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  小田急2600系 VVVF搭載車 2666F  2012/07/27 UP
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小田急電鉄 2600系 2666F 1995年改造

←新宿G           小田原@→
2666-2616-2716-2766-2686-2636-2736-2886
Tc1-M1-M2-T1-T2-M3-M4-Tc2
M2,M4にVVVF。
−鉄道車両写真集−
小田急電鉄 2600系VVVF編成
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小田急2600系 VVVF搭載車             撮影 1994.8 登戸駅

小田急2600系 VVVF搭載車 −最新のハイテクで生まれ変わったはずなのに…

小田急2600形は、1964年、
輸送力増強のために登場した20m級の大型車両です。

車体幅を2,900mmまで拡げたスタイルが特色で、
これが以後、
小田急における大型通勤車両のスタンダードとなりました。

モータは三菱製のMB-3095-AC型(130kW)を採用。
主制御器は同じく三菱製のABFM-176-15MRH型です。

MT比を1:1としたため、
6連では電動車は3両(モータの数は12個)ということになりますが、
6個のモータの制御を行う制御器を2セット装備するという
ユニークな3Mユニット方式(1C6M)を採用しています。

つまり、B号車となるデハ2700の
新宿側の台車(モータ)は
新宿側A号車のデハ2600の制御装置から、
小田原側の台車(モータ)は
小田原側C号車のデハ2800の制御装置から
それぞれ制御されるということです。

ブレーキはHSC-R形。
小田急では初となる電力回生ブレーキを採用しました。

2600形は2400形(HE車)の経済性を継承して
"New High Economcal car" 「NHE」と呼ばれます。
1964年の登場当時は、5両固定編成でしたが、
後に中間車1両が増結されて6両固定編成となり、
1968年までに合計132両が製造されました。

1972年から1981年にかけて冷房化改造がなされました。
CU-12系分散式冷房装置を搭載しています。

主に各駅停車や準急に単独6両編成で使用された2600形でしたが、
1983年3月より他形式と相互連結されるようになり、
1993年からは、その一部が8両固定編成化されることになりました。
その変遷を表に示しましたのでご覧ください。

1968年当時 1997年当時
E D C B A @
Tc1 M1 M2 M3 T Tc2
2651 2601 2701 2801 ×2751 2851
2652 2602 2702 2802 2752 2852 8連化されたグループ G F E D C B A @
2653 2603 2703 2803 2753 2853 Tc1 M1 M2 M3 M1 M2 M3 Tc2
×2654 2604 2704 2804 ×2754 ×2854 2654 2604 2704 2804 2624 2724 2824 2874
2655 2605 2705 2805 2755 ×2855 2655 2605 2705 2805 2625 2725 2825 2875
×2656 2606 2706 2806 2756 2856 2656 2606 2706 2806 2626 2726 2826 2876
2657 2607 2707 2807 2757 ×2857 2657 2607 2707 2807 2627 2727 2827 2877
×2658 2608 2708 2808 2758 2858
2659 2609 2709 2809 2759 2859 2659 2609 2709 2809 2629 2729 2829 2879
2660 2610 2710 2810 2760 2860
2661 2611 2711 2811 2761 2861
2662 2612 2712 2812 2762 2862
2663 2613 2713 2813 2763 2863
2664 2614 2714 2814 ×2764 2864 VVVF改造編成 G F E D C B A @
2665 2615 2715 2815 2765 2865 Tc1 M1 M2 T1 T2 M3 M4 Tc2
×2666 2616 2716 2816 ×2766 ×2866 2666 2616 2716 2766 2686 2636 2736 2886
2667 2617 2717 2817 2767 2867
2668 2618 2718 2818 2768 2868
2669 2619 2719 2819 2769 2869 6連のままで残ったグループ E D C B A @
2670 2620 2720 2820 2770 2870 Tc1 M1 M2 M3 T Tc2
2671 2621 2721 2821 2771 2871 2652 2602 2702 2802 2752 2852
2672 2622 2722 2822 2772 2872 2653 2603 2703 2803 2753 2853
2661 2611 2711 2811 2761 2861
×は廃車(Tc1×4、T×4、,Tc2×4)計12両 2662 2612 2712 2812 2762 2862
太字は8連化改造対象車 2663 2613 2713 2813 2763 2863
斜字は改番を伴うもの 2665 2615 2715 2815 2765 2865
2667 2617 2717 2817 2767 2867
2668 2618 2718 2818 2768 2868
2669 2619 2719 2819 2769 2869
2670 2620 2720 2820 2770 2870
2671 2621 2721 2821 2771 2871
2672 2622 2722 2822 2772 2872

車両番号については、それまでの形式では各形式ごとに連番となっていましたが、
2600形NHE車からは同一形式でも編成中での連結位置によって番号をあわせ、
末尾の数字が編成の中で揃う方式としました。
そのため改番を伴う車両入替となり、非常に複雑なものとなっています。
要は6連2本を8連1本にまとめなおすということですが、
前述したように3両ユニットとなるM車をバラすわけにはゆかず
Tc_MMM_MMM_Tc
という6M2Tの編成が登場することになりました。
結果、Tc車とT車があぶれてしまったのです。
特にT車は、5両編成を6両編成に増強する際に作られたわけですから、
2600系のなかでは新しいのです。そのまま廃車するのはもったいないですね。
またT車は将来電装化することも考慮された造りになっていたので
1995年。小田急電鉄はこれら余剰となるT車4両を電装し、
新たに8両固定編成を組成することにしたのです。
この表において、緑の字体で示したのがそうです。

1995年ともなればインバータ制御が主流となっていました。
今回の改造に当たっては、
VVVFインバータ制御となる2000形と同タイプのVVVF制御装置
(IGBT素子3レベル方式:三菱製MAP-178-15V50形)を使用することになったのです。

旧型となる抵抗制御車など系列にVVVFインバータ制御搭載車があるという場合、
VVVFインバータ制御試作車であることが多いのですね。
小田急2600形についても、
1986年。2662×6のサハ2762にVVVFインバータ制御装置を装備した
という例があるのですが、この場合は違います。

なお、MAP-178-15V50形インバータ制御器は、
1台でモータ4個を制御する (1C4M) ユニットを2群、装置の中に収めています。
つまり2M(MM’)ユニットを構成していることになります。
この点もオリジナルの2600系NHE車とは大きく違う点です。
ただ、ブレーキは他のNHE車と同様のHSC-R形のままです。
また台車はTS-818Aに換装されましたが一部のパーツはFS360Aから流用しています。

さて2000年度からNHE車の淘汰が開始されました。
最初に廃車となったのはこのVVVF改造車の8連です。
私は、「えー!?」と思いました。
前述したように車体も程度問題ですが新しいのです。
それになにより最新の足回りでリニューアルしたわけです。
いったいどうして?

そこで、私はもう一度2600系VVVF編成と、新2000形のスペックを見直してみました。
制御器の形式もモータも(三菱製MB-5061-A形)一緒です。
ともに出力は175kW。歯車比も全く同じの7.07となっています。
しかし、2600形に新2000形と同じ性能を期待することは出来ません。
軽量ステンレスの車体を持つ2000形は、ドアの開口幅も広く、ラッシュ時でも
スムーズに乗客をさばけますが、スチール製の2600形ではその遅れを取り戻すにも
一苦労ということになるでしょう。

一方8連化された抵抗制御編成の2600形は、モータの出力こそ130kwと
170kwモータのVVVF制御編成に及びませんが、6M2Tの強力編成です。
総出力で比較すると、130×4×6=3120 対 175×4×4=2800で
1割方力負けしています。

まして1編成しかないわけです。
VVVF編成に乗務することになった運転手さんにしてみれば、
ジョーカーをひいたような思いをされていたのかも知れません。

最新のデバイスは、最新の車体でもってこそ
その能力を遺憾なく発揮すると言うことなのでしょうか…。

結局、モータと・主制御器については2054×8に転用されていくことになるのです。

参考文献 新車年鑑 1995年版 鉄道ピクトリアル No612 1995.10
私鉄の車両2 小田急電鉄 保育社 1985年
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