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  スカイレールサービス 200形  2008.2.9 UP
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スカイレールサービス 200形 スカイレールサービス みどり口駅をみる
スカイレール 200形  スカイレール200形から
   空中軌道越しに、JR瀬野駅と連絡するみどり口駅をみる

ローレル賞を受賞した鉄道界のコウモリ スカイレール200形 

 セノハチといえば知らない者はいないほど、鉄道マニアでは有名な山陽本線瀬野駅ですが、
貨物列車の後押しをする機関車も今や、この駅を通過、瀬野機関区もなくなり、すっかり寂しくなってしまいました。

 ところが、1999年。
この瀬野駅から、駅北側の丘陵地に開発された住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」の交通機関としてあたらしい鉄道が開業したのです。
スカイレールサービス 広島短距離交通瀬野線です。

 このスカイレールサービスは、路面電車などと同じく軌道法による鉄道事業者です。
でも、見た目は、スキー場などに見られるゴンドラそっくりです。
駅員さんも、運転手さんもいません。

どこがゴンドラと違うというのでしょうか。
なにはともあれ乗車してみることにしましょう。スカイレール 中間駅
 
 まず、スキー場のゴンドラは、じわじわ動く搬器(ゴンドラ)に乗り込むわけですが、
スカイレールはプラットフォームからホームドア越しに停車している車両(ゴンドラ)に乗り込むという点が違います。

 しかも駅には、時刻表があり、時刻になると自動的に、ドアが閉まり発車します。
 
 次に、スキー場のゴンドラは発車するとケーブルまでの落差を利用して滑り落ちながら加速、その勢いでケーブルを握索しますが、
スカイレールは、ケーブルまで、リニアモータで加速するという高度なワザを使います。
また、走行中、スキー場のゴンドラは、空中のケーブルにぶらさがって移動しますが、
スカイレールは、空中に軌道があり、それに支持されて移動します。
その点懸垂形のモノレールと同じです。
ケーブルはあるのですが、専ら、牽引するためのものであり、この点は地上を走るケーブルカーと同じなのです。

 そして、大きな違いとなるのが、カーブです。
 普通スキー場のゴンドラは直線コースで造られます。
野沢温泉スキー場のゴンドラである長沢ゴンドラは、折れ曲がったコースをとりますが、
中間駅に於いてケーブルから脱索、次の2本目のケーブルに移動する際に旋回するものです。
スカイレールは左へ右へとカーブしながら坂を登ってゆきます。
住宅地の道路にあわせて路線が造られているのです。
 
 中間駅といえば、スカイレールにも、中間駅があります。
 ここでも、スカイレールは、完全に停車します。
ケーブルは一本です。停車中に対向の車両が進入してこれるのも脱策しているからできるワザです。
つまり、各車とも独自に、かつ完全に停車できることが、スキー場のゴンドラとの決定的な違いのようです。
このことによって列車毎のダイヤが組めるわけです。
 この点、上下の列車の時間を合わせねばならない地上形のケーブルカーより自由度が高いと申せましょう。
 
 それと、冬に乗車したからわからなかったのですが、スカイレールは、エアコン付きです。ローレル賞 受賞プレート スカイレール200形
軌道上に添わせた架線より、電気を採って動きます。

 「ほお…」と感心しているうちに、終点に着きました。
ピタリと停車した位置から下車します。
違いはあるとはいうものの、やっぱり吊り革付きのゴンドラです。
「鉄道車両のイメージとは似ても似つかないなあ。」
と思っていると、思わぬものを見つけました。
 
 鉄道友の会によるローレル賞の受賞プレートです。

 鉄道友の会という団体は、1953年、鉄道愛好家による、全国組織の団体として創立しました。
 その5年後の1958年。
 小田急のSE車(3000系)のデビューに際し、感銘を受けた友の会は、
「優れた車両には、賞を贈ろうではないか。」
とSE車にブルーリボン賞を贈呈することにしたのです。
 以後、ブルーリボン賞は、会員の投票により、毎年選定されています。(もっとも両賞とも該当車なしという場合もありますが…。)
ローレル賞は、1961年に通勤形車両を対象としてスタートしました。
しかし、通勤形車両の定義も曖昧になり、ブルーリボン賞の対象候補を選定する委員会が、
「会員の投票からは選ばれなかったものの、これは優れた鉄道車両だ。」
と判断したものにローレル賞を贈ることになったのです。1975年のことです。
投票ではどうしても、特急などの花形車両に票が集まるものですから、こうした別の観点からの賞は、マニアとしては、とても楽しみなものです。
ちなみに、樽見鉄道のハイモ180形(1985)や、JR貨物のコキ71形(1996)もローレル賞を受賞しています。
投票では、まず選ばれることはないでしょう。

 で、スカイレールです。
スカイレールサービス社が、鉄道事業者である以上、鉄道友の会としても、こんなユニークな車両を俎上に乗せないわけにはゆきません。
友の会の「ブルーリボン賞、ローレル賞規定 第2条(鉄道車両の定義)」に於いても、索道事業に供される車両は除外対象ですが、
懸垂式鉄道も鋼索鉄道も、鉄道車両として、きちんと明記されています。
 
  参考文献の「ブルーリボン賞、ローレル賞の半世紀」には、もちろんスカイレール200形の紹介ページがあるのですが、
「鉄道車両の必要条件である前照灯と標識灯を備えている。」
とありました。

 なにごとも、イメージや見た目で判断してはいけませんね。

 とはいえ、スカイレールをローレル賞に選定するにあたっては、
「相当論議されたんだろうなあ。」と私は想像するのです…。

参考文献;「ブルーリボン賞、ローレル賞の半世紀」鉄道友の会編2006.8 交通新聞社


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