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  東京急行電鉄 5000系 5800形?  2010/12/03 UP
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東京急行電鉄 5000系 サハ5800形 5815     2010.8   春日部駅
東京急行電鉄 5000系 デハ5800形 5805     2006.3   押上駅 

東急 5000系 5800形って何者だ?

名は体を表すものであって欲しいと
かつて述べさせて頂きましたが、
東急において、そこのところは現在全く考えておられないようです。

東急には5000系という車両が2002年から登場していますが、
(いうまでもありませんが、青ガエルと呼ばれる5000系のことではありません)

こと5800という番号を掲げる車両は、
デハあり、クハあり、サハありと…なんでもありです。

なお、サハについては6ドア車である場合と4ドア車の場合とがあるのですが、
これも番号で区別できるようにはなっていません。
形式毎に分別すると番号は飛び飛び、
加えてなお、改番があり、サハがデハになっていたりして、
もう何がなにやら、訳が分かりません。

なぜこんなややこしいことになっているのでしょう。

もっとも、昔はそんなことはありませんでした。
例えば東急7000系は、オールMの編成ですが、
先頭車であるMc車には7000を、
中間車であるM車には7100を割り振っていました。
車種が多彩な8000系でも、100番台が0ならTc。 
1.2(7.8)なら、それぞれM1,M2。
5.6なら、それぞれMc1,Mc2。
1Mユニットには4。
T車には9.3が割り当てられました。
どのような車種にも対応した合理的な分類です。

しかし、実のところ、
この8000系においても番号の割り振りに破綻が生じていたのです。

田園都市線用の8000系において、
東急ではそのM1,M2ユニットに8700台と8800台を割り振りました。
一編成あたり3両ずつ8700形と8800形を配置することになったのですが、
8000系だけで40編成を超える田園都市線においては、
8799、8899では収まらないことになってしまったのです。

1形式あたり、100両を超えることは想定していなかったということになりますか…。

何はともあれ0700という8700形の100両目と
0800という8800形の100両目が姿を現すことになります。

同じような現象は東武でも同じく8000系に於いて発生しました。
東武では5桁のインフレナンバーでこれに対応しました。
例えば8400形の100両目は、84100です。
旧国鉄の蒸気機関車みたいに、18400とする手もありましたし、
84-100とハイフンを振るという手もあったでしょうが、結局84100というふうに番号が割り振られました。
以後、5桁に違和感を感じなくなった東武は5桁の形式、系列がスタンダードになっています。
系列を示す数字が、トップに来るこのやり方は、
はじめは数字が大きすぎて、なんとなく違和感を感じましたが、慣れればそうでもありません。

しかし、0700という8000系(8700形)というのは、少し無理があるように思われます。
その反省を踏まえてか。
4桁にこだわる東急は、1000台に系列、100台に車号を割り振り
下二桁で編成番号を表すという番号の割り当てを5000系に適用しました。
東急としては、よもや10両編成を超えることはなく、
また一系列の車両が100編成(=1000両)を超えることはないと判断したのでしょう。
(ちなみに東急8000系は675両、東武の8000系は712両)
なお、このやり方は、営団地下鉄が6000形に於いて採り入れたやり方で、
以後、名古屋や神戸の地下鉄でも採り入れられているやり方です。
同じ内容構成の車両であっても、別形式を割り当てるという欠点はありますが、
増解結することがなく、同じ固定編成で済ませるのなら、
これはわかりやすく、合理的なやり方です。

しかし、東急の5000系は編成をいじってしまったのです。
それが全編成に及ぶのならまだしも、結果として構成が異なる3つのパターンが存在し、
それも2回にわたって、編成替えをしたものですから、
もうこんがらがってワケが分からなくなってしまったのです。

ものぐさな私は、もうダメ!と白旗を揚げて降参していたのですが、
RailMagazine誌(2010 年4月号)に「東急最新情報便」として採り上げられていたので、
この記事を頼りにもう一度、
このこんがらがった糸を一つずつ解きほぐしてゆくことにしました。

まず大前提!、東急5000系においては、
その番号の下二桁を編成毎に統一し、
そのために「100番台は何号車かを割り振っている」
ということをもう一度確認しておかねばなりません。
田園都市線の5000系はすべて10連ですから、5800は8号車、5000は10号車となります。

T 2002年 東京急行電鉄 5000系がデビュー。

当初、5000系の10両すべてが4ドア車の編成で、当然、何の問題もありません。
きっと誰もがこのままで行くのだと思っていたことでしょう。

U 2004年。 6ドア車デビュー。

田園都市線の混雑はのっぴきならないものとなってきました。
この混雑を緩和するために6ドア車が、それも一編成あたり2両必要ということになりました。
どの駅かは知りませんが、5号車と8号車の位置が問題だったのでしょう。
ここに6ドア車を配置することになりました。
というわけで5500と5800を6ドア車に差し替えればいいということになるんですが、
実際には、そう簡単にいきません。
6ドア車などの多扉車は開口部が多い分、強度上の問題を抱えます。
JR東日本などでも6ドア車は、モーターのないT車と相場は決まっています。
思えば東急5000系は、JR東日本の209形とほぼ同様のコンセプトをもつ、OEMといってもいいような車両です。
東急でも6ドア車はT車でというのは当然の成り行きでしょう。

とはいえ、5号車.8号車にはM車(デハ5500.5800)が居座っていました。
このままT車に差し替えたのでは、パワー不足もいいとこです。
結果、先頭車以外の8両はすべて移動して4ドア車のT車を2両ひねり出すという
大がかりな車両入れ替えが行われることになったのです。
(02F-06F 2004-08年にかけて施工)
ちなみに捻出されたT車(4ドア車)10両は、その後、新製された07F-16Fの4号車としてきちんと収まりました。

東京急行電鉄 5000系  田園都市線用 10連 02-06Fの組み替え一覧 2004-2008年 4号車新旧対照表
渋谷 @ A B C D E F G H I 中央林間 変更日
5100 5200 5300 5400 5500 5600 5700 5800 5900 5000 5402 5702 2008.5.1
変更前 Tc1 M T3 M2 M1 T2 T1 M2 M1 Tc1 5403 5303 2007.8.18
5404 5704 2005.2.4
変更後 Tc1 M2 M1 T3 T2N M2 M1 T1N M Tc1 5405 5305 2007.4.13
5100 旧5800 旧5900 旧5300 新車 旧5400 旧5500 新車 旧5200 5000 5406 5306 2006.4.21
旧5700 6ドア車 6ドア車

そんなわけで、2009年3月。
田園都市線の5000系は、オール新車の17Fを加えて、16本が6ドア車(×2)付きとなり
01Fのみがオリジナルのオール4ドア車という陣容になりました。

V 2009年。6ドア車を追加

ところが、なんということでしょう。
6ドア車がもう一両必要ということになったのです。
10両編成とはいえ、もうT車(4ドア車)は4号車にしか残っていません。
前回、捻出した4ドア車(T車)を組み込んだばかりの4号車ですが、
これをまた取り替え、ここに6ドア車を組み込むことになったのです。
さて、前述の2004-08年にかけて施工されたプロジェクトでは
捻り出された4ドア車をその後新製された編成に組み込むことで消化できましたが、
もう5000系はほぼ必要数揃っています。

放りだした4ドア車は、どうすればいいのか!

東急は、6ドア車×3両の編成を14本用意する一方で、
オール4ドアの編成を1本から4本に、つまり02F-04Fをオール4ドア編成に戻すことで
4ドア車を3本分=6両を消化することにしました。
一方で捻出された6両分の6ドア車を新たに4号車に組み込んでいきます。
あと不足分の6ドア車8両は新車で補い、この分余剰となった4ドア車は東横線へ転籍してゆきました。
(予備車になったものもあり)

もっとも今回の車両取り替えにあたって、M車の位置を変えるなどということはしていません。
5号車.8号車のT車を取り替えただけです。

でも。これがまたややこしい!

もとの編成のもとの車号にもどったワケではないので、またもや改番をすることになります。
加えて、かつての自分の居場所には、新たな車両が、同じ番号で組み込まれるので
はじき出されて以後、新しい居場所が決まるまで、
番号が重複するのを避けるため仮番号が付与されることになりました。
それが40番台、70番台です。(5541〜43、5842〜44、5570、5470)
もっとも新たな編成に組み込まれた時点で解消されるものですから、我々の目には、触れることもないのですが、
工場の中では、目に見える形で描かれていたのでしょうか。
それとも書類の上だけのことなのでしょうか?

それはさておき、数限りない改番を繰り返し、
田園都市線の5000系はようやく現在の位置に落ち着いています。
でも彼らにしてみれば、「私は誰?ここはどこ?」という心境でしょう。

でも、これでおしまいということにはならないような気がします。

東京急行電鉄 5000系 クハ5800形 5867     2009.3      祐天寺駅

W 2012年。東横線 副都心線と直通運転開始

東横線に流れていった5000系も今後どうなることでしょう。
2012年、副都心線との直通運転に合わせまた10両編成に増結。

またもや
「フルーツバスケット!」
ということになるのではないでしょうか。

そうなれば田園都市線で4ドア車として残されているT車も
また、引っ張り出されてくるような気がします。

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参考文献;RailMagazine誌(2010 年4月号)「東急最新情報便」 柴田東吾氏
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