ローカル線切符紀行
参考Web;
大鳥圭介(Wikiー)

『大鳥圭介書簡集 
       上郡の古文書』
上郡町史編纂室 

圭介勉強会の項目
(news kamigori 2006.9)       
 
鉄道切符管理局  智頭急行 2006.11.4 UP
JS3VXWHP TOPへ  
TOPへ
切符INDEXへ
珍車(JR/JNR)へ
珍車(私鉄)へ
鉄道資料室へ
智頭急行 一日乗車券
         
Yahoo! JAPAN
 
智頭急行 HOT3500形
HOT3503 智頭駅
   

*第3セクターの優等生。智頭急行

 智頭急行は、もともと国鉄智頭線として、建設が進められていた路線でした。
しかし、国鉄再建法のもと工事が凍結されていたため、第三セクターの智頭鉄道が、
これを継承し、94年12月3日、開業にこぎ着けたものです。
 80年代には、路盤の9割が出来上がっていたという好条件に恵まれてはいましたが、
そのままではジリ貧になると判断、会社は、工事を再開した2年後の89年に路線の高規格化を発表、
電車による160km/hの高速運転を計画しました。
 結局、JR因美線側の事情で、ディーゼル特急による130km/h運転でスタートすることになりましたが、
今や、この特急「スーパーはくと」は、京阪神と鳥取を結ぶ定番ルートとなり、
安定した通行料収入は、2006年6月、
智頭急行をして第三セクター鉄道初の株主配当を実現することと相成りました。
 
 新線建設形の 第3セクター鉄道は、三陸鉄道、阿佐海岸鉄道、土佐くろしお鉄道など、
いわゆる過疎地に見られる一方で、愛知環状鉄道のような都市近郊の鉄道もあり、
単純に赤字ローカル線=三セクとはいえないものがあります。
 また、前者についても、特定地方交通線を引き継いだ会社(路線)に較べ、
軌道の保守にかかる経費が少なくてすむ分、恵まれているといえるでしょう。
加えておおむね線形が良く、高速運転に適している点も有利な点です。

 これらの新線は、そのルートについて、
意味不明な路線が多く見られる改正鉄道敷設法に基づいて、建設されてはいるわけですが、
結果として、新幹線と在来幹線をショートカットすることとなった北越急行は、
首都圏と北陸の各都市を結ぶ幹線ルートとなり、
特急「はくたか」による通行料収入で、こちらも第3セクター鉄道の優等生となっています。

 智頭急行の「スーパーはくと」が登場するまで、鳥取−京阪神間のメインルートといえば山陰線です。
しかしとりわけ、非電化の区間における「歩みののろさ」は際だっていて、
かつて私が「エーデル鳥取」で鳥取入りした時、
城崎からは、ほぼ独占状態で展望席からの眺めを楽しんだのですが、
山陰の美しい眺めでさえ、多少食傷気味に感じられたほどでした。 
 他に新幹線で岡山へゆき、津山線経由で…という方法もあります。
しかし、これも見るからに遠回りであり、コストの点での不利も否めません。
 高速バスという手段もあります。しかしこれも、一般国道を走る区間が結構長く、
安上がりですむものの、バス酔いしやすい人にとってはつらいものでした。

そこで「スーパーはくと」です。
従来の所要時間(4時間から3時間半)から1時間以上短縮され、
大阪−鳥取間は、最速2時間19分です。それに乗り換える必要もありません。
 デビュー後、2ヶ月目にして、阪神大震災による運休を余儀なくされ、
出鼻をくじかれた「スーパーはくと」ではありましたが、復旧以後、順調に乗客数を伸ばし、
13両でスタートしたHOT7000形は、今や総勢34両に増強されています。
(また岡山方面からも特急「スーパーいなば」が、智頭急行経由で運行され、
津山線経由の急行「砂丘」は、撤退を余儀なくされています。)
 智頭以北のJR因美線が、高速化(津ノ井以南95km/h、津ノ井以北110km/h)されたことも
見逃せませんが、智頭急行線内の130km/h運転は、アーバンネットワークの俊足さををそのままに
「スーパーはくと」を京阪神−鳥取間の主役に押し上げたといえるでしょう。

 さて当局(HP)のローカル鉄道の定義は、大都市にターミナルを持つ会社(含むJR)の列車が、
全線にわたって乗り入れてくる路線を除くことになっています。
 ですから智頭急行は、除外すべきなのですが、智頭急行を「地域の足」と考えた場合、
どう見てもローカル線以外の何者でもありません。
 加えてローカル鉄道が、生き延びてゆくためのいくつもの道筋が、
この智頭急行に示されていると、私は考えています。ですから例外として加えさせてもらってます。
 
 智頭急行の車両にはHOTの3文字が冠されていますが、
これはH;兵庫県、O;岡山県、T;鳥取県を意味します。
 ちなみに、三県にまたがって路線を持つ第3セクターの鉄道は、他にありません。
 現在、ローカル線の多くが、車の免許証を持たない高校生の通学輸送こそが、
最大の使命となっているわけですが、県境を越えて通う生徒は、極めて少数派です。
 智頭急行においては、案の定、通学輸送の占める割合は少なく、
だからといって通勤輸送が多いというわけでもありません。
特急がなければ、到底やってゆけないのが現実です。
 しかし ローカル列車用のHOT3500、3520形は、
特急用のHOT7000形と同系列のエンジンを(1台ですが)搭載し、
17m級の軽量ボディとあいまって社線内110km/h運転と高性能です。
 また 各駅には、パークアンドライド用の駐車場があります。
地元の利用を促進するための基盤となる手を打っています。

 また一方で「宮本武蔵」という有名人?の名を冠した駅を設置し、
東粟倉村(現 美作市)にできた武蔵の里(駅から徒歩圏内)を観光客にアピールしています。
 そして、切符です。「智頭線満喫一日乗り放題きっぷ」は、期間限定。特急には乗れませんが、
なんと 大人1000円、小児500円という料金設定で、全線通しの片道運賃1260円より安いのです。
 儲かっているところからは、しっかり頂き、
利用のままならないところは、思い切ったディスカウントをする戦略です。
 この値段なら、また乗ろうという気になりますね。
しかし、この冬、また智頭急行に乗りに行こうかと思った私ですが、
この休みには発売の予定がないようです。
ぜひ青春18切符の通用期間には、利用できるようにしていただきたいものです。




智頭急行と大鳥圭介

ところで、地図を見て、不思議に思うことがあります。姫路から作用まで
姫新線を経由した方が近いのに、なぜ上郡経由なのだろうか?ということです。
 姫新線には、途中、播磨新宮や三日月そして本竜野という、
そこそこ大きな町や、市の中心部に駅が、あるのにもかかわらずです。
 
 そこで、まず距離を調べてみました。姫新線の45.9kmに対し、
上郡経由は52.0kmと、6kmほどしか差がありません。
 次に、所要時間を「JRおでかけネット」で検索すると、姫新線は72分かかるのに対して、
上郡経由は、2回の乗り換え(8分)を含めても59分と優位に立ちます。
そして「スーパーはくと」に至っては37分。と半分の所要時間で着いてしまうことがわかりました。

 地図の縮尺をアップしてみると、姫新線は、様々な町に立ち寄り、また小さな峠を越える分、
路線のそこかしこに、くびれを生じています。
1線スルーなどの駅施設の改良程度では、高速化は、たいして期待できないのです。
千種川沿いを一気に北上する智頭急行のルートこそが、実際上の最速ルートといえます。

 しかし、いったい誰が、こんなルートを考えたのでしょう。それは上郡町出身である大鳥圭介です。
何年か前、NHKの大河ドラマで「新撰組!」が放映されてましたが、
その時、この大鳥圭介も登場していました。
 土方歳三や榎本武揚ほどのスター性はありませんが、大鳥は、エリートで切れ者です。
明治維新後も生き延びて、政界にも発言力を持つまでになりました。
 彼は、明治23年、有年まで開業していた山陽鉄道に上郡駅を設置せよと請願し、
5年後には開業にこぎ着けています。そしてここ上郡駅を起点に、鳥取へのルートを提唱しています。
これが、のち改正鉄道敷設法に、組み込まれ智頭線となってゆくのです。
ですから智頭急行の生みの親は、大鳥圭介というべきかもしれません。


智頭急行 HOT7000形
HOT7001 京都駅 2006.5.24

 「スーパーはくと」の「はくと」は「因幡の白兎」にちなむもので、つまりは白ウサギの音読みです。
私は小さい頃、急行「白兎」に載せてもらったことから、その意味を教わりましたが、
ひらがなで「はくと」では、なんのことか、よくわからないのではないでしょうか。
 昔、北海道に、函館−網走間を走る特急「おおとり」という列車がありましたが、今はありません。
今更、無理な話かもしれませんが、大鳥圭介の業績を讃え、また阪と取を結ぶ意味をも含めて。
 智頭急行の特急を「スーパーおおとり」とするのはいかがでしょう。
 そうだ。それなら「スーパーいなば」を、この際、「スーパー武蔵」と命名する手もあります。
                                …などど勝手なことを考えています。


−鉄道車両写真集−
智頭急行

珍車ギャラリーへ     J鉄局topへ   切符INDEXへ   リンク集へ  鉄道資料室へ
JS3VXWのHPです