鉄道写真管理局 珍車ギャラリー
  岡山電気軌道 9200形 1011  
2016/5/31 UP       JS3VXWのHP toppageへリンクHP  
 J鉄局TOP珍車ギャラリー>岡山電気軌道 9200形 1011 MOMO2
−鉄道車両写真集−
岡山電気軌道 9200形 MOMO/MOMO2
へJUMP
岡山電気軌道 9200形 2次車「MOMO2」
1011 2011年 新潟トランシス製
18.000×2.400×3.280  25.0t 編成定員74名(20席)
台車:OKAYAMA type クーラ-;CU206S×2 14500kcal
モーター:TDK6413A(東洋製)100kw ×2 ギア比6.789
制御装置IGBT-VVVFインバータ(MAP-102-60VD97A)2C2M
シャフト駆動 ブレーキ:回生発電併用電気ブレーキ トラックブレーキ
参考文献:鉄道ピクトリアル 鉄道車両年鑑2012年版
岡山電気軌道 9200形 1101B 岡山駅前

 1011は 9200形−−岡山電気軌道 MOMO2ー −−

岡山電気軌道にはフラッグシップともいうべき高性能車が存在します。
9200形です。愛称であるMOMOのほうがイメージしていただけるのではないかと思います。
ボンバルディア社のブレーメン形超低床電車を基本に、
車体や主要機器等は、アドトランツ(→ボンバルディア)製の標準パーツを組み合わせたもので、ユーロデザインのスマートな電車です。
1次車(9201、愛称:MOMO)が2002年に新潟鐵工所で、
2次車(1011、愛称:MOMO2)が2011年に新潟トランシスでそれぞれ製造されました。

さて今回取り上げましたのは2次車(1011、愛称:MOMO2)です。
1011という車番に違和感を覚えるのは私だけでしょうか?
1次車の9201をして9200形であるというのはごく自然ですが、
1011という車番をして9200形と判別できるのは岡電関係者か、マニアぐらいのものではないでしょうか。
それにしても、なぜ?今回はまずその謎から迫ってみたいと思います。

車両の形式というものは、その用途の違い、動力の違い、大きさ(長さ、重さ)、パワーの違いなどを考慮して付けられます。
事業者の規模が大きければ大きいほど、多種多様の車両を保有することになるわけで、その分、形式も多岐に亘るというのが道理です。

たとえば、国鉄の モハネ581形 なら、交直流用の特急用寝台電車で運転台がないものと判別できます。
その根拠となるルールについて、ここで詳述はしませんが、国鉄では形式にこの程度の情報は盛り込んでいるということになります。

しかし小規模な事業者であれば自ずと車両に求められる条件は少なくなります。
たとえば気動車のみで出力も座席も同じ…。すなわち形式でもって区別するに及ばない場合も多かろうと思われます。
そんな場合地域の独自性を形式に盛り込むという場合も出てきました。
三陸鉄道の「36−−」形、長良川鉄道の「ナガラ−−」形などです。
北条鉄道などは沿線の施設であるフラワーパークにちなんで 「フラワ−−」形としています。
加えて、いつ導入されたかということを盛り込む場合もあります。
そう、先ほどの北条鉄道の「フラワ-1985」形の1985はその導入年を表します。
地域に特化しているということで三セクの例ばかりになってしまいましたが、
路面電車の事業者にも導入された年を盛り込む例が見られます。それが岡山電気軌道です。

在籍車両のすべてに適用されているわけではありませんが、1980年以降の導入車両について、こうした例が見られるのです。
7000形〜です、1980年なのに7000?。と思われるかもしれません。
実は、1980年が岡山電気軌道の創立70周年であるということからこう付けられました。
よって、7100形は1981年、7200形は1982年に導入されたとわかります。
では、なぜこのような形式を付与することにしたのでしょう。
それは、7000形〜7700形が、2000形や2500形そして1000形(=元呉市電800形/700形 秋田市電200形)
という旧型車を種車としていることに由来します。
いずれも37.5kwモーターを2台装備し、制御装置は直接制御のKR-8タイプと…
つまり基本性能は同じなのです。スタイルもまた同じです。
もちろん7001〜7008などととすることも可能ですが、
73年製の3号機を7003とすると創立70周年に導入した7000形という意味が薄れてしまいます。
7900形以降もモータの出力こそ違え、この慣例を踏襲していくことになりました。

というわけで9200形1次車9201は創立92年となる2002年にデビューしました。
さすれば9年後の2011年にデビューした2次車は例に倣えば10101となるはずですよね。
しかし、さすがに5桁になるというのはインフレ過ぎます。
結局1011という車番に落ちつきました。
在籍数が20両あまりの岡山電気軌道にあって、
1年間に2桁以上の車両を導入することはまずあり得ないわけですから、この方がすっきりしますね。

ここで形式なんですが、これも例に倣えば1010形になるべきです。
しかし9200形のままでした。
確かに外見はほぼそのままです。強いていえばヘッドライト周りの形状ぐらいでしょうか。
3サイズも定員も同じです。名前こそ変わりましたが製造所もNIIGATAブランドです。
制御装置も同じく三菱製のインバーター制御(IGBT)です。
これだけ見れば9200形で何の異論もなさそうです。

しかし諸元表を見較べてみると、いくつかの違いが見られます。
台車とモータが国産化され、トラックブレーキが装備されました。
暖房能力も2倍にパワーアップされたこともあって重量も5tも重くなっています。
モータの出力は変わらないので、ギア比も変更されています。
これは形式を変えてしかるべきだとも思うのですが、そうはなりませんでした。

なぜでしょう?

岡山電気軌道はJR西日本吉備線への乗り入れを計画しています。
ただ一足早くLRT化した富山港線と違って、非電化路線である吉備線では電化するための費用もかかります。
将来、収支が見込めるのかという面でも、不安を抱えているということから、実現にはいくつものハードルが立ちはだかっています。
それでも今月、すなわち2016年5月24日に岡山市、総社市、JR西日本の3社が協議を開き、
2017年には目途を付けようという流れになっているようです。

この協議に岡山電気軌道が加わっていないのは意外でしたが、
路線延長も短く、2010年の営業係数98.1、平均通過数量(旅客人キロ/年間のべ営業キロ)も3407と
広電の1/4に満たない状況の岡山電気軌道に積極的に投資できるだけの財政的余裕があるのかといえばそれは疑問です。
MOMOの導入に際しても市民から募金を募り補助金を得て製作にこぎ着けたという経過があります。
財政出動ができないとなれば受け身にならざるを得ないのは自然の流れでしょう。

MOMO2の車両価格は2億8000万円。
岡山電気軌道創立100周年には導入できなかったので1011という車番になったわけです。
そんな岡山電気軌道がアピールできることはといえば、
「乗り入れ可能な車両を、すなわち9200形を継続して増備してますよ。」
ということになるのではないでしょうか。

車両のスペックから考えれば、9201と1101は似て非なるもののような気がします。
でも7000形と7100形の形式が異なっているのとワケが違うように思われます。
同じ9200形でも、9年の歳月を経て1011が背負っている現実には重いものがあるのです。

岡山電気軌道 9200形 9201A  岡山駅前 富山地方鉄道 デ9000形 9002B 富山駅前 2012.08 

岡山電気軌道 9200形 1次車「MOMO」
9201 2002年 新潟鐵工所製
18.000×2.400×3.280  20.0t 編成定員74名(20席)
台車:独立4輪構成のボルスタレス台車 クーラー:14000kcal×2
モーター:ボンバルディア製100kw ×2 ギア比4.9
制御装置IGBT-VVVFインバータ 1C2M
シャフト駆動 ブレーキ:回生・発電ステップレスモータ装着油圧ブレーキ 
参考文献:鉄道ピクトリアル 鉄道車両年鑑2003年版

富山地方鉄道(軌道線) デ9000形 「CENTRAM(セントラム)」
01〜-03 計3両  2009年 新潟トランシス製
18.040×2.470×3.745 25.0t 編成定員80名(28席)
台車:独立4輪構成のボルスタレス(ボンバルディア製)
モーター:BAZu3650/4.6(AEG製)100kw ×2
制御装置IGBT-VVVFインバータ(MAP-102-60VD140A)
シャフト駆動 ブレーキ:回生発電併用電気ブレーキ
参考文献:鉄道ピクトリアル 鉄道車両年鑑2010年版



 参考文献 鉄道ピクトリアル 特集 路面電車 1976年/1994年/2000年/2011年版 No319/593/868/852
       鉄道ピクトリアル 鉄道車両年鑑 2003年 2012年版 No738.868
       東洋経済 臨時増刊「鉄道完全解明2013」



J鉄局 トップページへ  鉄道写真管理局 (JR/JNR)へ (私鉄/都市鉄道編)へ 鉄道車両写真集INDEX 
 鉄道切符管理局 
ローカル線切符紀行へ  リンク集へ   鉄道資料室へ
JS3VXWのHPです