鉄道写真管理局 珍車ギャラリー 山陽電鉄 3100形 2006.10.22UP
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 山陽電鉄 クハ3619J鉄局TOP珍車ギャラリー>山陽電鉄 3000系 3100-3101-3619

クモハ3100 S58年6月 川崎重工 製
長さ(m) 幅(m) 高さ(m) 自重(t)
19.000 2.800 4.000 34.4
駆動方式 制御方式 モーター(kw) ギア比
平行カルダン KMC201
(モハ3101)
MB3020
125×4
5.47
ブレーキ 定員 冷房機 台車(製造)
HSC−D 140(51) CU17*4 KW-35
(川崎)
*モハ3101には補助電源としてSIVがつく





       3619                須磨寺 2005.8.10

山陽電鉄クハ3619 アルミニウム車体風塗装の普通鋼製車両

 山陽電鉄は、アルミニウムやステンレススチールの車体の導入に積極的で,昭和35年に2000系ステンレススチール車体、
昭和37年には日本初となるアルミニウム車体の2000系を登場させています。

 そして、その2年後の昭和39年に製造された3000系も、最初の2編成はアルミニウム車体で登場しました。
ただ、昭和44年から始まった神戸高速鉄道への乗り入れにあわせて大量の3000系を投入する必要があったため
第3編成よりコストの安い普通鋼製なってしまいました。
しかし、12年の歳月の後、昭和56年 3066-の編成よりアルミニウム車体が復活しています。
 
 さてアルミニウム車体の3000系が、3074-まで製造された昭和59年、3100-3101のユニットが登場します。
新たに3100番台が起こされたわけですが、
翌年(昭和60年)には3076-、3078-が製造されたものの、3102-以降は製造されず、
3000系(3050、3200系も含む)の製造は、ここで終了してしまいます。
 結局、1編成しか作られなかった3100番台とはいったい何者だったのでしょうか。

 その鍵となるのが、クハ3619です。
3074-編成のTcは、クハ3642。そして次の3076-編成には、クハ3643がついています。もちろんアルミニウム車体です。
ところが、これまたアルミニウム車体の3100-の編成には、
どういうわけか クハ3619という昭和45年製の普通鋼車体のTcがついているのです。
 
 じつは3100-3101のユニットは、ラッシュ時における特急列車の増結用に開発されたものなのです。
そしてラッシュ時以外は、このクハ3619を連結。3連で普通列車としての運行を可能にするものでした。
そのため、このクハ3619と3100-3101のユニットの間には電気連結器付き自動連解密着連結器が装備されました。
空気シリンダーで自動的に解放できる仕組みです。
 3100-の編成は、神戸高速鉄道から阪急、阪神への乗り入れ用車両として登録されており、
特急列車での活躍が期待されていました。
しかしその計画は実現されることなく、3100-の編成は3連のまま現在に至っています。
 
 前述したようにクハ3619は、普通鋼製です。うまく白塗りしていてアルミニウム車体風になっていますが、
なぜアルミニウム車体のクハ3600を製造しなかったのでしょう。
3619の前後のナンバーは3200系のTcに割り当てられています。
3200系は2000系の廃車から発生した110kwモーターなどを流用した3000系の車体を持つ車両です。
もしかしたら予定していたほどに2000系から3200系を製造できなかった事情があったのかもしれません。
 クハ3619は編成表でも長く孤立した存在でした。
今回、他の3000系とは違う独立性の強い3100-3101のユニットと組み合わせることで
余剰車両であるクハ3619の有効利用を図ったのではないかと思われます。


山陽電鉄 クハ3638山陽電鉄 クモハ3066 アルミカー 

--クハ3638    普通鋼製の車体です。   飾磨 2005.8.10 ------クモハ3066   アルミニウム車体です。  飾磨 2005.8.10
 
 そういえば久々のアルミニウム車体として登場した3066-の編成には、クハ3638が組み込まれていますが、
このクハ3638が、これまた普通鋼製なのです。そしてどういうわけか、
こちらは4両そろって普通鋼製の車体と同様の塗装が施されているのです。

 車体をアルミニウムにするのは軽量化が最大のメリットですが、
普通鋼のように錆ることがなく、塗装せずにすませることが出来るメリットもあります。
ただアルミニウムは普通鋼に較べ高価な素材で、保守についても汚れやすく、かつ汚れが落ちにくいという欠点があり、
営団地下鉄では、ステンレススチールの車体より水洗いを頻繁に行っていたようです。

 また、山陽電鉄においても、塗膜が透明のクリアラッカー塗装を施した車両があり、
トータルコストで考えたときにどちらがお得かは、優劣つけがたいものがあるようです。
事実、他社でも多くのアルミニウム車体の車両が存在しますが、塗装されているもののほうが多いような気がします。
そう見てくると、クハ3619のアルミニウム車体風塗装について、
 「そんなに無理をしなくても…」という気になってしまいます。 

 でも、おかげで山陽電鉄屈指の珍車が、際だった存在となっているわけです。           


山陽電鉄 クモハ3100 クモハ3100  須磨寺 2005.8.10          


---------参考文献;鉄道ピクトリアル 「車両軽量化の沿革と営団における実績」 里田啓氏 樋口敏彦氏

−鉄道車両写真集−
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