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![智頭急行 HOT3500形](hot3503.jpg) |
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HOT3503 智頭駅 |
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*第3セクターの優等生。智頭急行
智頭急行は、もともと国鉄智頭線として、建設が進められていた路線でした。
しかし、国鉄再建法のもと工事が凍結されていたため、第三セクターの智頭鉄道が、
これを継承し、94年12月3日、開業にこぎ着けたものです。
80年代には、路盤の9割が出来上がっていたという好条件に恵まれてはいましたが、
そのままではジリ貧になると判断、会社は、工事を再開した2年後の89年に路線の高規格化を発表、
電車による160km/hの高速運転を計画しました。
結局、JR因美線側の事情で、ディーゼル特急による130km/h運転でスタートすることになりましたが、
今や、この特急「スーパーはくと」は、京阪神と鳥取を結ぶ定番ルートとなり、
安定した通行料収入は、2006年6月、
智頭急行をして第三セクター鉄道初の株主配当を実現することと相成りました。
新線建設形の 第3セクター鉄道は、三陸鉄道、阿佐海岸鉄道、土佐くろしお鉄道など、
いわゆる過疎地に見られる一方で、愛知環状鉄道のような都市近郊の鉄道もあり、
単純に赤字ローカル線=三セクとはいえないものがあります。
また、前者についても、特定地方交通線を引き継いだ会社(路線)に較べ、
軌道の保守にかかる経費が少なくてすむ分、恵まれているといえるでしょう。
加えておおむね線形が良く、高速運転に適している点も有利な点です。
これらの新線は、そのルートについて、
意味不明な路線が多く見られる改正鉄道敷設法に基づいて、建設されてはいるわけですが、
結果として、新幹線と在来幹線をショートカットすることとなった北越急行は、
首都圏と北陸の各都市を結ぶ幹線ルートとなり、
特急「はくたか」による通行料収入で、こちらも第3セクター鉄道の優等生となっています。
智頭急行の「スーパーはくと」が登場するまで、鳥取−京阪神間のメインルートといえば山陰線です。
しかしとりわけ、非電化の区間における「歩みののろさ」は際だっていて、
かつて私が「エーデル鳥取」で鳥取入りした時、
城崎からは、ほぼ独占状態で展望席からの眺めを楽しんだのですが、
山陰の美しい眺めでさえ、多少食傷気味に感じられたほどでした。
他に新幹線で岡山へゆき、津山線経由で…という方法もあります。
しかし、これも見るからに遠回りであり、コストの点での不利も否めません。
高速バスという手段もあります。しかしこれも、一般国道を走る区間が結構長く、
安上がりですむものの、バス酔いしやすい人にとってはつらいものでした。
そこで「スーパーはくと」です。
従来の所要時間(4時間から3時間半)から1時間以上短縮され、
大阪−鳥取間は、最速2時間19分です。それに乗り換える必要もありません。
デビュー後、2ヶ月目にして、阪神大震災による運休を余儀なくされ、
出鼻をくじかれた「スーパーはくと」ではありましたが、復旧以後、順調に乗客数を伸ばし、
13両でスタートしたHOT7000形は、今や総勢34両に増強されています。
(また岡山方面からも特急「スーパーいなば」が、智頭急行経由で運行され、
津山線経由の急行「砂丘」は、撤退を余儀なくされています。)
智頭以北のJR因美線が、高速化(津ノ井以南95km/h、津ノ井以北110km/h)されたことも
見逃せませんが、智頭急行線内の130km/h運転は、アーバンネットワークの俊足さををそのままに
「スーパーはくと」を京阪神−鳥取間の主役に押し上げたといえるでしょう。
さて当局(HP)のローカル鉄道の定義は、大都市にターミナルを持つ会社(含むJR)の列車が、
全線にわたって乗り入れてくる路線を除くことになっています。
ですから智頭急行は、除外すべきなのですが、智頭急行を「地域の足」と考えた場合、
どう見てもローカル線以外の何者でもありません。
加えてローカル鉄道が、生き延びてゆくためのいくつもの道筋が、
この智頭急行に示されていると、私は考えています。ですから例外として加えさせてもらってます。
智頭急行の車両にはHOTの3文字が冠されていますが、
これはH;兵庫県、O;岡山県、T;鳥取県を意味します。
ちなみに、三県にまたがって路線を持つ第3セクターの鉄道は、他にありません。
現在、ローカル線の多くが、車の免許証を持たない高校生の通学輸送こそが、
最大の使命となっているわけですが、県境を越えて通う生徒は、極めて少数派です。
智頭急行においては、案の定、通学輸送の占める割合は少なく、
だからといって通勤輸送が多いというわけでもありません。
特急がなければ、到底やってゆけないのが現実です。
しかし ローカル列車用のHOT3500、3520形は、
特急用のHOT7000形と同系列のエンジンを(1台ですが)搭載し、
17m級の軽量ボディとあいまって社線内110km/h運転と高性能です。
また 各駅には、パークアンドライド用の駐車場があります。
地元の利用を促進するための基盤となる手を打っています。
また一方で「宮本武蔵」という有名人?の名を冠した駅を設置し、
東粟倉村(現 美作市)にできた武蔵の里(駅から徒歩圏内)を観光客にアピールしています。
そして、切符です。「智頭線満喫一日乗り放題きっぷ」は、期間限定。特急には乗れませんが、
なんと 大人1000円、小児500円という料金設定で、全線通しの片道運賃1260円より安いのです。
儲かっているところからは、しっかり頂き、
利用のままならないところは、思い切ったディスカウントをする戦略です。
この値段なら、また乗ろうという気になりますね。
しかし、この冬、また智頭急行に乗りに行こうかと思った私ですが、
この休みには発売の予定がないようです。
ぜひ青春18切符の通用期間には、利用できるようにしていただきたいものです。
![](line001.gif)
智頭急行と大鳥圭介
ところで、地図を見て、不思議に思うことがあります。姫路から作用まで
姫新線を経由した方が近いのに、なぜ上郡経由なのだろうか?ということです。
姫新線には、途中、播磨新宮や三日月そして本竜野という、
そこそこ大きな町や、市の中心部に駅が、あるのにもかかわらずです。
そこで、まず距離を調べてみました。姫新線の45.9kmに対し、
上郡経由は52.0kmと、6kmほどしか差がありません。
次に、所要時間を「JRおでかけネット」で検索すると、姫新線は72分かかるのに対して、
上郡経由は、2回の乗り換え(8分)を含めても59分と優位に立ちます。
そして「スーパーはくと」に至っては37分。と半分の所要時間で着いてしまうことがわかりました。
地図の縮尺をアップしてみると、姫新線は、様々な町に立ち寄り、また小さな峠を越える分、
路線のそこかしこに、くびれを生じています。
1線スルーなどの駅施設の改良程度では、高速化は、たいして期待できないのです。
千種川沿いを一気に北上する智頭急行のルートこそが、実際上の最速ルートといえます。
しかし、いったい誰が、こんなルートを考えたのでしょう。それは上郡町出身である大鳥圭介です。
何年か前、NHKの大河ドラマで「新撰組!」が放映されてましたが、
その時、この大鳥圭介も登場していました。
土方歳三や榎本武揚ほどのスター性はありませんが、大鳥は、エリートで切れ者です。
明治維新後も生き延びて、政界にも発言力を持つまでになりました。
彼は、明治23年、有年まで開業していた山陽鉄道に上郡駅を設置せよと請願し、
5年後には開業にこぎ着けています。そしてここ上郡駅を起点に、鳥取へのルートを提唱しています。
これが、のち改正鉄道敷設法に、組み込まれ智頭線となってゆくのです。
ですから智頭急行の生みの親は、大鳥圭介というべきかもしれません。
![智頭急行 HOT7000形](hot_7001F.jpg) |
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HOT7001 京都駅 2006.5.24 |
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「スーパーはくと」の「はくと」は「因幡の白兎」にちなむもので、つまりは白ウサギの音読みです。
私は小さい頃、急行「白兎」に載せてもらったことから、その意味を教わりましたが、
ひらがなで「はくと」では、なんのことか、よくわからないのではないでしょうか。
昔、北海道に、函館−網走間を走る特急「おおとり」という列車がありましたが、今はありません。
今更、無理な話かもしれませんが、大鳥圭介の業績を讃え、また大阪と鳥取を結ぶ意味をも含めて。
智頭急行の特急を「スーパーおおとり」とするのはいかがでしょう。
そうだ。それなら「スーパーいなば」を、この際、「スーパー武蔵」と命名する手もあります。
…などど勝手なことを考えています。
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