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2011/12/11 UP | |||||||||||
J鉄局TOP>珍車ギャラリー>南海電気鉄道 10000系 特急サザン
南海電気鉄道 10000系特急サザン−−一般車に特急車を併結するという発想−−南海電気鉄道 10000系は、旧1000系による一部座席指定特急「四国号」の後継車両です。 旧1000系は、指定席・自由席とも同じ 転換セミクロスシートといった車内設備で、 差別化されていませんでしたが、 10000系は指定席専用車として、 いわゆる特急専用車のアメニティーを備えた車両となりました。 1985年に特急「サザン」号用として2連でデビューしています。 2連というのは、 7000系・7100系という一般車と 併結運転することを前提に作られたからです。 いわゆる私鉄において、 特急に特急専用車ではなく 一般車を用いることは珍しいことではありません。 しかし、特急専用車といっても何の遜色もないグレードアップした指定席専用車に一般車を併結するというやりかたは 南海のサザンが最初で、 これ以外では名鉄が実施しているμシートくらいでしょうか、 全国的にも珍しいものです。 でも、私は極めて合理的なやり方だと思っています。 考えても見てください。 南海特急は、難波−和歌山市駅間を最速で56分、 難波駅−和歌山港駅間なら61分で結んでいるわけですが、座れないとなるとチョットきつい。 よしんば座れたとしても、ロングシートでは本でも読むか、さもなくば狸寝入りを決め込むのが関の山です。 チョット奮発するだけで、座席が確保でき優雅に旅行気分が味わえるのです。 でも座席指定の特急に乗るために1時間以上も待つというのは、時間の無駄。 1時間程度の小旅行です。気軽に手軽にかつお安くというのが望まれるところです。 30分おきの座席指定特急車というのは、結構いけてますよね。 ただそうするには、本数を増やさなければなりません。編成は当然短くなります。 新たに列車を仕立てるのはコストもかかり二の足を踏むところです。 それならば、一般車で仕立てられた列車に、ハイグレードな指定席車を併結すればいいではないか! という発想で生まれたのがサザン号です。 一般車に特別車を併結するというのなら,グリーン車という手もあるではないか。とも思うのですが、 一般車(普通列車)に併結されている国鉄→JRのグリーン車は座席指定ではありません。 加えて1989年4月の消費税導入以前、 グリーン料金には10%の通行税が料金に含まれており、これは関西人の金銭感覚には合い入れないものです 結果、南海に4つある特急のうちサザン号だけが「特急券」の表現が用いられず、「座席指定券」となっています。 それがどうしたっていうの。と実を取る関西人は、細かいことは気にしません。 1992年には中間車が増備されて現在の4両編成になりました。 指定席車のグレードアップはうまくいったようです。 ちなみに後期車である07〜10Fに対しては中間車を新造して組み込みました。 (この中間車は側面窓が大きな連窓になっているので、識別が容易です。) 対して前期車である01〜03Fについては、これを中間車に改造し 04〜06Fに組み込んでいます。その結果01〜03Fは存在しないことになります。 (これらの中間車は窓の形状から容易に区別できます。) 名鉄との違いもこの際,明らかにしておきましょう。 南海の10000系は、一般車との固定編成ではなく、指定席専用車として独立しているということです。 このことで、指定席専用車(4連)を2つ繋いだ全車座席指定車両のサザン号(8連)も運転可能となるのです。 どういうわけか。2009年10月のダイヤ改正で、全車座席指定車両ので運転されるサザン号は姿を消してしまいました。、 ラッシュ時でなくても自由席車は、その両数が4両と少ないことから混雑し、とりわけ難波 - 堺駅間において終日すし詰め状態です。 利用状況を見極めて、全車座席指定車両のサザン号(8連)を復活させるとか、 せっかくサザンプレミアムができ、車両にも余裕が出てきたのだから、 10000系の何本かを2連に組み直し、6連の一般車と組み合わせるとか 柔軟な運用を期待したいと思っています。 特に、サザン号ではなく単に「特急」と表記される自由席(一般車)のみの特急が、 今なお(2011年12月現在)1日2往復運行されています。 これはかねてから南海のスジ屋さんにとっても懸案事項だったようですが、 解消される見込みです。この際、早く何とかして欲しいものです。 ところで、併結する自由席車両が新型の9000系ではなく、古い7000系・7100系に限定されているのはどういうわけでしょう。 より差別化を際立たせるためでしょうか?それは違います。 じつは、10000系は主電動機・制御装置・ブレーキなどの機器類を旧1000系ものから一部流用しているのです。 旧1000系は1962年〜製の11000系(後期車)をベースに、1973年、架線電圧の1500Vへの昇圧に伴い、更新改造したものです。 車体は老朽化にしていたのですが 主電動機・制御装置・ブレーキなどの機器類は昇圧改造後のものですから、まだ10数年しか経っていないのです。 これを10000系に流用するのはリーズナブルな選択です。 なお、これらは7000系・7100系と同タイプのものですから、抵抗制御で、電磁直通空気ブレーキが採用されている点も同じです。 抵抗制御とはいっても、超多段式バーニア抵抗制御方式(VMC-HTB-20E)です。 スムーズな加速は、特急用として遜色ないものです。 加えて10000系では、もっと乗りごごちをを差別化するため、台車は、空気ばね台車のFS-528/FS-028を新製しています。
参考文献;鉄道ピクトリアル 「特集 南海電気鉄道」No807 2008.8 |
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