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2008.5.5UP | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
J鉄局TOP>珍車ギャラリー>名鉄 1380系 モ1384
パノラマカーの末裔(まつえい) 名古屋鉄道 1380系 モ13842002年9月26日新岐阜発豊橋行きの特急として走行していたパノラマスーパー1030系第4編成は、 奥田駅と大里駅の間にある大里8号踏切付近において普通乗用車と衝突脱線しました。
踏切内で脱輪し脱出できなかった乗用車が、なんと線路上を走行したことにより、 列車が乗用車に追突したという前代未聞の事故でした。 乗用車の運転者及び列車の乗員、乗客約900人のうち24人が死傷する惨事となり、 「ああ、あの事件か。」とご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。 特別車となる先頭2両(1134-1184)は、あわれ廃車。 残る普通車4両も、新造の代替特別車をあてがわれることもなく、 赤一色の一般車に格下げ、4両編成で新たな仕事に就くことになりました。 パノラマスーパー系列の車両としては、最終グループとなる第4編成でしたが、 10年にも満たないうちに特急運用から離脱することになったのは、 気の毒な気がしてなりません。
でも、どうして、新造の代替特別車(2連)を名鉄は製造しなかったのでしょう。 一つには、すでに十分な数の1000系、1030系が存在しており、特急運用にすぐさま影響が出ることがなかった点が挙げられます。 加えて、当時名鉄は、2年後の2005年2月、中部国際空港の開業にあわせて、 空港連絡特急セントレア(2000系、2200系)を開発中でした。 在来型の特急車両を補填する余裕も、必要もなかったといえるでしょう。 とはいえ、特急セントレア2200系は、特別車2両+普通車4両という構成で、パノラマスーパー系列の特急と同じです。 1380系4両に、2200系特別車2両をプラスした編成もおもしろかったのではと思うのですが、それはなりませんでした。 空港連絡特急として、今までの車両にないイメージを求めたセントレアと在来型の特急車両を併結するのは、イメージダウンですし、 誤乗車の可能性もその理由として挙げることができるでしょう。 でも理由はそれだけではありません。それに加え、車両性能上の問題があったのです。 1380系は、前述のように、個性的な展望室をもつパノラマスーパー系列の車両としては、最終グループとなる第4編成でしたが、 1030系は、なんと性能上、異端であるが故に、先行して廃車された7500系パノラマカーの電気部品再生車両だったのです。 スペックをご覧ください。 モーターの出力は、75kwと低くなっています。 制御器のACRFとともに、これらは1963年に製造された7500系パノラマカーの再生利用品なのです。 2200系セントレアの制御器はもちろんインバータ制御です。 いかな応用範囲の広いインバータ制御とはいえ、40年も昔に製造された個性的な走り装置に協調して走らせることにどれほどの意味があるか。 考えてみれば、そんな無理をあえてする必要は感じられません。
かくして、1380系は、一般車として再出発することになりました。 パノラマスーパーの看板を降ろし、一般色に衣替えし、ミュージックホーンも撤去しました。 最高速度も120→110Km/hと抑えられ、落日の感は否めません。
しかし、新たに取り付けられた運転台は、1850系と同様のものとなりました。 JR西日本の115系などに見られる、切妻断面の運転台にでもなったら まさに、悲劇的ですが、3000系タイプの運転台であっても、 彼のプライドは許さなかったでしょう。 パノラマスーパー一族のマスクを与えられたことは、 彼が、パノラマカ一の末裔である証でもあるのです。
参考文献;鉄道ピクトリアル 「鉄道車両年鑑2004」No753 |
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