-ATC : CabSignal-ATC) を採用しています。
これは高速運転中、地上に設置された信号機では、これを視認する事が困難だからです。
CS-ATCは運転台で速度信号現示を行い、運転手に動作を促します。
そして万が一、信号現示より高い速度で運転されている場合には、
自動的に速度を信号現示以下に減速させるというシステムになっているのです。

ただ、従来形のATCは、列車が走行速度の下位の現示速度区間に進入した場合に
常用最大ブレーキ(通常使うブレーキで最も効きが強いブレーキ)をかけ、
走行速度が現示速度以下になると自動的にこれを緩めるというブレーキ制御方式であり、
この方式では、乗り心地の悪化は避けられません。
また運転間隔短縮を実現する上での障害ともなってしまうのです。


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