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2016/09/16 UP |
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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>四日市あすなろう鉄道 新260系
-30年を超える年の差のパートナー- 四日市あすなろう鉄道 新260系-四日市あすなろう鉄道は2015年4月に近畿日本鉄道から経営分離した内部・八王子線を運営する第三セクターの鉄道です。(近鉄75%と四日市市25%の出資) 同線は1912~15年にかけて三重軌道が開業させた762mm軌間の軽便鉄道で、 戦時統合で1944年三重交通の路線となり、 三重電気鉄道を経て1965年に近鉄へ吸収合併されていたものです。 なお、かつては四日市で線路がつながっていた湯の山線を合わせて三重線と総称し、 湯の山駅(現在の湯の山温泉駅)まで直通運転していたこともありました。 (湯の山線改軌時には独立した路線となっています。) 内部・八王子線の年間乗車人員は1970年度の722万人から年々減少し続け、 なんと2013年度にはなんと半減(359万人)していました。 近鉄も手をこまねいていたわけではありません。 ワンマン化等人員削減も行ってきた一方で、1982~83年にかけては内部八日市線にも新車を投入しているのです。 しかし、冷房は付いていませんでした。 それでなくとも地方では車社会と化しているのです。電車離れは自然な流れと思われます。 近鉄がバス転換(BRT化)を提案したのは致し方ないことなのかもしれません。 しかし、四日市市は公有民営方式で同線を存続させることに合意。 2015年から四日市市が第三種鉄道事業者として鉄道施設や車両を保有し、 新会社「四日市あすなろう鉄道」が第二種鉄道事業者としてそれらを運営してゆくことになりました。 そうなれば、車両も施設も一新しイメージアップを図りたいところです。 少なくとも、冷房車が一台もいないという悪評は一掃したいものです。 しかし鉄道車両を、とりわけ特殊な車両を冷房化することは想像以上に大変なことです。 このことについては前回採り上げた箱根登山鉄道1000系2200形でもおわかりいただけたと思います。 今回取り上げる 四日市あすなろう鉄道260系はレールの幅が762mmという日本の鉄道にあってはきわめて特殊な車両です。 主力となるモ260形は全編成の四日市方に連結される電動車です。 近鉄時代となる1982~1983年に近畿車両で新製された車両ではありますが、冷房車ではありません。 冷房改造しようにも、長さ約15mの小型車で床下の空間には余裕がありません。 機器を新たに設置するのなら屋根の上が空いていそうなものですが、 そもそも軽便鉄道とも称されるナローゲージの車体がコンパクトなのは軽量化のためです。 冷房機器のような重量物を屋根の上に搭載するには車体の補強が欠かせないわけですから なおさら重くなるこの方法は現実的ではありません。 ちなみにナローゲージの車両で冷房化した事例がないわけではありません。 これも珍車ギャラリーで採り上げました。三岐鉄道北勢線の270系です。 これもまた近鉄から分離された路線ですが、こちらがいい前例となりました。 座席をつぶして空間を作り、そこに冷房機器を据え付けるというやりかたです。 でもこれだけではダメです。電源を確保しなければクーラーは効きません。 前回採り上げた箱根登山鉄道では冷房車であった中間車を2000系から切り離して1000系に組み込み、 電源もそこから給電されるという対策をとりましたが、 四日市あすなろう鉄道の場合、そんな好都合の車両はありません。 いや冷房車自体これが最初となるのです。 どこから電源を確保するか。四日市あすなろう鉄道では中間車を新造しここに電源を集中することにしました。 前述のモ260形と同じ時期に新製されたク160形に加え、編成には中間車(サ120形)が組み込まれていました。 これは三重交通時代の車両のうち比較的車歴の浅いものを改造したものです。 車体はいったん解体、乗務員室を撤去し新たに貫通路が設置されました。 内装も軽合金製部品によって不燃化され、もはや新車といっていいほどです。 しかし、台車はオリジナルのまま残されていたこともあってこれでは重量増に耐えられないと考えてか。 新造車両を導入することにしたのです。 30年を超える年の差のパートナーであるサ181を新たに迎えたモ260形たちは自らもリニューアル。 年の差を感じさせない見事な編成美を見せています。 四日市市とあすなろう鉄道の心意気に応えて「鉄道友の会」は新260系編成に2016年ローレル賞を授与しました。 ともすれば鉄くずになっていたかもしれぬ260形は、今どのような思いでいるのでしょうか。 参考文献:鉄道友の会のHP |
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